人物
本作の主人公。クラス担任の白鳥聖に憧れ、彼のような教師になることを目指す温厚篤実な優しい性格の少年。
蕎麦アレルギー持ちである。
クラスメイトでもある不道エイジ率いるグループからなんらかの理由で酷いいじめを受けるようになり、最終的にはその発覚を恐れて『自殺』を要求される。
そして追い詰められて足を滑らせて転落し、たまたま落下位置にいた白鳥と頭をぶつけたショックから身体が入れ替わった事で、彼の中で不道グループに対する復讐の本能が目覚める。
復讐を決意した後は不道グループのメンバーに綿密な作戦と凄まじい怒りと憎悪から来る実行力で手にかけていくようになる。それ以降は復讐を成し遂げるためならばどんな手段も雇わなくなり彼らの人生・生死に関わる局面になっても非常に冷淡な意思を持っていくものの、あくまでその恐ろしい行動や考えは自身に過酷極まりない仕打ちをした人物に対して向けられるもので、本来の人間性まで失ってしまったわけではない。復讐を決意し入れ替わった後でも
・復讐相手の一人切木竜也の彼女(後に彼と破局)であり、いじめられた経験のある美谷ひなが傷心状態の時は自身の家で介抱し辛い過去を打ち明けられた際は、「孤独に耐えた君の方が強い」と言って親身になって接する。
・復讐に利用する形で関係を持った彼女のその後についても気にかける。
・切木が部長を務めるバスケ部の一員にして1年生レギュラーの司馬が彼にいじめられその事実を知った際は自身が必ず守ると言い切り、(復讐の足掛かりを含めて)切木を停学処分に追い込み守ってみせた。後に司馬がいじめられていた事を半ば見て見ぬふりをしたバスケ部部員達に凄まじい剣幕で注意する。
・同級生でヤンキー風な生徒の冴木薫が目安箱に自身がいじめられている事を告発する文書を投稿したと知った際は、本気で感謝する。
等、黒瀬が本来持っている優しさがなくなったわけではなくむしろ、いじめに関連する事は本気で首を突っ込んでいた。
先述したように切木への復讐の過程でその彼女であるひなと関係を持つが、中学時代は自分と同じ塾に通っていた志田さくらと交際していた経験があったりと、入れ替わり以前から女性経験が全くないわけではない。
破局したのは両者の関係が悪化したわけではなく、学業を理由に母親から別れさせられてしまったらしい。
復讐計画
白鳥と入れ替わった事で、彼の教師の立場・人望を利用。
不道グループ1人1人に対して優しく接した後、彼らの誇りや非常に大切にしているものを容赦なく奪い絶望を与えると言った非情なやり方で次々と命を奪っていく（一人は命までは取られずとも、弱みを握って不道達への復讐のためにと服従を余儀なくされた。また、直接手にかけて殺害したのは仙水のみ）。
そしてグループ最後の復讐相手である不道にも、凄まじい執念と実行力と策を持って一度は彼を追い詰めるが、それでも諦めない不道の調査・追跡によって自身が白鳥と入れ替わった黒瀬良太郎本人である事を悟られてしまう。一度は詰みかけるも、咄嗟の機転で仕込んだ作戦で不道と直接対決に持ち込み、死闘の末、彼を屋上から突き落とす。
しかし、
それでも不道は死んでいなかった。それは・・・
自身と入れ替わり、身体は黒瀬で中身は白鳥が陸上部と協力してマットを運んだことによって不道は命を救われていた。
そして、自身が慕って病まない白鳥の本性を初めて知る事になり、今までのいじめも彼の手のひらで踊らされていたと悟る。
一時はその場で殺しかけるも、必ず復讐すると言い切った。
いじめられたきっかけ
黒瀬と不道の出会いは、高校2年生1学期で同じ掃除の班になった事であった。
