人物
ピンク髪のツインテールが特徴のイマドキ女子で、不道グループの紅一点。インスタ投稿が趣味の女子生徒。一見すると社交性豊かな快活女子で風紀委員を務めたりと表向きの評判は良いが、本性は自己顕示欲と虚栄心が非常に強く、それらを満たすためならばモラルに欠けた行動は勿論非道な手段に打って出る事も辞さず、自身の犯した過ちも適当な屁理屈を付けて正当化する事も珍しくない甘ったれた人間性をしている。
短絡的で楽観的な面は目立つものの不道グループ内でも勘は鋭く、狙ってかどうかまでは定かでないが、自身らに降りかかるようになった災難の原因を復讐と考えた上で「黒瀬の魂が誰かの身体に入っている」と言い切っている。不道や仙水には呆れられているが、黒瀬が屋上から落下して白鳥と入れ替わっているのは事実なので、完答と言っていい答えを言ったことすらある。
他にも、不道には内緒で白鳥と入れ替わった黒瀬にカマをかけては真相を聞き出すような立ち振る舞いや質問を的確にしたりと、不道とは違った意味での策略家の面を見せる事も結構あった。事実黒瀬もくるみと二人きりになりくるみから尋問された場面が数度あったが、いずれも黒瀬が対応を一歩間違えれば、完全に墓穴を掘り詰みの状態になっていた状況があった。
全くもって女の勘とは、恐ろしいモノである。
インスタが趣味でフォロワー数も多く、いいね数=「その人自身の価値」と決めてかかっており、少しの増減で機嫌がとてもぶれやすい。その上、過去に黒瀬に対して彼が可愛がっているウサギの命を盾に裸にさせる事を強要してはその様子を写真に撮りインスタにアップするなど、他の男性メンバーが黒瀬を物理的に甚振ったのに対し彼女は精神的な苦痛を与えた事が幾度もあった。しかし、彼女のインスタのほとんどは俗にいう「表の姿」のみで実際にはファッションに関しては試着だけして(撮った写真の背景は加工した上で)買った事にして食べ物を食べた風に、飲み物を飲んでる風にして後は捨てるというモラルに欠けた行動をしている。これは彼女自身の非常に強い虚栄心によるもので、単純にいいね欲しさの行動である。それ故に黒瀬の策で真実がバレそうになり自身は精神的にゆとりを無くし追い詰められた余り、出来心で服を万引きしてしまった。
黒瀬による復讐方法
服の万引きを黒瀬に見られた事で、その弱みに付け込まれる。そして黒瀬との交渉により、万引きを黙っている代わり「黒瀬いじめをしていた不道グループを自白させるまでの間、協力すれば許す」と脅され、不道達への復讐の為の犬=言いなりとなる事を余儀なくされた。結果的に彼女は不道グループの中で現時点で黒瀬により直接的な危害を加えられていない事になるものの、黒瀬が復讐を成し遂げるための二重スパイとなる羽目になった。
更に、くるみが黒瀬の命令を聞けなかった場合、インスタの秘密や不道を裏切ろうとしていることを公にすると強く釘を刺されて従わざるをえなくなった。一方で弱みを握られたものの、グループの中では半ば強制されたが黒瀬に自分の非を認め謝罪したからか、不道らによるいじめの証拠(もしくはそのきっかけとなる事実やチャンス)を見つけることができれば、行動や成果を素直に褒められたり自由行動を少なからず許される等、必要以上に追い込まれたり縛り付けられるような対応をされてはいない。くるみが黒瀬の協力者つまり二重スパイとして活動して以降、黒瀬は嫌がる素振りをくるみにされない限りは対等に接しているので、アメとムチを使い分けて彼女を上手く動かしている。
後に同じメンバーであり、本性はメンバー随一の悪辣さと残忍さを持つ仙水理人の復讐を手伝わされるも、その復讐には貢献した。(仙水の本性を知った後も、黒瀬に直接「恐ろしい奴だったと思いませんでした」と嫌悪感を伝え、インスタに関する弱みも仙水から指摘されたのもあって危機感と恐怖心を隠し切れない素振りも見せ始めていた。)
