死刑の一種で、斬首した死刑囚の首を2晩晒し者にする。付加刑として財産の没収、葬儀・埋葬の不許可がある。
獄門に処された犯罪行為は
- 強盗殺人
- 主人の親類・地主・家主の殺害
- 偽物のマスや秤の製造
などで、3番目以外は現代でも死刑が言い渡される可能性のある犯罪である。3番目は現代の水準からすると信じられないかもしれないが、当時は正確な計量法が確立されておらず、偽物の計量具の使用は悪徳商人がはびこる原因になりかねなかったのだ。現代の犯罪と照らし合わせるなら詐欺行為の一種である。
歴史
斬首刑に付随する獄門は、古くは平安時代より実施されていたと伝わる。その名については、平安京左右にある獄の門前に首を晒していたことに由来するという説、単に獄(牢屋)前の門に首を晒していたことに由来する説などがある。
法の下で明確に行われるようになったのは江戸時代からで、上記のような特に糾弾すべき重罪にのみ適用されていた。またこの場合、市中引き回しといって、死刑囚を馬に乗せ、罪状が書かれた札とともに刑場に連行する見せしめの刑が付加されることもしばしばあった。江戸後期に執行された鼠小僧次郎吉のものは特に有名である。
明治時代に入っても、指名手配制度を確立したことで有名な江藤新平をはじめ、複数人が打ち首獄門の判決を受けた。なお江藤の獄門の様子は、ネット上にて一般に閲覧可能である。しかし、公開処刑に犯罪抑止の効果がみられないとの意見が強まったこともあり、1879年に正式に廃止された。