「自分は蟲奉行所同心、月島仁兵衛と申します!!」
「だから自分は助ける!!!日の本一の武士として!!!!」
「常住戦陣!!!」
概要
津軽藩最奥の村にある月島流道場の息子で一級フラグ建築士。
常に明るく前向きな性格で、物事をあまり深く考えない。
大食いで声も大きく鍛錬バカで馬鹿力。
松野原小鳥にスカウトされた父・月島源十郎に代わり、新中町奉行所(通称蟲奉行所)市中見廻り組の同心として江戸にやってくる。
出で立ち
基本的に黒又は紺色の袴に赤基調の小袖(着物)を身に着け、長く伸ばした髪の毛を子供のころに母親の月島叶から譲り受けた魔除けのしめ縄で結っている。帯刀している刀は一本のみであり、脇差は持っていない模様。ちなみにこの刀は月島流剣術を使うために柄が通常の刀の倍以上の長さとなっている。
鼻の頭には子供のころに黒い蟲によってつけられた横一文字の切り傷がある。いつもは前髪で隠れているものの、額にも同じような傷が残っている。本編終盤では季節が冬になったこともあり、首にはお春からもらった襟巻を巻き、上着を羽織るようになった。また元々の刀に加え、背中には母親の形見である後述の直刀を背負うようになる。
どんな時でも前を見つめ、人と話すときは目をそらさずガン見することが多い。背筋が常に伸びており、お辞儀をするときも直角以上に頭を下げつつもその背筋は一切曲がらない。あまりにも独特なお辞儀の姿勢のため、3DSでゲーム化されたときは完全にネタにされた。
人物像
困っている人を放っておけない性格で、例えお勤め中でも目の前のひとの手助けを優先する。その反面武士としての心得や身分の差などはわきまえており、目上の者に対しては非常に礼儀正しく接する(敵を除いてほぼすべての登場人物に対して敬語で話す)。
しかし仲間が身分によってバカにされた時などは我を忘れて怒り、しつこく撤回を求めるなど非常に仲間思いかつ頑固で融通が利かない一面もある。江戸に来た初日に窮地を救ってもらった無涯や、父である月島源十郎を心から尊敬しており、日々の戦いの中で二人の背中を追いかけている。
嘘がつけない性格であり、曲がったことが大嫌いでどのような場合もまっすぐに自分の信念を貫こうとする。
よく空気を読まずに行動することもあるため周囲に怒られることも多いが、だれに対しても分け隔てなく接する純粋さは評価されており、身を挺して市中の民を守るひたむきな姿勢により江戸の人々からも感謝されている。
また前述の空気を読まない性格は戦闘中、心が折れかけた仲間たちの指揮を高めることが幾度もあり、だれよりも先陣を切りながらだれよりも他人のことを気に掛ける、精神的支柱のような存在となっている。
仁兵衛が来る前は個人主義だった中見廻り組の仲間たちの雰囲気や、以前は壁のあった寺社見廻り組・武家見廻り組との関係も彼の日々の行動によって良好なものになり、たとえ敵対するものであってもその心に触れ解り合ってしまうこともあるなど、毎回様々な場面で松ノ原小鳥や蟲奉行を驚かせている。もともとは気弱で泣き虫な少年だったが、後述のとある出来事により堂々とした態度をとるようになった。
ただし女心や他人の心の動きにはかなり鈍感であり、相手の考えていることとは良い意味でも悪い意味でも逆の行動をよくとってしまう。しかしそれに悪意や害意がみじんも含まれていないことは相手もわかっているため、結果的には好感度が上がる結果となっている。
特にお春、火鉢、蟲奉行の3人からは明確な好意を寄せられるようになっているものの、本人は気づいていない。仁兵衛自身は自分が他人の機微に敏感な方だと勘違いしているため、そもそもそういった発想が出にくいのかもしれない。ちなみにその三人は、互いの仁兵衛に対する想いは把握しているようである。
彼の行動の根本にあるものは父から叩き込まれた「常住戦陣」(武士は何時如何なる時でもその身は戦場にあるものと思え)というおしえであり、戦闘の際には常に声に出し自分を鼓舞している。
