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概要編集

『蛇にピアス』は、金原ひとみの小説。2004年の第130回芥川賞綿矢りさの『蹴りたい背中』とともに受賞した。


芥川賞の選評では、細部描写の秀逸さと、派手な道具立ての裏にある物語の純粋さが評価された。選考委員の石原慎太郎は受賞作発表後の記者会見においてこの回の候補作全体に対して否定的見解を示し、「今年は該当作無しでも良かったんじゃないか」と前置きしたうえで、それでも同時受賞した2作品の『蹴りたい背中』と本作からいずれかを選ぶならば、本作を推すとしている。


なお、単行本化にあたり結末部分が改訂されているが、その点について福田和也や関川夏央らが、改訂前の方が良かったと指摘している。


2008年に作者本人の意向を受けて、蜷川幸雄監督により映画化。主演は吉高由里子。なお、吉高はオーディション直後に交通事故に巻き込まれ一時は生死の境を彷徨うほどだったが奇跡的に回復し本作の撮影に臨んだ。性的描写が多く、R-15指定となったものの、吉高自身は入院時に検査等で医療関係者に裸を見られてしまっていたこともあり、ヌードに対しては割り切ったような心情を持っていた模様。ただ、自分の裸が「見せ物」となることには不安があったようで、蜷川に「本当に私の裸で大丈夫ですか?」と一度聞いたことがあったという。当の蜷川はその質問の直後に撮影のため脱ぎ始めた吉高を見て「頼もしい奴だ」と感心したと言う。


登場人物編集

主人公。19歳。アマのスプリット・タン(蛇のように舌に二股の切れ目を入れること)に惹かれ、身体改造に興味を持ち始める。登録制のアルバイトをしており、そこでの「つくりものの自分」は人当たりがいい様子。本名は中沢ルイ。


ルイと同棲している。スプリット・タンの他にも、顔中にピアスをしたり、腕に派手な刺青をしたりと、かなりの身体改造を施している。しかしルイには忠実で、彼女の指示にはほぼ無条件で従っている。古着屋でアルバイトをしている。本名は雨田和則。


身体改造の店『Desire』のオーナー。刺青を彫るのがほとんどだが、ピアスも扱っている。また表情がわからないほど多くのピアスを顔面に刺しているが、「人の形を変えるのは神だけに与えられた特権」という持論からスプリット・タンにはしていない。かなりのサディスト。本名は柴田キヅキ。


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