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概要編集

『蜜蜂と遠雷』は、恩田陸による小説。

国際ピアノコンクールを舞台に、コンクールに挑む4人の若きピアニストたちの葛藤や成長を描いた青春群像小説。


音楽コンクールをそのまま、予選会から本選までのすべてを小説として書くという着想を得たが、かなり難しく2009年に書き始めるまでに5年かかったという。


3年に1回、静岡県浜松市で開催される浜松国際ピアノコンクールへ2006年の第6回から2015年の第9回まで、途中からは執筆に並行して、4度取材。毎日、会場の座席で午前9時から夕方までピアノ演奏を聴き続けたことが、この小説に結実した。


取材と執筆を通して、演奏を聴き、才能というのは「続けられる」ことで、あらゆる仕事に共通し、ある種の鈍感さ、しぶとさを持った人が才能のある人だと思ったという。そのため、本作では物語の中で、「才能とは何か」を問う形となっている。


2019年に映画化。主演は松岡茉優


登場人物編集

16歳、音楽大学出身でなく、演奏歴やコンテストも経験がなく、自宅にピアノすらない少年。フランスで、父親が養蜂業で採蜜の移動の旅をしつつ暮らす。ピアノの大家のホフマンに見出され師事し、彼が亡くなる前の計らいで、現在、パリ国立高等音楽院特別聴講生となっている。野性的な演奏で、出場後「蜜蜂王子」と呼ばれるようになる。


20歳、天才少女として5歳から数年間コンサートを開きCDデビューもしたのに、13歳のときマネジャーもしてくれた母の突然の死でショックでピアノが弾けなくなり、次のコンサートを直前に中止し、そのまま音楽界から離れ、すでに過去の人と見られていた。だが、音楽大学学長の浜崎に再度見出され、推薦で同大に入学し在学中。少女時代、近所のマー君(マサル)に、彼が引っ越すまでピアノの手ほどきをしたことがある。復活した天才少女が、コンクールの中で大変な勢いで進化し続けて行く。


  • マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(演:森崎ウィン)

19歳、多くが才能を認める天才で、日系三世のペルー人の母とフランス人の貴族の血筋の父を持つ。期待の優勝候補。フランスから渡米しジュリアード音楽院に在学中で、高身長の貴公子然として「ジュリアードの王子様」と呼ばれる。少年時代に日本に一時在住し、まだ容姿が目立たないころに、アーちゃん(亜夜)が通う綿貫のピアノ教室に、彼女に連れられて行きピアノに初めて出会い、その後も何回も通い「茶色の小瓶」など簡単な曲なら2人で連弾できるようになった。しばらくしてフランスへの帰国時に、これからもピアノを練習すると約束し、現在がある。


28歳、音楽大学出身でかつては国内有数のコンクールで5位の実績。卒業後は音楽界には進まず、現在は楽器店勤務のサラリーマンで妻子がいる。だが、家には防音の練習室を備え、ピアノは、やめることはなかった。音楽界の専業者だけではない生活者の音楽があるとの強い思いがある。最後との気持ちで、コンクールに応募した。


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小説 恩田陸

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