犬塚藍瑠
いぬづかあいる
CV:小野大輔
当作品の主人公である犬塚露壬雄の1歳上の兄。ダリア学園の「黒犬寮(ブラックドギーハウス)」監督生代表を務める。
東和国でも歴史ある政治家の一族「犬塚家」の本家出身で、幼い頃に父である犬塚柴が病気で他界したため家督を継ぐ。そのため露壬雄にも厳しく接するようになってしまい(露壬雄の腕っぷしが強いのはそのため)、露壬雄にとっての一種のトラウマとなってしまっている。
冷静で不器用な優しさを持つが、自国と敵対関係にあるウェスト公国が利用する白猫寮の監督生代表であり、性格が正反対なケット・シィ、そして弟であるはずの露壬雄には怒りをあらわにする。
露壬雄以上の強さを持ち、下記の地獄の生徒合宿では30人相手にに同時に剣道で稽古をつけて息ひとつ切らさず、だれにも一本を取らせなかった(下記の露壬雄とペルシアの一本を除く)。ペルシアは相対したときに17歳とは思えぬ威圧感を感じていた。
好きなものは犬だが、見た目が怖いため本能的恐怖から警戒されてしまう。また、周囲にはひた隠しにしているが、実はカナヅチである。
また、王胡蝶には「アーちゃん」と呼ばれているが、その彼女が自分に本気で好意を寄せていることに気づいているかは不明。
今でこそとても厳格で、とくに露壬雄に厳しい藍瑠だが昔はだれにでも優しく素直で露壬雄とも何をするにも一緒にいるほど仲が良かったらしい。
しかし...
父である犬塚柴は他界する前に家族であった露壬雄、藍瑠、妻の千和、使用人(露壬雄の妹分)の朱奈にそれぞれ遺言を残していた。
千和には”今までありがとう 幸せになってほしい”。
そして藍瑠には”犬塚家を守ってほしい”と。
さらに千和は夫を亡くしたショックで塞ぎこんでしまっており、名家犬塚家の本家の座、すなわち犬塚家の権力と財産を狙う分家の叔父たちにつけこまれていた。それを自分が当主となることを宣言することで追い払い、母に対して自分が力をつけて母も露壬雄も朱奈も守ると誓った。
その誓いを守るために藍瑠は自分を鍛え 追い込み、名門”ダリア学園”の監督生代表を務めるほどになった。しかしその”犬塚家”という重圧が幼かった藍瑠を厳格で犬塚家の名を守ることに固執するようにしてしまった(千和曰く、歪めてしまった)。そのせいで露壬雄に対し実の兄弟と思えないほど、冷酷と見て取られてもおかしくない接し方を長年していた。
ジュリエット・ペルシアの誕生日に露壬雄とペルシアの交際疑惑が浮上した際には疑いの目を向け自ら監視をするも、2人が命懸けの大芝居で疑惑を晴らしたことで一度は引き下がる。さらにその騒動が自分の詰めの甘さによるものとし、露壬雄に対し疑いが100%晴れたわけではないことを強調しつつも、反省していると自分のミスを認め、二度と危険な真似をしないよう気遣うようなそぶりを見せた。
問題児や成績不良者のための5日間の”地獄の生徒合宿”が陀里亞大本山(お寺)にて行われた際には寮監から生徒指導の代理権限を与えられ、総監督を務めた。階段ランニングの際にサボろうとした者は男子は7・3刈り上げに女子はおかっぱにするとし、サボれないようにネタっぽい罰を示した(しかし、サボった一人が見せしめとなった)。稽古では上述のように30人相手にに同時に剣道で稽古をつけて息ひとつ切らさず、だれにも一本を取らせないなど、圧倒的な強さを見せた。さらに初日のお風呂では寮生の一人である子羊が女子の風呂を覗こうとする話を聞いた際、眼前に現れては軽犯罪法の一つについて淀みなく威圧的に説明しては震え上がらせた。二日目には稽古の際に口に入ったガムを飛ばしてきた(二重の意味で汚い)丸流に対し逆にそのガムを口に入れ一本を取り、ガムは紙に包んで捨てなさいと、ツッコミどころ満載な説教をした。