概要
この世に存在するアヤカシ(妖)と人の情念が結びつくことで誕生する怪異。
今作の主人公である薬売りは、このモノノ怪を斬り祓うために各地に姿を現す。
モノノ怪には必ず「形」「真」「理」の3つが存在し、それらを知ることで薬売りは退魔の剣を抜きモノノ怪を斬ることが出来るようになる。
薬売り曰く「生まれるもの(人)とあるもの(アヤカシ)が真と理を伴えば形を得てモノノ怪となる」。
また、薬売りはモノノ怪をこの世にあってはならぬものと称している。
性質
モノノ怪とは、まず「モノ」とは荒ぶる神のことを指し、"怪(ケ)"とは病のことを指すと説明される。人を病のように祟るものをモノノ怪と呼び、激しい情念や怨念がアヤカシと結びつくことによって生まれるモノとする。そのため、モノノ怪には真(事の有様)と理(心の有様)が存在する。
モノノ怪が誕生する経緯は千差万別で、アヤカシと人の情念が結びつくことで誕生することは共通しているが、化猫のようにアヤカシが人間の恨みの情念と結び付き、その恨みを晴らす為にモノノ怪と化す場合、海坊主やのっぺらぼうのように人の情念に呼び寄せられたアヤカシが人間に取り憑くことでモノノ怪と化す場合、座敷童や鵺のように不特定多数の人間の情念がアヤカシと結び付いてモノノ怪となる場合もある。
モノノ怪は必ず大なり小なり因果関係のある場所や人々の前に現れ、それらとの関係が真と理の成り立ちに深く関係していることが多い。時には無関係の相手が因果関係のある相手の近くに居たことで巻き添えとなることもあるが、モノノ怪そのものが無関係の相手を率先して襲うことは殆どない。
また、必ずしも人に悪意や害意を持つとは限らず、中にはある意味では悲哀などの情念がアヤカシと結び付いた結果から生まれたモノノ怪も存在する。
しかし、結果的には人に害を与えてしまう存在である。彼らには「人の道理」が分からないのである。薬売りもそういったモノノ怪のことを「悲しいモノノ怪」と称している。
基本的にモノノ怪は特定の場所にしか存在しないが、時には同じ場所や土地に複数のモノノ怪が誕生したり、別の地からやって来るなど、様々な因果と縁を持つ場合は同じ場所や土地(及び住まう人々)でも、何度もモノノ怪を生み出し呼び寄せる可能性があることが小説版や劇場版で示唆されている。
形
モノノ怪となりしアヤカシ(妖)の名。名前は日本古来の妖怪(妖)の名前を持つ。
主にモノノ怪の姿形や性質を示し、モノノ怪が人前に姿を現した際に明らかになることが多い。ただし、必ずしもモノノ怪の形は一つとは限らない。(特定の姿形とは限らないということ。)
薬売り曰く「モノノ怪の形を成すのはアヤカシの器と人の因果と縁」。
誤解されがちだが、モノノ怪そのものに固有の名は無く、個々のモノノ怪を識別する名(形)はあくまでモノノ怪となる前のアヤカシの名前である。
真
人の情念とアヤカシが結び付きモノノ怪が生まれに至った経緯、それら経緯に隠された真実。薬売り曰く「事の有り様」。
主に、モノノ怪が出現した場所に居合わせた者達から一連の成り立ちを知る必要がある。主にモノノ怪と関係のある者や場所に起こった過去の出来事を聞くことで明らかになる。
理
アヤカシと結び付きモノノ怪となってしまうほどの深い情念、晴らしたい恨み、届けたい気持ち。薬売り曰く「心の有り様」。モノノ怪の「願い」や「存在理由」とも言える。
モノノ怪が恨みや悲しみなどの情念を持つ理由やこの世への未練、望みの内容などが含まれる。主にモノノ怪と結び付いた者の本心や秘めた想いなどを聞くことで明らかになる。
アヤカシ
この世の道理とは別の世界に存在するモノの総称。その行動原理などを人が理解することは困難とされる。また、その成り立ちは千差万別であり、人の霊から成るモノ、長い年月を生きた動物が成るモノ、付喪神のように物が古くなって魂が宿ったモノなどがある。
アヤカシであればまだ封印の呪符などが効く余地があるが、モノノ怪を退治できるのは退魔の剣だけである。逆に退魔の剣ではアヤカシを倒すことはできず、薬売りと柳幻殃斉は古の伝承に従って、アヤカシである船幽霊と海座頭を退けようとしていた。
因みに、退魔の剣はあくまでアヤカシと人の情念を断ち切る為のものであるため、「モノノ怪」として祓われてもアヤカシとしては存在し続けている場合もある。
例として「化猫」は、変異の描写が有りつつも元の可愛らしい猫の姿に戻っている。「海坊主」に至っては、祓われたその直後に別の人間に取り憑いた描写があったりする。
薬売り曰く「モノノ怪と違い、八百万に等しいほどこの世にいる為、片っ端から斬っても切りが無い」。