また人生の目標は「死ぬまで勝ち続ける日ノ本一の武士になる」であり、具体的には「誰よりも強く負けず、己の背にいる人々を決して不安にさせず、いかなる不安からも守り抜く存在」である。彼が常に前向きで人々の目の前では笑顔を絶やさないのも、守るべき存在である大勢の人たちを、命の危機だけでなく不安や恐怖からも守るためである。
あとなぜか巨乳(Fカップ以上)に無意識に反応する。本人は全く自覚がなく、他人に言われても理解ができないらしい。そのためかたとえ色仕掛けを受けてもFカップ以下であればみじんも動じない。
毎回お春や火鉢があられもない姿になるたびにお春(Fカップ)を率先して助け、火鉢(Cカップ)をついでのように扱ってしまうために火鉢からの発破の被害が絶えない。後に源十郎から母・叶(Iカップ)の話をされた際源十郎がひたすら胸の話ばかりしていたことから、父親の影響を強く受けたものと思われる。
過去と信念
かつて仁兵衛の父源十郎は、津軽藩の剣術指南役として活躍しており、仁兵衛もそんな父の姿にあこがれていた。ある時藩主が若殿と花見に出かけた際、護衛の源十郎とともに、若と年が近いということで仁兵衛も同行した。その途中で仁兵衛と若殿は二人だけで桜林の中に入って行ってしまう。そこで出会ったのは熊を殺して喰らう巨大な黒い蟲であった。二人は恐怖で動くことができず、仁兵衛は黒い蟲に襲われ顔と額に大きな傷をつけられる。
間一髪のところで源十郎が黒い蟲に斬りかかり崖から突き落としたことで二人は事なきを得る。しかし若が恐怖で失禁してしまったことにより、次期藩主に粗相をさせてしまったという罪で仁兵衛は牢に入れられそうになる。
そこで源十郎は仁兵衛の身代わりとなり、藩の剣術指南役の地位を捨て、武士にとって命ともいえる軸足である左足の腱を自ら刀で刺し抉る。帰り道、仁兵衛は泣きながらひたすら源十郎に謝り続ける。しかし源十郎は一切仁兵衛を責めず、笑いながら頭をなでて言った。
「お前はワシと同じ、死ぬまで勝ち続ける武士だろうが!」
その瞬間から仁兵衛は父のすべてを奪った罪の意識にさいなまれながらも、ひたすらに日ノ本一の武士を目指すようになる。
戦闘能力
月島仁兵衛について特筆すべきはその身体能力の高さである。中でも体力と筋力は作中でもトップクラスであり、その凄まじさたるや、
- 自身の数倍ある大岩(1つ100kg)を複数取り付けた木刀で、朝昼晩1000回素振りをする
- その木刀で素振りをしながら富士山を走って上り下りを繰り返す
- 木に逆さづりになりながら一晩中素振りする
- 明らかに民家ほどはある熊を一撃で昏倒させる
- 民家の家財道具全てを一度に持ち上げる
- 刀の一突きでゴロツキ数十人を吹き飛ばす
- 長屋の数倍以上の巨大な蟲の突進を止め、刀の柄でかち上げひっくり返す
- 山よりも巨大な人型の蟲の踏みつけを刀一本で受け止める
など常軌を逸するものばかりである。
また生命力も相当なものであり、例え毒を撃ち込まれようとも爆発を至近距離で喰らおうとも腹を貫かれようとも一気に押しつぶされようとも全身をめった斬り・めった刺し・めった打ちにされようとも一日もたたないうちに復活する規格外のタフネスさである。
剣の腕や才能には天賦のものがあり、源十郎が数年かけて実現した技を数日で会得するなど驚異的な成長速度がみられる。源十郎曰くこれは母親譲りらしい。
当初は力任せな戦い方が多かったが、度重なる命の危機を持ち前の身体能力と根性によって乗り越え、また複数回にわたる源十郎との修行を経て月島流剣術の秘技と極意を身に着けていき、力強さの中に繊細さを併せ持った熟練の剣士として成長していく。
最終決戦前には、蟲奉行所最強の無涯と並ぶ最強戦力として幕府からも認められるほどとなった。終盤になるとその大暴れっぷりに拍車がかかっており、作者をして「こいつのせいでアクション描くのが嫌になった」とをして言わしめるほど。
月島流剣術
