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概要

グリム童話の一つである。もともとドイツ地方の伝承民話だったお話を、グリム童話の一つとして1812年に発表された。

あらすじ

むかしあるところに、とても優しい老齢の靴屋の夫婦が住んでいました。

二人はとても貧しく、新しい材料を買うお金も尽き、靴1足分しか残っておりません。

仕方なくこれを最後に店をたたむ事にした夫婦は、最後の革を切って作業場に置くと眠りにつきました。

翌朝。二人が作業場へむかうと、なんとそこには素敵な靴が出来ていました

驚きつつもその靴をショーウィンドウに飾った所、たまたま通り掛かったお金持ちの紳士がとても気にいって、その靴を買っていきました。

その日の夜。夫婦は売り上げのお金で今度は二足分の靴の材料を買い、いつもの様に作業場に切って置いて眠りにつきました。すると翌朝、作業場に素敵な靴が二足出来上がっていたのです。ショーウィンドウに飾ると、次はお金持ちの紳士の友人だと云う若い夫婦が、その靴を気に入って買っていきました。そのお金で子供の靴を入れた三足分の材料を切って置くと、翌朝にはやはり素敵な靴が三足出来ており、今度はお金持ちの紳士の奥さんと二人の娘さんが気に入って買って行きました。

同じ事が何度も続いたので流石に不思議に思った夫婦は、いつも通り作業場に靴の材料を置いておき、二人は眠らずに廊下で寝ずの番をする事にしました。そうして時間が経った真夜中、夫婦がうとうとしかけた所へ楽しそうな歌声が聞こえて来たので急いで目を覚まし、ドアの隙間から作業場をそっと覗いて見ると、裸ん坊の二人の小人が歌いながら靴を作っていました。今までの靴は全て小人たちの作った靴だったのです。やがて小人たちは驚いている夫婦をよそに靴を仕上げると同時に窓から陽の光と一緒に消えてしまい、作業場にやって来た夫婦はその靴たちを見て、「小人さんに何かお礼をしてあげよう」と思いました。

そこで夫婦はその靴が売れたお金で、靴の材料の代わりにフェルトと布と飾りボタンを買い、旦那さんはフェルトと靴の余り革で小さな靴とベルトとチョッキ、奥さんは布と飾りボタンでシャツとズボンと帽子を縫い上げると、それら一式を丁寧に畳んで揃えて作業場に置き、『素敵な靴のお礼です。どうもありがとう』と書いた手紙を添えておきました

するとその真夜中、いつもの様に靴を作りに来た小人たちは作業場に置かれた洋服と手紙に大喜びし、服を着たまま楽しそうに空へと帰っていきました…。

それ以降小人たちは二度とやって来る事はありませんでしたが、おかげで靴屋は大評判となり、夫婦は靴を作りながら末永く幸せに暮らしました。

表記揺れ

こびとのくつや こびととくつや 小人と靴屋 小人の靴屋さん

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