概要
特滋水とは、上橋菜穂子の小説「獣の奏者」に登場する薬品。闘蛇や王獣に関して大きな影響を与える。
作中での扱い
闘蛇の中でも<牙>と呼ばれる最上級のものに与えられ、その他の<胴>や<尾>に対しては、特滋水を薄めた「薄滋水」が与えられる。
与えることで、牙の硬度が増し、骨格も大きくなる。
作中の話から、闘蛇に対しては「イケ」と呼ばれる飼育槽内部の水に溶かし、経皮、経口摂取させていると思われる。
飼育されている王獣に対しても投与され、こちらは水桶に入れたものを経口摂取させているとみられる。
原材料と効能
原材料は主に下に記した3つ
- アツネ草(根を煎じる。消毒の力がある)
- ラカル草(根を煎じる。食欲増進の効果がある)
- トゲラ虫の体液(痛みを抑える成分が含まれる)
この中のいずれかに、王獣や闘蛇の生殖機能に影響を与える成分が含まれるとみられ、これが繁殖期のメスの闘蛇に投与された場合、卵管への腫瘍の発生と無精卵の生成、排出を促す。その結果、腫瘍ができた卵管に無精卵が詰まり、闘蛇を死に至らしめるのである。
主人公エリンの母、ソヨンが処刑される原因となった闘蛇の大量死もこれが原因だったと思われる。
なお薄滋水の場合は、与えられた闘蛇の生殖機能が失われるのみであるため、大量死は主に摂取量(濃度)の問題であろう。
王獣の場合、闘蛇ほど命に直接関わる疾患にはつながらないが、やはり生殖機能に影響を与えるらしく、これを与えられた王獣は繁殖に関する行動を一切行わなくなるほか、与えられずに育った王獣と比べて体毛の色がくすむ。