概要
毛抜形刀は、方頭大刀のうち共鉄造の方頭共鉄柄刀から変形・発生した刀。
9世紀後半〜10世紀前半の北海道〜東北地方で出現することが指摘されている。同時期に北海道まで分布を広げる方頭共鉄柄刀と形態や大きさが似て、刀身は長さ60cm未満、方頭の柄頭、共鉄柄、平造り、柄反り、刀身にも反りが認められるが、柄に長方形の透かしが入る点が異なっている。方頭共鉄柄刀とともに金銅装のものが認められ、装飾性がやや高まったことで儀仗としての性格が強まると考えられている。10世紀後半には毛抜形太刀へと変化した。
かつては刀剣界を中心に蕨手刀から毛抜形蕨手刀へと発展し、そこから毛抜形刀に変化したとの見解が示されていた。しかし現在では全国の出土例を集成した研究が進められたことで考古学界から出現時期や出現地域、形態的特徴などから方頭共鉄柄刀が毛抜形刀に変化したという型式学的変遷過程が明示されている。