※ 注意
本項には、アニメ『怪~ayakashi~』本編のネタバレが含まれています。記事・関連イラストの閲覧は自己責任となるためご注意ください。
概要
CV:鎌田梢
アニメ『怪~ayakasi~』の第三幕「化猫」の登場人物。
正確には、本作の舞台となる坂井家に古くから住む人々の回想の中に登場する若く美しい女性で、本編では既に故人。
また、どういう因果によるものか、物語冒頭で死亡する坂井家当主の娘である坂井真央とは容姿が似ており、声も同じである。
嫁入りの日、輿に乗り嫁ぎ先に向かっていたところを、若き日の坂井家元当主・坂井伊行(さかい よしゆき)に誘拐され、坂井家の屋敷奥の隠し部屋に幽閉される。伊行自身は、ほんの冗談のつもりで連れ帰り、本人が帰りたいと言えば帰すつもりだったが、本人が帰らなかったので、そのまま坂井家に置いていたというが……
化猫の記憶の珠生
化猫の過去の記憶では、伊行の語った真実は全て嘘である。
あくまでも、化猫の視点から珠生の生活である為、珠生の心境や性格の全てを推し量る事はできない。
しかし、彼女の置かれた状況や、彼女の悲痛な訴えは酷い描写を交えて掘り下げられており、伊行の言い分が如何に身勝手極まりないものであるかが、察せられる。
なお、彼女の置かれた状況に対して、知っている者はごく限られた人間であるが、現当主である伊顕・水江夫婦、坂井家に仕える侍の勝山、下男の弥平が彼女に対して何を思い、何をしていたのか?までは詳細は分からない。
ただし、水江は化猫からタマキの名前を聞いたときに、思わず結界の外に逃げ出すほど彼女を恐れていた事から、彼女に対して罪悪感を抱く程度の事はしている自覚はあった様である。
そもそも伊行は帰せと言えば帰した言ったが、それ以前に、伊行に攫われた瞬間から泣きながら彼女は帰してくれる様に頼み込んでいた。
そんな彼女を伊行は隠し地下牢に閉じ込めると、足の腱を切り、逃げ出すことも許さず、毎日のように暴行を行い、食事もわずかにしか与えず心身ともに消耗していった。侍女のさとには、そんな身の上にありながらも蔑まれ、なじられる日々を送り、心身共に摩耗していた。
そんな中、唯一の癒やしが隠し部屋に紛れ込んだ一匹の子猫だった。子猫だけでもいつか外に逃がそうと、己に配給される質素な食事を猫にすべて与え、珠生自身は日に日にやせ細っていく。
ある日、隠し部屋に忍び込んだ伊行の息子・伊國(よしくに)に強姦され、それが伊行にバレる。怒った伊行から散々に打ちつけられるが、それを見た猫が伊行を強襲。そのまま外へ逃げ出す猫を見届けながら、珠生は眠るように息絶える。彼女の死体は、用人・笹岡によって井戸に投げ捨てられた。
本編に登場する化猫は、この珠生に育てられた子猫が彼女を苦しめた坂井家の人間に対する強い恨みにより変貌した姿とされる。
怨念の果てに
坂井家への憎しみからモノノ怪と化し、血涙を流しながら怒り狂う化猫に薬売りは深い哀れみと人間の業を認めながらも化猫を坂井家の地と縁から解放するため、化猫の形・真・理の3つを見届けたことによって薬売りが解き放った退魔の剣で滅せられ、最終的に小さな猫の遺体に戻り、遺体は小田島達によって珠生が捨てられた井戸の側に丁重に埋葬された。
そして、薬売りが坂井家を出ようとした際に…
「こっち、こっち」
「猫猫〜」
楽しげに小さな子猫に語りかけながら子猫と共に白無垢の姿の女性が坂井家を出ていき、それを見た薬売りは驚きから目を見開きながらも、静かに笑みを浮かべるのだった…