仁兵衛の父、月島源十郎が編み出した剣術であり、源十郎が生涯をかけて体得した「富嶽三十六剣」と呼ばれる36の奥義から構成されている。刀身による斬撃と柄による打撃を織り交ぜた技を基本としており、「戦場において何時如何なる状況にあっても確実に相手をより多く滅殺し戦況を掌握する」剣術とされている。
月島親子の常人離れし過ぎた身体能力も相まって、その威力は軽く一国の軍勢を超えており、一騎当千をそのまま体現している。人を斬り殺すことが大前提の剣術であり、編み出すに至った考えには割とエグイものが多い。
- 月島流富嶽割り(ふがくわり)
本編で初めて名前が出た技。刀の柄を用いて下から上に打撃を打ち込みかち上げる。人より一回り大きい蟲なら一撃で倒せる。また長屋の数倍ある巨大蟲を砕いてひっくり返したり溶岩を吹き飛ばし道を作ったりしている。以降本編序盤では蟲に対して頻繁に使用していた。十分な威力に思えるがこれでも基本中の基本である。
- 月島流富嶽突き(ふがくづき)
刀の柄で突きを打ち込む。その衝撃は打ち込んだ反対側まで突き抜ける。岩より硬い蟲の巣の壁を破壊した。ちなみに名前こそ叫んでいないものの、江戸で初めて遭遇した蟲である屋牢蜘蛛を倒した技であり、実質本編で最初に使用された技。
尚、富嶽割りや富嶽突きは本来、戦の中で血のりや刃こぼれなどにより切れ味の落ちた刀でいかに相手を死に至らしめるかという考えのもと考案された。
- 月島流富嶽返し(ふがくがえし)
八丈島の対蟲狩戦で初使用。刀の柄で相手の攻撃を受け止めはじき返す。蟲狩のリーダー有虚の攻撃を受け止め蟲奉行をかばった。これで敵の攻撃を防いでから連撃を繰り出す場面がしばしばみられる。
- 月島流富嶽鉄槌割り(ふがくてっついわり)
富嶽三十六剣序列第五位。すべての技の中で最も習得が困難であり、得意技としている源十郎も5年の歳月を費やした。大きく振り上げた刀を渾身の力で振り下ろし斬りつける。衝撃によって叩き潰したかのようなクレーター状の斬撃跡が残る。
その威力は打ち込んだ衝撃で富士山が噴火し、同じところに打ち込んで強引に噴火を止められるほど。本来は「斬る」と「押す」を同時に行い鍔迫り合いの隙を見せないための技で、敵を押し倒し1番確実に殺める方法でもある。刹那を見極めるセンスと全てを一点に打ち込む身体能力が求められる。仁兵衛はこれをわずか3日で習得し、源十郎を驚嘆させた。
当初は1日1発が限度だったが成長により克服。以降は本編終盤まで最も多く使用した技の1つであり、仁兵衛の代名詞とも呼べる必殺技である。
- 月島流富嶽鉄槌割り「円錐」(ふがくてっついわりえんすい)
江戸付近における真田幸村との再戦で使用。源十郎との修行の中で剣の圧力を一点に絞り威力を上げた。斬撃跡は円形ではなくその名の通り円錐状である。富嶽三十六剣に含まれるかは不明。
- 連撃必殺富嶽鉄槌割り(れんげきひっさつふがくてっついわり)
富嶽鉄槌割りを連続で打ち込む。斬り合いの中での繋ぎのようなやり方であり、とどめを刺した描写はない。しかし隙をなくすための技を隙間なく連続で繰り出すため反撃を受けたこともない。
- 月島流超本気富嶽鉄槌割り(つきしまりゅうちょうほんきふがくてっついわり)
後述する常世の神子状態で放つ全力の富嶽鉄槌割り。その威力は比べ物にならず、通常時には全く歯が立たない蟲を一撃のもとに粉砕するほど。
- 月島流富嶽山嵐(ふがくやまあらし)
刀を下から斜め上に切り上げる。竜巻のように衝撃波が生まれることで物体を巻き込みながら上空へ吹き飛ばす。池の水や溶岩もすべて吹き飛ばしてしまう。
本来は相手の斬撃を絡め受け流し、刀をはじき上げる返しの技。戦闘の中で相手の流れを読みつかまなければならない。自身の前方に放つ技だが、自身を回転させることで後方からの攻撃にも対応していた。
- 月島流「昇り龍」(のぼりりゅう)
真田十傑蟲・根津甚八戦にて使用。水中戦の最後で富嶽山嵐を放ち池の水ごと根津を上空に吹き飛ばし、自身も水流に乗って上昇して回転しながら刀の柄で打撃を打ち込みトドメを刺した。仁兵衛の応用によるもののため三十六剣には含まない。
- 月島流富嶽厳砕突き(ふがくがんさいづき)
