1.体の一部あるいは大部分が何らかの箱になっているキャラクターを総称してこう呼ばれる。
2.安部公房による小説。
ここでは、2について説明する。
概要
主人公は、体の大半をダンボール箱で被った浮浪者。元々は売れないカメラマンだったが、窃視癖があったためにそのまま箱男となった。なお、安部がこのアイデアを思いついたのは実際、そのような段ボール箱を被った浮浪者を目撃した経験による。
彼が様々な人と係わる姿を描く。完成に6年かかっている。『砂の女』とともによく知られる作品であり、色々な漫画やゲームにオマージュキャラがいる。
これまでに何度も映像化が試みられたものの、諸事情で実現せず1997年にやっと撮影開始まで漕ぎ着けたが、これも製作資金繰りの悪化で頓挫し企画は流れてしまうことに。
その後、版権はハリウッドのリドリー・スコットの製作会社に渡り40分程のパイロットフィルムが出来上がっていたものの実現せず、フランスでの映画化も企画されたが頓挫。結局、2016年に日本に版権が戻ったことで企画が改めて進行する形となり、2024年にやっと完成。同年8月23日に公開。主演は企画当初から参加していた永瀬正敏。
登場人物
- わたし(演:永瀬正敏)
箱男。元カメラマン。ダンボール箱をかぶって、港近いT市を放浪し、箱の中で記録をつけている。醤油工場の塀の近くで突然空気銃で肩を撃たれ怪我をする。その後、怪我を心配した葉子が自分が勤務する病院への通院を勧めたことで彼女に興味を持つものの、箱男をめぐって贋医者と対立することになる。
- 贋医者(演:浅野忠信)
贋箱男。T市で診療所を開業している中年男。独身。医師見習(看護夫)。脛毛が目立つ白い筋張った足。戦時中、軍で衛生兵をしていた。(映画版では、アフリカで軍医とともに医療行為をしていた設定へと変更)
箱男に憧れるあまり、「わたし」と対立することになる。
- 戸山葉子(演:白本彩奈)
看護婦見習。貧しい画学生で、個人経営の画塾やアマチュア画家クラブの連中相手に絵のヌードモデルをして生計を立てていた。2年前、中絶手術を受けに贋医者の病院を訪れ、そのまま見習看護婦として居ついた。
- 軍医(演:佐藤浩市)
戦時中に重病に倒れ、激しい筋肉痛を抑えるために麻薬を常用して中毒になる。(映画版では、アフリカで軍医として活動していたが、自身の研究のために自らの身体を被検体としたため体調が悪化し、麻薬治療による常用で中毒になった設定へと変更)
常に目やにを硼酸水の脱脂綿で拭っている。毛が薄く皮をむいた生イカのような湿った足。
- ワッペン乞食(演:渋川清彦)
「わたし」を目の敵にする浮浪者。全身鱗のようにワッペンや玩具の勲章をつけ、帽子にはケーキを飾る蝋燭のようにぐるりと日の丸の小旗を立てている。箱を小旗で突き刺す。
関連タグ
メタルギア:本作をオマージュしたと制作陣が公言。