初めて不道と本格的に関わるようになり共に過ごしていく内に同じ誕生日であるのもあってか、彼と仲を深めていき、その姿はどこにでもいる仲の良い友人そのものであった。
そんなある日、黒瀬は不道から自宅に招かれ、不道の父である不道正義と出会う事になる。
対話を重ねていく中で、不道の父が息子よりも他者のために真心の籠った行動や思いやりのある発言のできる黒瀬に優遇とも取れるような接し方をしていた事で、不道の嫉妬心は募りに募り、入れ替わる前の白鳥に黒瀬をいじめるように遠回しに唆され、些細なきっかけをネタに彼をイジり……否、虐め始めるようになった。そして、それが黒瀬の不幸の始まりとなった。
戦争編のネタバレ
白鳥の本性を知った後は、自らへのいじめを生んだ元凶である白鳥への復讐を宣言、同じ白鳥の被害者である柊カレンを守るため決意を固め、新たに白鳥についてその思惑を探ることになる。しかし、黒瀬の姿でカレンに近づく白鳥を止めることは叶わず、白鳥とカレンが結ばれた現場を目撃し戦意を喪失してしまった。
その後は学校も休み自堕落な生活を送っていたが、くるみが「狸」こと新島絹枝に襲われた一件で再起し、白鳥はじめ黒幕達への復讐を胸に再び立ち上がる。
横濱高校における「戦争」後は奇策を用いて白鳥と直接対決を果たし、彼と相討ちになる覚悟で飛び降り自殺を図った。その後、黒瀬が入っていた「白鳥」の肉体は死亡している。
後に「黒瀬」の肉体の中に「白鳥」の人格が残っていたことが判明し、自身の過去を知る道具や人物を抹消しようと動き出すも、群青ひかるの策で嵌められる。それでも足掻く中で「黒瀬」の人格が目覚め、精神世界で白鳥の思想に一定の理解を示すが、「共に散ることでしかこの戦いは終わりません、愚かな思想を胸に抱いて地獄で嘆いてください」と白鳥を地獄に引き摺り込んで行った。白鳥との戦いに終止符を打った後、群青に対し「復讐を通して学べたこともありました、逝ってきます」と言い残して息絶えた。
遺骨は黒瀬家の墓に葬られた。
死後、ウサギ達との再会を果たした。
家族
黒瀬勇
黒瀬の父親。見た目は息子に似ている。
真面目で温厚篤実な人物で息子の良太郎も非常に尊敬していたが、不道が主導した痴漢冤罪騒ぎによって逮捕されたうえ妻の貴子から離婚を切り出され、裁判が敗色濃厚となった絶望の末に首つり自殺する。
後に、白鳥の心理的な誘導で自殺を唆されていたことが明かされた。
黒瀬貴子
黒瀬の母親。旧姓は三浦。
母子家庭ながら息子の良太郎を私立校に通わせ続けるために昼夜パートに出るなど多忙な日々を過ごしており、ストレスからいじめに遭い退学しようとしていた黒瀬の言い分を聞かず暴力を振るっており、他にも夫の無実に構わず離婚を切り出すなど、短気で自分勝手な面が目立つ。
ただし、息子に対しては一定の愛情はあるようで転落事故以降は心労から痩せ細っていた。
黒瀬と白鳥の戦いに終止符が打たれた後、息子との関係が悪いのは白鳥が黒瀬の成績が落ちてきていると言う嘘や「甘やかし過ぎていると思うので厳しく躾け続けて下さい」と吹聴されていたことが判明し、全てを知った後は様子を見に行った赤松大も心配でならないほどに後悔していた。しかし、その赤松からは「同情なんてできない、自分の考えを押し付ける親ほどタチの悪いものはない」と評され、息子を喪った被害者ではなく事態悪化の一因であったことは否めない。
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野咲春花、藤沢彩菜、リンネ・ベルリネッタ、松田明日香、藤井有栖：クラスで壮絶ないじめを受け続けた末、復讐鬼に豹変する主人公達。
