隔月刊誌フレッシュジャンプ1983年2月号、1984年13号、1988年6号に掲載後、1993年7月にジャンプ・コミックス「雷鳴のZAJI」として集英社より刊行される。
2001年12月に集英社文庫「雷鳴のZAJI―Never end heroes 1」として青い鳥の神話と共に集英社より刊行される。
また26年の時を経てチャンピオンクロスで雷鳴のZAJIの特別編が掲載予定となるなどファンの間では根強い人気を誇っている。
作品解説
白い墓(ホーム)を裏切った青年、ザジと彼の元へと送られる暗殺者(ヒットマン)との戦いの物語。
ザジ、白い墓の暗殺者たちが何故か学ラン姿で戦う設定が同時期連載の風魔の小次郎を髣髴とさせる。
SHOCK1 双龍砲(ブレイク・キャノン)のKEI
東陽学院ナンバーワンの美女、齋藤明菜は雷鳴と共に現れた転校生ザジに興味を示すが、ザジは関わり合うなと無視する上に、学院の不良を返り討ちにする。
一方、ザジは白い墓の追っ手が早くも居所を突き止めたことを察知していた。
SHOCK2 装鋼戦士(アイアン・ソルジャー)のZORO
悪夢にうなされ、東京湾のコンテナの上で目を覚ましたザジは決闘状(メッセージ)を送って来たかつての墓友(メイツ)を待っていた。
そして、戦いの最後にザジは白い墓を裏切った理由を告げるのだった。
SHOCK3 百万V(ミリオンボルト)のJOKER & 殺人蜂(キラービー)
暗殺者たちと戦いながらもある人を探し求めるザジはある港町に流れ着く。
そこで投身自殺を図ろうとする女学生をとっさに助けた途端、鋼鉄の右腕の腱が切れ気絶する。
恐ろしく強大な暗殺者がザジのもとへと迫っていたのだ。
特別編 ~はるか彼方~
オホーツクから流れ着いた流氷に運ばれ、傷付き倒れていたザジは北海道に辿りついた。
探し求める人のいる日本へ。
登場人物
ザジ
白い墓で生まれ、幼い頃から戦士として教育を受けていた16歳。
WG919と呼ばれる一流(ファースト)兵士だったが、まだ見ぬ母を探すために白い墓を裏切る。
戦いを好まないが鋼鉄にまで鍛え上げられた己の肉体を武器として暗殺者たちと戦う。
他人を白い墓の争いに巻き込むまいと無関心を装うが助けずにはいられない優しさを持つ。
背中に大きな稲妻の形の、左目下に細い三日月型の古傷がありその瞳は常に悲しみを湛えている。
齋藤明菜
東陽学院ナンバーワンの美女で、不良を含め男子生徒達の憧れの的。
自分に関心を抱かないザジに業を煮やし、ザジの隠れ家に訪れ半裸になってみせるもザジは無反応だった。
直後、暗殺者たちの襲撃を受け、ザジが二流(セコンド)兵士たちと戦っている間にケイに攫われるが最終的にザジに助けられる。
双龍砲(ブレイク・キャノン)のケイ
左頬に切り傷を持つ白い墓の一流戦士、武器は鉄壁をも貫く双龍砲。
二流たちを三人引き連れて現れたが、ザジと話をするために彼らを囮に明菜を攫う。
白い墓の掟に従い、ザジの抹殺を果たそうとする。
装鋼戦士(アイアン・ソルジャー)のゾロ
ザジのかつての墓友であった暗殺者、鼻に横一文字の切り傷を持つ。
超合金を砕き、百万ボルトの衝撃も撥ね返す装鋼(アイアン・スーツ)を纏う。
しかし、装鋼の力を己の力と錯覚していただけで己の身一つで戦うザジに敗北する。
死ぬ間際、ザジの逃亡目的を問うがザジが答えた時にはもう彼の耳には届かなかった。
百万V(ミリオンボルト)のジョーカー
白い墓の一流兵士の中でも顔に傷を持たない暗殺者。
素手から電圧を繰り出すエレクトロニックソルジャー。
自信過剰で、ザジの能力を最大限に高め優劣を競うためにザジに関わった母子を惨殺するが、ザジの逆鱗に触れ腱が切れた状態の右腕から繰り出された拳に倒れる。
山田医院の母子
医者の母親と息子のマーちゃん。
レイカが投身自殺を図っている所をマーちゃんが目撃し、ザジに助けを求めたのを切っ掛けに知り合い、右腕の腱を切ったザジを母親が留まらせる。
母親は息子の分と合わせてザジのためセーターを編み、ザジに人間らしい一時を与えてくれたがジョーカーによって母子共々高圧電流で感電死してしまう。
レイカ
投身自殺を図ったがザジによって救出された眼鏡の女子高校生。
ジョーカーに人質として捉えられ、ザジに止めを刺そうとするジョーカーを止めたため電流を浴び、衰弱する。
その正体は白い墓の少女戦士(レデイス)、殺人蜂(キラービー)のレイカであり投身自殺のフリをしてザジの右腕の腱を切った張本人。
ジョーカーとの戦いの後、正体を露わし白い墓の束縛から解放されるためザジの首を刺すも最後には衰弱死してしまう。
ザジはレイカを当初から怪しむも、自由を望むレイカの瞳を信じて手を下さず、死んだ彼女の墓を作る。
ケイコ
ザジの個人データに記されていたザジのまだ見ぬ母。所在地が日本である以外手がかりは一切ないもののザジは彼女を探し続けている。
用語
白い墓(ホーム)
人間兵器を養成・開発している謎の組織。ザジを始めとしたソルジャー達はこの組織で生まれ、人間兵器としての教育と肉体改造を施されて育てられた。ソルジャー達は学生服姿の者が多く、同僚の事を「墓友(メイツ)」と呼んでいる。ザジのコード番号にある「WG919」の「WG」も、白い墓の英訳である「ホワイトグレイブ(White Grave)」の略称と思われる。
人間兵器となっているのはザジを始めとした十代の少年ばかりで顔に切り傷が有る者が多く、レイカの様な少女戦士(レディス)まで存在。更に一級(ファースト)、二級(セコンド)と言う具合に等級が存在しており、前者には二つ名があるが後者は無名の者が多い。また、両者の間には実力的に大きな開きがあるらしく、ザジ単体に二級が束になって掛かって返り討ちに遭う場面が多い。
全貌は不明だが劇中でザジに執拗に刺客を送り込んで消そうとする辺り、裏切り者への容赦の無さと執拗さが窺い知れる(※尤も、劇中でゾロのスーツの性能をテストしていた科学者が「このままでは白い墓(ホーム)の規律を保てない」と言っていた点からこれは至極当然の姿勢なのだろうが…)。
SHOCK3の冒頭で倒された二級の「北の果て」と言う台詞と、オホーツク海の流氷に乗ってザジが日本に流れ着いた描写から、その本拠地は北極の奥にあると推察される。