概要
遣唐使が中国から持ち帰った物の一つ。
月ヶ瀬村の烏梅は、完熟梅に煤をまぶし、薪ともみ殻でムシロに水をかけ蒸し焼きして、一か月天日干しして作る。(作り方は下記の動画参照。)
漢方薬の烏梅は、青梅(未熟な梅)を使って、煤はまぶさず燻製して作る。
現在作れるのは奈良県月ヶ瀬村の烏梅農家の一軒だけ(現在10代目ということになってはいるが、本当はもっと続いていて、本人達も正確にはわかっていないくらい古くから作っているそう)
月ヶ瀬村では700年以上烏梅を作っているという記録が残っている(月ヶ瀬村に烏梅が伝わったのは千年以上前だとか)。
奈良の東大寺の三月のお水取りで供える椿を模した和紙の花(造花つくりばな)を赤く染めるのは、山形県の紅花と烏梅で作った染料で、何度も塗り重ねる。(花を作っている様子は下記動画参照)
昔ながらの口紅も紅花と烏梅で作る。
胃腸の漢方薬としても重宝されている。
月ヶ瀬村に伝わる烏梅の伝説(物語)
『今は昔 京の都で戦がおき 命からがら落ち延びた 一人の姫がいました。名は園生(そのお)』
『帝の寵愛を受けた、美しい姫君でした』
『いくつもの山を越え、力尽きて倒れたところを、村人に助けられたのです』
『姫の心を慰めたのは、春の日差しで綻び始めた 梅の花でした』
姫「都でも梅の花が咲いているかしら…」
村人「姫が笑った」
『助けてもらったお礼にと 村人に教えたのは 都に密かに伝わる 梅の実から作った烏梅です』
姫「ほ~ら 見て」
村人「なんと美しい」
村人「梅の実にこんな力があったとは」
『梅の季節が終わると 姫君は帝への想いを募らせて 亡くなりました』
村人「梅の花は 姫の生まれ変わり」
村人「梅の香りは 姫の優しさ」
村人「梅の実は 姫の心」
『だからでしょうか その烏梅からは どこまでも優しく 美しい紅が 染まるのです』