要するに物凄い突き。片手でも両手でも打てる。ゴロツキ数十人を吹き飛ばし、幾重もの民家の壁に奇麗に丸く穴をあける。元々仁兵衛は「突き」そのものが苦手だったため当初は習得できなかったものの、元兄弟子・勘介の助言により習得できた。
勘介曰く「手の内でねじり込みながら方向を定め、腰は正中線からぶらさず、左足の脚力をそのまま腕へ、すべての力を真っ直ぐに乗せる」こと。
- 月島流富嶽虎逢断ち(ふがくとらあいだち)
刀を下から上へ三回連続で切り上げる。斬撃が虎の爪痕のようになっている。他の技との連撃の中に織り交ぜられる。
- 月島流富嶽霞潰し(ふがくかすみつぶし)
刀を右手から左手へ逆手に持ち替えそのまま内から外へ斬りかかる。他の技との連撃の中に織り交ぜられる。
- 月島流富嶽渓流捌き(つきしまりゅうふがくけいりゅうさばき)
刀を前方に両手持ちで伸ばし、円を描くようにふるうことで相手の攻めをいなし受け流す。複数の蟲による連撃をその場から動かないままさばいた。
- 月島流富嶽泰山斬り(ふがくたいざんぎり)
月島流の奥義。もとになったのは「兜割り」。十四寸(40センチ)の兜を斬るために源十郎が各地を回り、兜に斬れ込みを入れた達人たちの秘訣を集約させた。
「間」「呼吸」「膂力」「踏み込み」「刃筋」「気」そして源十郎のたどり着いた「剣の重さ」という要素を加え、深さが十四寸に達した。技を繰り出すには相手の呼吸を完璧につかみ読めることが大前提のためかなり長時間切り結ぶ必要がある。
しかしその威力は折り紙付きであり、全身を鉄の鎧で覆った真田幸村を一刀両断し、人知を超えた存在である常世の神子の奥義に打ち勝ち、本来何物も干渉することのできない神の翅でさえ斬り落とすことができる。
常世の神子
物語序盤で八丈島で蟲奉行の命を狙う蟲狩と戦闘になり、蟲奉行のまとう毒気と圧倒的な戦力差により重傷を負い意識不明となる。無涯の救援により難を逃れ、力を失った蟲奉行に担がれ逃げるも蟲狩の一人・蒼顔に追いつめられる。
その際蟲奉行の髪を偶然口に含んだ結果、異形の姿となり凄まじい力を発揮して蒼顔を戦闘不能にし、蟲狩を含めて敵味方関係なく圧倒した。理性が徐々に崩壊しかけるも、蟲狩の骸骨に蟲奉行が殺されかけると蟲奉行を救い出し正気に戻る。この時すぐに意識を失い、暴走中の記憶はなくなっている。
紀州での真田幸村戦においても、蟲奉行の力を取り戻すための常世の井戸に入った事により暴走するが、無涯への強い憧れの気持ちを思い出し、正気を取り戻した状態で覚醒した。
蟲奉行が自分たちを守るために蟲たちに連れていかれたのちは、さらに強くなって蟲奉行を連れ戻すことを心に誓い、戦闘の中で外見の変化はないものの、常世の神子の姿の気迫を見せるようになる。蟲狩に拉致され仲間に引き入れられそうになった際には自身が一度暴走したことを告げられ、再び仲間を傷つけることを恐れるが、人質にされた長福丸と隣の火鉢の励ましにより迷いを断ち切る。そして現れた黒い蟲に対して力を開放。理性を保ったまま黒い蟲を圧倒し、以降は戦闘の際はほとんど覚醒状態で戦うようになる。
容姿は髪が白銀色に染まり、獣耳のようなものがはえる。髪の毛には黒い紋様のようなものが浮かび上がっている。この姿になると身体能力が爆発的に上昇し、また後ろ髪が生き物のように可動するようになる。
作中では巨大化して無数の針を飛ばしたり、分裂して複数の敵を捕縛したり、扇形になり空を飛行したりしている。元々は髪の毛を結っている魔除けのしめ縄によって力が抑えられていたのだが、当初の二回は抑えきれずに暴走した。中盤からは自身でしめ縄を外して力を開放している。
- 天羽々斬剣(あめのははきりのつるぎ)
江戸付近における真田幸村との再戦の前、源十郎が仁兵衛に渡した古びた直刀。叶が里を出る際にこっそりと持ち出してきた代々伝わるものらしい。鞘と柄のみであり通常時には使うことができないが、常世の神子状態で柄を握ると光り輝く白刃が現れる。