しかし稽古最終日、弟の意地を見せるために奮起していた露壬雄に対し、「力が入っていない」「なめているのか」と強烈な痛撃を与え、「時間の無駄」「失せろ」「恥ずべき弟だ」と厳しい言葉を浴びせる(本当は露壬雄は稽古前の階段ランニングで前をは走っていた者が倒れた際に巻き込まれ、庇った時に階段を踏み外し左肩を強打しており、そのため力が入っていなかった)。しかし露壬雄のけがの話を聞き、それを隠してまで一本を取ろうと藍瑠に挑んだ露壬雄の気持ちを踏みにじったことに怒ったペルシアに勝負を挑まれ、途中で乱入してきた露壬雄も入れて、体格差と手負いのハンデとして二人でかかって来るようにとしたが、露壬雄とペルシアのケンカしたふり作戦とペルシアの攻撃を利用した露壬雄の大技に初めての一本を取られる。その後、露壬雄との先の勝負も含めて三本勝負とし、負けず嫌いな面も見せた。(三本目は当然、藍瑠が一本を取ったものと思われる)
藍瑠が一本を取られた勝負を見ていた胡蝶からは露壬雄のけがを気にして一瞬動きが鈍っていたと指摘されたが、はぐらかしていた(胡蝶曰く「ボコデレ」)。さらに凝りもせず乱闘を始めた問題児たちを「俺はもう寝る。何があっても起こすな。」と言って見逃すように胡蝶たちに間接的に伝えており、素直じゃない優しさを見せた。
冬休みに東和国に帰省した際には露壬雄にたるんだ精神を鍛えなおすといって自宅の道場で稽古をつけるが、様々な経験によって成長した露壬雄を見て少しだけ嬉しそうにし、兄弟の仲は縮まっているように見えた。
しかし不慮の事故で露壬雄とペルシアの交際が事実と知った際にはいままで以上に激怒する。さらには「家を出るか別れるか」の二択を突きつける。そして亡き父の家訓である”意見がぶつかったときは互いに納得いくまで兄弟ゲンカすべし”に従い勝負を挑んできた露壬雄とステゴロの勝負を繰り広げる。その強さで終始露壬雄を圧倒していたが、どんなに力の差を見せつけても折れない露壬雄に反撃され、さらに露壬雄から自分が強くいられたのはペルシアのお陰と言われても「犬塚家の面汚しめ」と否定するも、「(家族よりも家名しか守ろうとしないダサいだけの)今のアンタに負ける気がしねぇ。」と言われ、家族を守るために必死だった頃の幼き自分をフラッシュバックで思い出す。最後は露壬雄の渾身の頭突きを受け敗北。露壬雄から、不器用ながらも今まで家族を守ってくれた事への感謝とこれからは自身と共に家族を守れるように強くなる決意を聞かされ、最後は意識を失う。その後は露壬雄とは多少のしこりは残れども、ある程度関係は改善され、露壬雄とペルシアの交際を黙認する。
その後は露壬雄とは普通にコミュニケーションを取っているだけでなく、彼に対して最初は怖い表情と言葉を表現しつつもすぐに「冗談だ。そう恐がるな。」と言う藍瑠らしい茶目っ気を見せた。
監督生選挙では候補者の一人にして自身の雑務係である玲音の策略によって始まった乱闘を止めようとしたが玲音のさらなる策略によりキレたケットを止めるのに手いっぱいになってしまい、挙句露壬雄とペルシアの交際を全校生徒に暴露される結果となってしまう。この際、自ら雑務係にした玲音が自身の予想を遥かに超えた白猫の寮やウエスト公国に対する憎悪と怒りを悟り、取り返しのつかない状況にしてしまった事を悔い、露壬雄を八方塞がりの状況に追い込んだ事を悟ってしまう。
そしてペルシアの交際が発覚し、窮地に立たされるも、露壬雄とペルシアの起こしたこれまでの行動によって変えられた生徒達が味方し始めたのを境にそれを乗り越えて学園を変えた露壬雄に対し、「しかと見届けたぞ 露壬雄」と初めて直接露壬雄を認める発言をした。
露壬雄達の卒業の7年後には露壬雄とともに兄弟そろって政治家となり、東和国とウェスト公国の友好と関係改善に尽力している。(本人曰くまだ駆け出し)
弟の結婚式の日には、ペルシア家との親族挨拶をした際に、千和に美貌を絶賛されて上機嫌になったラグドールに「露壬雄君のお父様もよろしくね」と間違えられ冷静に「兄です」と返している。母が若々しい上に藍留自身も年齢以上に大人びて見えるためそう見えてしまうのも無理はないかもしれない。