後に不道が黒瀬の作戦でいじめのターゲットにされて以降はクラスメイトの柊カレンや新島絹枝らのグループにそれとなくつるんだりと自身の安全を確保していた。しかし、他のメンバーと違い目に見える形で制裁されていない事と本人の気が緩んでいる事もあってか、大した用もないのに黒瀬の下に来ては迂闊な行動を取ったりしている事を黒瀬自身に改めて弱みを交えて注意された事もあった。その矢先、黒瀬によって不利な状況にされた不道に自身と黒瀬の繋がりがバレてしまい、インスタの秘密をネタに脅され結局自白してしまい、不道に反撃の機会を与える羽目になってしまう。
その後は黒瀬か不道のどちらかの報復を恐れ自宅に籠城するも、結局黒瀬に見つかってしまう。その時に不道に色々と情報を売ってしまった事を黒瀬に白状し土下座するも、不道を何とかすれば良いと黒瀬に言われ、再び協力者となった。
その後の黒瀬が不道に復讐する際には黒瀬の策で最終的には黒瀬と不道の直接対決に持ち込ませる事に間接的ながら貢献した。
結末
黒瀬が真の元凶である白鳥の本性と姿を見て以降は、黒瀬が白鳥からカレンを守る事に焦点を置いていたので放置気味であったが、黒瀬と入れ替わった白鳥がカレンを自身に夢中になるように立ち回られた末、カレンは白鳥と一線を越えてしまいそれを間近で見た黒瀬の心は壊れてしまった。そして深く落ち込む黒瀬を見て、不道への復讐はどうするのかについて問うも、何も聞き出せないままになった。その為、「復讐はもう終わった」と自己解釈していた。(実際、黒瀬が不道に復讐をしかけた辺りからほとんど放置気味だったのもあり、そう捉えられても決しておかしな話ではない。)
そんな中、学校で飼育しているウサギ達が住んでいる飼育小屋が何者かによって放火される事件が発生し、第一発見者でありクラスメイトの冴木薫が翌日行われた持ち物検査で彼のカバンからタバコが出てきた事で疑われてしまうも、くるみはそれを庇う。しかし、何者かによってくるみが過去に「倒れている老婆を置いて見捨てた」と言う旨の誹謗中傷ポスターを貼られ、自身の人望が下降してしまう事件が起きる。
その時のくるみは否定するも、事実はその当時くるみがインスタ映えする現象が起きるのを知り急いで向かおうとする中で遭遇し、良心の呵責に駆られるも誰かが助けてくれると解釈して放置した挙句、救急隊員が駆け付けた頃にはその老婆は亡くなっていたので、ポスターで掲示された内容は事実であると発覚した。(老婆が亡くなったのを知った際は不道に自身の罪などについて相談を持ち掛け彼から、「救護義務違反ではないだろう」と言われたのもあってホッとしていた。)
物語開始から不道の知るインスタの秘密とは、いいね欲しさのために犯したモラルのない行動の数々ではなく、インスタ映えを狙った彼女が苦しむ老婆を放置した挙句に結果的とは言え見殺しにしたと言う事実である事が判明する。
その後は冴木と共に真犯人を探そうと奔走する中、同級生であり自身が好意を抱く若王子昴がウサギ小屋を放火したと思われる発言を電話でベラベラ喋っているのを聞いてしまい真意を問い出そうとするも、逃げられてしまう。その後は若王子の行動を探るべく彼を調べる中、若王子が副担任である吉倉ネネを想う文章を綴ったノートを発見し、そこに記された自分以外の生徒が深く関わらないようにするためにネネに対する風評被害を流した内容や、若王子と中学時代の同級生で別々の高校に通う女子高生・志田さくらと会って話を聞いた事で、彼に対し疑念を強めていく。
思い悩む中、カレンが白鳥に奪われて傷心状態の黒瀬の下を訪れ、疑いを強められ警察に目を付けられ始めた冴木を助けるように懇願する。
「私にはいくらでも復讐していいから冴木を助けて欲しい」と強く訴えるも、その願いは叶わなかった