しかしそれは持ち主の意思と関係なく止め処なく力を吸収し、体力のほぼすべてを枯渇させてしまう。叶もそのすべてを吸い尽くされるような感覚を恐れ、生前は使うことができなかった。その分威力は桁外れで、刀の原形をとどめない放出されたエネルギーは一万の蟲人を一撃で屠るほど。
当初は激情に飲まれ制御できなかったものの、亡き叶の遺志のようなものに触れ支えられることにより刀身の形状の維持に成功。以降本編終盤まで切り札のように使用される。後述する出自の関係もあり、本来人間の干渉することができない常世の神の力に拮抗し、ダメージを与えることができる。
- 常世の光
元々は叶の使用していた常世の神子の奥義であり、富嶽泰山斬りと競り合うほどの威力を持つ。常世の神子状態で髪を刀身にまとわせ、巨大な刀の形状を維持しつつ刀を振り下ろす。
仁兵衛は最終決戦において、「常世の神子の力+天羽々斬剣+富嶽泰山斬り+常世の光」と己の持てるすべてを込めた技を放った。
出自
実は仁兵衛の母・叶は元々蟲狩や無涯と同じ里の生まれである。
大昔不思議な力で人々の傷を癒した蟲・常世の神を斬り、その返り血を浴び人外の力を得た豪族・秦河勝(はたのかわかつ)。その血を受け継いだ子孫たちが蟲狩の里の住人であり、特にその血と力を色濃く受け継いだのが「常世の巫女」という存在であり、それが叶であった。
そのため上記の仁兵衛の力は叶から引き継いだものである。また斬られた蟲は後に日本全土に巨大蟲を出現させる「常世の蟲」である。つまり仁兵衛の力は蟲奉行と同じく元々は常世の蟲から得られた力であり、仁兵衛の先祖は本編中における蟲の出現のそもそもの原因となった人物である(常世の蟲はこの時点ではただ人間と関わるのが嫌になっただけで、心から人間を憎むのは数百年後、自分を受け入れてくれた蟲奉行が人間に殺されかけてからである)。
ちなみに蟲狩のメンバーは全員銀髪であるが、これは里に伝わる秘薬を飲み数日にわたる激痛に耐えて無理やり力を引き出したものであり、仁兵衛ほどの能力は得られていない。しかし能力のルーツが同じためか蟲狩専用の回復薬が仁兵衛にも使用できるなど、同じ血を引く影響がいくつか見られる。
人物関係
本作のヒロインの一人。団子屋の看板娘で江戸でも有名な美少女。
仁兵衛が江戸にきて初めて会った人物であり、仁兵衛が初めて蟲から助けた人物でもある。
以降何度も蟲に襲われるもそのたびに仁兵衛に救われ、以来仁兵衛に絶対の信頼を寄せている。
助けられて以降仁兵衛に好意的であり、団子や弁当の差し入れを持って行ったりしている。
仁兵衛が関わって毎回恥ずかしい目にあっているものの仁兵衛のことを一度も攻めたことはない。
ただ、他の女性が巻き込まれた際は色々と勘違いした後泣きながら走り去っている。
中盤まではなぜか好意を自覚しておらず、火鉢たちに仁兵衛のことをどう思っているか聞かれても微妙な顔をしていた。しかしお見合いをすることになった際火鉢たちに仁兵衛のあらゆることが素敵に思えることを話し、「おばあちゃんになるまで一緒にいたい人」と発言している。
最終決戦前、仁兵衛が遠くに行ってしまうことを察し告白しようとするも、いつものように笑いながらお勤めに挑む仁兵衛の姿を見て思いとどまる。そして桜柄の襟巻を仁兵衛に渡し、自身もまた笑って仁兵衛を送り出した。
ちなみに源十郎から仁兵衛の嫁にと会うたびに詰め寄られており(主に胸目当て)、内心喜んでいる。また女性に鈍感な仁兵衛が、お春との関係をからかわれた時だけは赤面して慌てていたりする。
本作のヒロインの一人。仁兵衛と同じ市中見廻り組の一員。
当初は憧れの存在である無涯とお勤めをした仁兵衛に対抗意識を燃やし、辛辣な態度をとっていたものの、とある仁兵衛とのペアによるお勤めの中で仁兵衛との共闘に不思議な安心感を感じ、以降は無涯にともにあこがれるライバルとして仁兵衛を認め、態度も軟化した。
