天才の敗北
「あらゆる薬を作る程度の能力」はその予期せぬ例外の前にひと時敗北し、天才は静かにその計量器を放じる。
それはおそらく調合のための材料・素材が不足してたのではない。
無論、天才・八意永琳の知識に欠落があったわけでもない。
これはもっと未知の、神代の時代から続く神々と生命の営みへの理解では測り得ないほど特殊な、あるいは次元の違う「何か」なのである。
ただ現実として、天才の盲点あるいは理解の外の「何か」の事象に彼女は直面しているのだ。
永琳がどのような想いでその匙をその手から放るのかは常人にはこれまた測り得ないかもしれない。
ただ、永琳が匙を投げたということは、もはや全世界のどこにあっても科学や薬学の類では手の打ちようがないことと同義である。
それは、一種の「宣告」である。
あらゆる無力と未知とを前に茫然とする天才の手を離れ、ただ願わくばやわらかな放物線を描き、せめて匙よ、月まで届け。
実際のタグは
本タグは、東方Projectに登場する八意永琳(あらゆる薬を調合できる知識を持つ薬師)の名前と藤原妹紅のテーマ曲である「月まで届け、不死の煙」、そして医師が以後の治療の見込みがないと診断することとそこからの意味である物事における改善も見込みがない様子を表す語である「匙を投げる」の三つの言葉をミックスしたものである。
pixivの作品中、実際に永琳が事象の解決策を見いだせずお手上げ状態にある様子を描いた作品もあれば、「作者は病気」の一連のシリーズに相当する意味合いで用いられることもある。この場合、不条理ないしはシュールな作品内容に用いられる。
同シリーズには「病院が来い」や「現代医学の敗北」など、医学・医療にまつわるものもあり、そこから東方Projectにおいて医学関係者・医師の一面も持つ永琳がここに絡められたものと思われる。
関連タグ
作者は病気(関連シリーズタグの大本)