概要
「所さんのまもるもせめるも」とは、マルチタレントの所ジョージ全面監修の元に制作されたファミリーコンピューター用横スクロールアクションゲームである。1987年6月27日発売。
発売元はエピックソニー(現在:エピックレコードジャパン)で、開発はイスコ、HAL研究所。なお、エピックソニーは当時所が所属していたレーベルであり、これ以外にも同レーベルに所属していたタレントを題材にしたいわゆる「タレントゲーム」をいくつか発表している。
ゲーム内容
主人公は所ジョージ(本人との混同を防ぐため、本項ではゲームキャラクターとしての所ジョージを「所さん」と称し、実在するタレントは「所ジョージ」と表現する)である。
ストーリーは、娘のテレパシーで異変を感じ取った所さんが、仕事先の千代田区から自宅のある所沢まで娘を救出に向かうというもの。しかし、内容に関する具体的な説明がゲーム本編では一切行われない。
ゲーム内容や操作方法はスーパーマリオブラザーズに酷似しているが、敵を踏みつけることができず(むしろ敵に触れると体力が減る)、代わりに水鉄砲を武器に敵を攻撃する。そのため、弾数ではなくゲージ制である。弾道はやや短めで、まっすぐ飛んだ後斜めに降下していき、ゲージが減るに連れて飛距離も短くなる(ボタンを押してすぐ真下に落ちるようになる)ので攻撃を当てることが難しくなる。このピーキーなゲージ管理と理不尽な攻撃方法がゲーム難易度を高めている。
水鉄砲であることを活かしたギミックとして、街路樹に水をかける(攻撃する)と、木が成長して高所にある特殊ステージに行くことができるというものがある。高所ステージではオープンカーに乗った所さんが高速道路を走り抜け、敵にぶつかるなどした場合地上ステージに戻される。
道中では都内から所家までを面クリア式で進んでいくこととなる。各面クリアごとにマップが表示され、クリアした面には「所」のマークが付けられる。
ステージは東京23区のうち12区(千代田区、新宿区、渋谷区、文京区、港区、品川区、目黒区、世田谷区、豊島区、中野区、杉並区、練馬区)と市部(保谷市、田無市、東久留米市、東村山市)、所沢市で、最終ステージは所家となっている。
なお、保谷市および田無市は現在の西東京市であり、本作では合併前の地名で登場した。
ステージの移動方法は、区エリアは各ボスを倒した後に設置されている2つのドアのどちらかを選んでワープするというもの。ワープは面ごとに2つ行先が設定されており、どちらかに飛ばされる(練馬区ステージはドアが1つだけで、市部に直行する)。市部エリアは所家まで一本道で進む。所家はこれまでのステージの中でも最も長いステージとなっている。
残機は無く、コンティニュー回数が尽きたところでゲームオーバーになるが、ゲームオーバーの画面では欧陽菲菲の『Love is over』に酷似したBGMと共に、替え唄の歌詞で
「GAMEOVER… かなしいけれど おわりにしよう きりがないから GAMEOVER… オーヤン カフェ」と表示される。
基本的にはコンティニューは3回までだが、アイテムで無制限にすることが可能。
クソゲーとしての評価
本作は理不尽な難易度や極端な運要素、質の悪いBGMなどからクソゲーと評価されることが多い。
先述の通り、クセのある攻撃方法や水鉄砲ゲージの管理の難しさが問題となっている。
また、本作最大の問題点として、区のごとのワープシステムが挙げられる。ワープは「二つあるワープ先のうちどちらかに行くことができる」ことは決まっているが、「どちらに行くか」は全くわからない。そのため、絶対に市部に突入することができる練馬区にたどり着くまでは複数ステージをループし続けることとなる。このワープの理不尽さが無理ゲーとなってしまっている。
敵の姿はマスクをした豚、サングラスをしたタコ、ピンク色の靴?などどこか奇妙なもの。一方で背景や所さんのグラフィックはかわいらしく表現されている。
所ジョージ本人が手掛けた、という触れ込みのBGMの評判も全体的に悪く、「電波」と称されることが多い。所ジョージの作風を再現し切れているとは到底言えない平坦な音で、効果音に干渉して音ズレが発生し、音程が狂ってしまうというのも楽曲の質を下げる原因となっている。
ちなみに、最終ステージである所家のBGMはなぜか沖縄民謡風のもの。
エンディング
最終ステージでは鬼と化した所さんの嫁らしきボスが待ち構えており、ボスを倒すと奥の部屋に娘が待っている。
無事エンディングを迎えると、所さんと娘が並んで喜んでいる映像が流れるが…
ところが‥
つづく‥かもね‥
というメッセージとともに娘が豹変して所さんを襲ってくるという不穏なエンドを迎える。
余談
設定やストーリーが改変された『所さんのまもるもせめるも アクアク大冒険』というゲームブック版が存在する。
また、本作以外にも所ジョージが監修したテレビゲームとして、『ToKoRo'sマージャン』や『所さんの大富豪』がある。
本作に登場する「所さんの娘」は長女。「所さんの嫁」は当時から鬼嫁キャラとしてバラエティ番組などで茶化されていた。
関連タグ
たけしの挑戦状...同作のようにいわゆるタレントが全面監修したタレントゲームの中でも、代表的な怪作。ちなみに、ビートたけしと所ジョージは友人関係にある。