しかし仁兵衛が無涯と仲良くしていたり、仁兵衛がお春ばかり助けて火鉢をついでのように扱ったりしたときは容赦なく爆破している。当初から仁兵衛を意識しているような描写があり、仁兵衛がお春と行動しているときは嫉妬したり、仁兵衛のことをどう思うか聞かれると赤面して黙り込んだり、ほかの見廻り組と仲良くしているのを見てさみしがったり、源十郎がお春を仁兵衛の嫁にと言っているのを聞いて激しく動揺したりと、とにかく仁兵衛が関わると普段のクールな態度が瞬く間に崩壊する。
他人と仁兵衛を常に比べるような言動が目立ち、仁兵衛を思い浮かべて無涯に怒鳴ることもあった。いわゆるツンデレのため本人は一切月島への行為を認めようとはせず、お春や蟲奉行の気持ちに感づいて傍観することが多かった。
終盤の最後の修行において、山奥でずっと月島とともに生活を続けた結果、修行後いつどこにいても今、仁兵衛が何をしているかがわかる程になり、仁兵衛への行為を自覚した。以降は恥じらいながらも一緒に風呂に入ったり、決戦前夜には抱き着いたり膝枕させたりしている。
本作のヒロインの一人であり、物語のカギを握る人物。
八丈島で出会った当初は仁兵衛を蟲狩の仲間だと誤解していたが、仁兵衛が蟲狩に殺されかけたのを見て自身の勘違いを知り、仁兵衛を守るために猛毒の力を開放。蟲狩の計略により力を失ったのち仁兵衛の手で窮地を脱する。
その後身分の差により仁兵衛に会うことができなくなったが、仁兵衛と交わした「ともに江戸の空を見上げる」約束を胸に日々を過ごすようになる。
紀州へ向かい力を取り戻すためのお勤めでは仁兵衛をお付きに指名。道中仁兵衛との思い出を作ろうと一緒に過ごす。このときの力を失っていることで人肌に触れることができたため、仁兵衛の手のぬくもりに安心感を抱いている。
力を取り戻した後真田幸村との再戦で追い詰められた仁兵衛のもとに駆け付け、再び仁兵衛を助けるため力をふるう。しかし突如現れた常世の蟲に力が通用せず、仁兵衛たちを守るため常世の蟲に同行。以降終盤まで囚われの状態となり、仁兵衛たちは蟲奉行を取り戻すために行動するようになる。
彼女にとって仁兵衛とは、「猛毒の体により人に触れることができなかった100年の中で温もりを与えてくれた人物」である。本編中何かあれば仁兵衛の名を口にしており、様々な過酷な状況の中で心の支えのようになっている。
仁兵衛のことを第一に考え、またとても大切に思っており、仁兵衛が火鉢に殴られると火鉢に止めるよう言い、仁兵衛が傷つけられると激情を露わにする。真田幸村と対峙した際には「月島から笑顔を奪った」として幸村を戦闘不能に追いやり(その余波で紀州が壊滅した)、常世の蟲にさらわれた際には「仁兵衛がくれた”熱”は百年経っても消えそうにない」と涙を流しながらうれしそうに笑っている。
ちなみにおまけコーナーでファンのために仁兵衛からお願いされ、服を脱いでスリーサイズまで公開しようとした(毒でメジャーが溶けて測れなかったが)。
- その他の人物
ほか多くの人物と仁兵衛は接しているが、蟲奉行所をはじめ、幕府や江戸の住民など、味方陣営の全ての人物から絶大な信頼を寄せられている。終盤では将軍から「蟲奉行所最高戦力」として認知されている。
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最終決戦後(最終話)
まさかの嫁が三人(お春、火鉢、蟲奉行)の一夫多妻。しかも子供もそれぞれ三人ずつと平等に大家族である。しかし誰が正妻かはいまだに決着がついていないようで、普段は三人とも仲良くしているものの、正妻がだれか聞かれると同時に声をそろえて主張しており、そこは譲るつもりはないようである。
今までは蟲奉行所の長屋住まいだったが、いつの間にか大きな屋敷を持つまでに出世していた。
しかし、今は異国の蟲を討伐し続けているので仁兵衛自身は不在。そのことに関してはみんな一切不服はないらしい。本当に皆一途である。
子供:一兵衛(いちべえ)、四保(しほ)、七太(ななた)
子供:双海(ふたみ)、五月(いつき)、八兵衛(はちべえ)
- 蟲奉行(奈阿姫)
子供:三太(さんた)、六拓(むつみ)、九子(くこ)
ちなみに子供たちは長福丸に懐いている。