概要
ネブクロ氏のオリジナル漫画で、ホラーとコメディの間を行く独自の雰囲気が持ち味。
元はX（旧ツイッター）とピクシブで公開されていた短編マンガであり、新潮社が開催している「くらツイ漫画賞」に応募したところ大賞と最多バズり賞の2部門を受賞、くらげバンチにて連載となった。
ストーリー
夢の不労所得のため中古のマンションを購入した薫だったが、そこは怪現象が多発するいわゆる訳アリ物件であり、そんな場所に住む人間などいるはずもなく入居者はゼロ。
どうしようかと悩んだ結果「人が住まないのなら幽霊を住まわせてしまえ」というとんでもない発想に至る。
登場キャラクター
東雲薫（しののめ かおり）
主人公にして訳アリマンションのオーナー。トップ画像中央。404号室を自宅として使っている。
実家が貧乏だったため働く事に青春も何もかもを奪われ、その反動から「何もせずに残りの人生を生きる」と決心し中古のマンションを購入したが、そこが訳アリ物件だった。
持ち前の図太い性格で幽霊だろうが何だろうがどんどん勧誘し、入居ついでに働き口も世話する事で家賃を収めさせている。
日下部ツヅミ（くさかべー）
日下部一門という「祓い屋」の少女。トップ画像左。
その筋では有名な一門だがツヅミ本人は幽霊の類を嫌っており、祓い屋としての仕事も家業なので強引に手伝わされている。
幽霊がらみで薫と出会い、幽霊集めを中止させようとマンションの敷地内にテントを張るが、薫の在り方に憧れ管理人として住む事になる。
小椋有希（こぐれ ゆき）
403号室に入居していた女性の霊で、薫とツヅミが出会う切っ掛けになった。トップ画像右。
長身で超ナイスバディ、現在は文字通りの浮遊霊。壁抜けなども当たり前のようにする。
元々が昆虫であるセミを除き、浮遊している姿を描かれているのは彼女だけである。
美大生だったが作品を認められず、精神を病み、最期の作品を描き上げて首を吊る。
病んでいる時期に描いた絵は末期には見た者を嗅覚や聴覚にまで影響を及ぼす程魅了し、最期の作品は「見たら死ぬ絵」として、マニア間では高額取引されているらしい。
現在は生前の記憶もほとんどなく、傍若無人な自由人として気ままに過ごしている。
カミキリ様
近所にある神社に住んでいた霊。101号室の住人。
少年の様な見た目でかつては多くの人々に信奉されていたが、忘れ去られ悪霊化した。
日下部一門の間でも「神斬り様」としてその名を知られていた様である。
正体は邪神を斬り祓う為に打たれた妖刀「神斬り」の付喪神。
ちなみに年齢は推定500歳。
竹内真（たけうち まこと）
とあるビルに憑りついていた男性の霊。401号室の住人。
ストレス発散のためビル内のジムに通っていたが、パワハラに耐えかねて飛び降り自殺した。
入居後は再びジムに通い、霊らしからぬ逞しい筋肉に仕上がっている。
市松
とある村で信奉されていた市松人形。102号室の住人。
髪の毛に対して強い執念を抱いていたが、薫のおかげで断ち切る事ができた。
猩々
とある山に住んでいたおばけ猿。103号室の住人。
指先だけで木の幹を毟り取る程の怪力を持ち、なんだかんだで入居する事になる。
乙幡涼音（おとはた すずね）
霊道の列に並んでいた女性の霊。104号室の住人。
交通事故で亡くなり、他の霊に取り込まれそうになっていたところを薫に助けられる。
個人的に小説を書いて売ったり売らなかったりするいわゆる隠れオタク。
ちなみに1枚3万で有希に挿絵を頼んだらしいが、それはまた別のお話。
セミ
人を川に引きずり込んでいた霊。201号室の住人。
暑さのあまり水に飛び込み溺死した昆虫霊で、セミ人間の様な姿をしている。
なお、引きずり込もうとした少年とはバイト友達になる。
丘野リカコ（おかのー）
異常にやせ細った女性の霊。202号室の住人。
バブルを生き、歪んだ美意識から無理な減量を繰り返し、他人の肉付きまで気になりだした。
男性を襲おうとした所を薫に邪魔され、美味しい話にあえて釣られて入居する。
ツレサリさん
都市伝説が実体化した霊。203号室の住人で愛称はサリーさん。
ちなみに都市伝説の元ネタは薫で、そこに様々な尾ひれがついていった様である。
ミコシ様
古びた祠に住んでいた霊。204号室の住人。
体の一部を捧げる事で予言を齎していたが、薫との価格競争に負けて行いの真意を伝える。
薫についていく方が得だという自分の予感を信じて入居する。
鬼形正義（おにかた まさよし）
スキンヘッドのいかつい探偵。
薫の知り合いで元刑事。娘の媛（ひめ）には甘い。
日下部スズ
ツヅミの弟。弟である。
日下部一門には「次男は女子として育てる」仕来りがあり、常に女装して過ごしているため事情を知らない他人からすれば女子にしか見えず、普段はリンと名乗っている。
これは、かつて祓い損ねた悪霊から「日下部家の次男を末代まで呪う」という祟りを受けたからなのだが、現在ではその悪霊を使役するまでになっている。
神宮寺英男（じんぐうじ ひでお）
スズが利用していた修験者風の男性。一応霊能力者ではあるが、あまり強くはない。
ツレサリさんに憑かれてしまい噂を頼りに鬼形の事務所へやって来る。
なんやかんやあって現在は鬼形の事務所で助手として働いている。
タカシ
短編版に登場する少年。
そこそこの頻度で怪異に遭遇するも、薫が幽霊を連れて行くため結果的に生還している。
そのセリフから読者には「見なきゃ損ボーイ」と呼ばれている。
余談
入居者を働き先へ紹介する際には薫がその素性を全て話しており、働き先も相手が怪異の類と知った上で雇用している。
有希は生前描いた絵を全て大家に譲り、それを家賃代わりとしてマンションに住んでいる。
勤め先はどれも本人の嗜好や特技に合ったものばかりであり、薫の顔の広さをより強調している。
ちなみに働き先は以下の通り
| カミキリ様 | コールセンター(全身に口を作り出す能力と、神ならではの聞き上手さ) |
|---|---|
| 竹内真 | バンジージャンプの指導員(飛び降りへの執着。現在では趣味になってしまっている) |
| 市松様 | 人形用衣装のファッションモデル(自分で自在にポーズを取れる人形) |
| ショウジョウ | 農家の手伝い(物を摘み取る事への執着から茶農家。あと、ベジタリアンらしい) |
| 乙幡涼音 | 生前働くはずだった会社 |
| セミ | プールの監視員(溺れる者への執着) |
| 丘野リカコ | 精肉店(肉を削ぎ切ることへの執着) |
| ミコシ様 | 競馬の予想屋(東雲が絡むと未来がズレるため彼女のみ利用禁止) |