助けを得られないまま途方に暮れる中、突然現れた絹枝に励まされ、冴木と若王子がいた現場に向かう。しかしくるみは、警察ですら判明していない情報や場所を何故知っているのかとふと疑問に思うも、突如何者かに胸をナイフで刺されてしまう。
そう、刺したのは絹枝であり、不道グループの誰もが自分ではないと言っていたピョン吉殺害や、ウサギ小屋放火を切っ掛けに周りに起き始めた事件を起こしていたのは新島絹枝であった。
本性と狂った考えと憎悪を見せ始め襲い掛かる絹枝から逃げ延びようとするも、かつて自身も精神的にゆとりを無くしている所に慰めようとした絹枝に対し暴言を吐いた事を根に持っている彼女に土下座して謝るも、「被害者意識が全て」と語る彼女がくるみを許すことはなく、左目を石で潰され、何度も石で顔面を殴打された挙句、心臓をナイフで突き刺され重体となってしまう。
その後救急搬送されるも、事態を知った黒瀬が病院に駆けつけた頃には既に虫の息となっていた。
くるみは黒瀬が入れ替わっていると言う疑念は早い内に抱いてはいたものの、黒瀬が絹枝に話を持ち掛けている所を偶然聞いた事と、若王子について調べるために接触し、中学生当時黒瀬と交際していたさくらから黒瀬の人柄について聞かされ、それが最近の白鳥(すなわち入れ替わった黒瀬)の言動と一致している事に気付き確信に変わった。
くるみは白鳥の姿の黒瀬を名前で呼び、「黒瀬に復讐されたかったわ」と自身の悪行を悔いた上で「黒瀬と友達になれたかもしれない」と今までの自分の行いを悔いて心から謝罪する。
同時に絹枝の魔の手からカレンと冴木を守って欲しいと託した。そしてくるみは、
「もう一度 立ち上がって」
「イジメてごめんね」
「黒瀬 地獄行ってくるわ」
黒瀬への叱咤激励とイジメた事に対する心からの謝罪、そして懺悔の念を伝え、それが黒瀬と交わした最後の言葉となった。
しかし、それは一度は折れていた黒瀬の心に再び火を灯す事となった。
余談
黒瀬の3人目の復讐相手だが、不道グループ内で唯一黒瀬の復讐関係ではなく、第三者の恨みから復讐された人物となった。
周りの評価のためには他者を蹴落としていくといった考えを持っていたが、黒瀬や冴木と行動を共にしその信条に触れるうちに心境に変化が見られ改心した作中でも稀な人物。
他の不道グループメンバーが復讐される中で許しを請いながらも謝罪の言葉が一言も出なかったのに対し、絹枝に致命傷を負わされ、殺害される寸前になっても「被害者意識が全て」という彼女に対し、謝罪しても自分を許せないなら、いくらでもサンドバッグにしていいから、カレンと冴木は見逃してほしいと訴えている。
黒瀬に弱みを握られて以降、くるみは黒瀬の復讐を手伝わされるも、その中で自身の行いを後悔するようになっていき、それ以降は誰かを見下したりする振る舞いはほとんど鳴りを潜めるようになった。冴木から「ブス」と言われた際も、「顔だけは可愛い」と自分が「性格ブスである」(=自分の考え方や振る舞いが褒められたものではない)事を暗に認める発言をしている
偶然をきっかけに確信したとは言え、黒瀬の入れ替わりに自力で辿り着いた数少ない人物となった。そして不道グループ内では、イジメを認め自ら黒瀬に謝罪をした唯一の人物ともなった。
黒瀬も復讐を手伝わせる中でくるみに対して無意識に情が湧き仲間と想うようになったのか、大晦日で一緒に初詣をしたり不道に弱みをちらつかされて黒瀬とくるみの繋がりを彼に教えてしまった後も、黒瀬は事情を知ってからは気持ちを切り替えるだけでそれ以上は責めなかった。
そして黒瀬は自分が戦意喪失している中で助けを請われても何も行動できなかった事を「あの時何も出来なかった自分はもっと嫌いだ」と言い切り、大粒の涙を零していた。
