あらすじ
投稿者の同僚は何故か海へ行くのだけは頑として断っており、訳も話したがらない様子だった。
これはそんな彼に酒を飲ませ、無理やり聞き出した話であるという。
ある冬、友人と友人の飼い犬を伴って車旅に出掛けていた同僚。
道中、海側の軒先になぜか籠(かご)や笊(ざる)が吊り下げられた奇妙な岸辺の村へ差し掛かった。
その辺りでガソリン残量が心許なくなり、ガスステーションに立ち寄るが住民はなぜか邪険に同僚たちを追い返す。
他の民家や店も固く戸を閉ざしており、同僚一行は仕方なく近くの駐車場で一晩を明かすことにした。
その夜。
犬の唸り声で目を覚ました同僚は、海から得体のしれない「何か」が体を伸ばし、民家を覗き込んでいることに気づく。
戦慄を覚えた同僚と友人は慌てて車を発進させようとしたが、響き渡ったエンジン音が「それ」の注意を惹いてしまい……。
概要
2005年12月7日に旧2ちゃんねるに投稿されたウェブ怪談。まとめサイトによって題がばらつき、「海を見ることを忌む日」というタイトルがつけられている事も多い。
「海を見てはいけない」という、一部地域に実在する忌み日の因習をモデルにした……あるいはそういった地域で、実際に誰かが体験したかもしれない怪談である。
登場する怪異は名前こそ語られないが、姿は克明に猫写されており臨場感もひとしお。
一方、文中の描写は実在する因習とは細部が大きく異なっているようで、この点を深く考察する読者もいる。
「海を見たらあかん日」
類似した怪異を描いたと思しいウェブ怪談。
こちらの投稿者は幼少期、親族の葬式のため海岸の民家に泊まったのだが、その間「外に出てはいけない」ときつく言い聞かされる。
しかしその晩、「海から誰かがやってるらしい」と知った親戚の子どもに誘われ、トイレの窓から「誰か」を見ようとする。
そして生臭い匂いとともに現れた「誰か」の顔を見てしまった子供は錯乱。
主人公は酷く叱られ、海岸の親戚や親戚の子供とは絶縁状態になってしまった。
登場する怪異について
呼び名は不明。ある冬の夜に海から現れ、家々の軒先を覗いてまわるようだ。
非常に長い体躯を持ち、蛇のようにのたうちながら静かに人家へと近づく。また、非常に生臭い。
先端には顔があるようで、その顔を直視してしまった者は激しく錯乱してしまう。そのため、住民は怪異が現れる日を忌み日として閉じこもる。
おそらく魔除けとして軒先に吊るすザルやカゴが「たくさんの(網)目をもつ」アイテムであることから、
正確には邪眼の類で人や生き物に危害を加える存在のようだ。
関連のありそうな妖怪伝承として、外観は濡れ女、性質は海難法師が挙げられる。
関連タグ
禁后:「禁忌とされたモノを見たものが犠牲になる因習絡みの話」という点で似通っている。