さくらからは黒瀬とくるみの相性はよく、二人は男女の仲を越えた親友になれるはずと評されていたが、白鳥のマンションから出るのを絹枝に見られた際は「友達の家に行ってた」と発言している。
関連タグ
イジメた人間は報われちゃいけない。
それは復讐であっても どんな理由があっても
イジメは許されていいものではない
けど……例外はある。
まあ……そんなこと言ったら反感を買うかもしれないけど……
更正した人間は報われてもいい
「くるみにはまだやらなきゃいけないことがあるんです」
黒瀬が全ての復讐を終え、白鳥を道連れに自殺してから……
赤松が拘置所にいる群青に関係者のその後を報告する中で、
新島から受けた傷によって、左目に眼帯をつけ、脳挫傷の影響で麻痺が残る左の手足のリハビリに励むくるみの姿があった。
火災の後、廃校となった横高からの編入先で、震えるクラスメイトの体調を気遣うくるみ。しかし、それはかつてイジメを行っていた彼女への恐れからくるものであった。黒瀬に対して行っていたイジメは周知の事実であり、クラスメイトたちからはそのイジメで黒瀬の人生はバッドエンドになったのだと白い目で見られ、本当に更生したというなら明日から学校へ来るなと拒絶される。
黒瀬は群青らに託した「復讐の教科書」に自分へのイジメを理由としたバッシングを受けるようなことがあればサポートしてほしいと書き遺し、赤松たちから連絡先を渡されていたものの、くるみは自分の力で解決しなければと思い悩む。
しかし、黒瀬家の墓前で再会した冴木から、死ぬ時は誰でも不本意なものなのに、殺されたから、死んだことそれ自体がバッドエンドなのか、どんな死に方ならハッピーエンドと呼べるのかと諭される。
誰からも忘れられてしまえば、本当の意味でその人はいなくなってしまうのだから、生きている自分たちが覚えていて「死者」を「幸せ者」にしてやろうと。
そして黒瀬の、彼女の「友達」が果たせなかった「教師になる」という夢を叶えるために前を向き、この先何度転ぶことがあっても何度でも立ち上がるとくるみが決意し、教室へと足を踏み入れる所で物語は終わる。
- 余談
最終回に至るまでも改心・更生の様子が見られた彼女だが、最終回においても
・様子のおかしいクラスメイトの体調を気遣う。
・かつては母親が買ってきても手を付けなかったケーキを一緒に食べる。
といった姿が見られる。
また、黒瀬が最初のターゲットとしたキリコに向けた言葉に対し
・イジメた奴は報われちゃぁいけねぇんだよ→更生した人間は報われていい
・イジメたことを後悔しながら一生苦しめ!!→イジメたことで結果的に自分達が殺してしまったような黒瀬を忘れることなく、その想いを胸に生き続けることを誓う
といった符合が見られ、
黒瀬に最後に伝えた「地獄行ってくるわ」についても生き地獄という形で今後の人生に彼女は立ち向かっていくこととなる。
絹枝は「被害者意識が全て」と語っており、くるみは黒瀬は自分達が殺したようなものなのだから恨んでいるかもしれないと思っているが、その被害者である黒瀬自身は「復讐の教科書」に「更生したものは報われていい」と書き遺したように、むしろイジメっ子だった事を理由としたバッシングを危惧している。その事は現実となってしまったが、新しい学校のクラスメイト達は被害者でもなんでもない第三者に過ぎず、くるみに対する行為は、かつて彼女がイジメ加害者であることを理由にしたイジメとなんら変わりはない。
原作者のあとがきによると、当初はくるみは新島に殺害され、その遺志を冴木に全て託して退場する予定だったものの、読者から想像以上に死を惜しむ声が多かったことから生存する事になったという。
結果としてあの状況に立ち向う彼女の生き様自然と作品のテーマを内包した納得の行く結末になったと思うとのこと。