地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子が、紫外線やエックス線などにより電離した領域。
電離層は熱圏内に位置し、電子密度の違いによって、下から順にD層、E層、F1層、F2層に分かれている。上の層に行くほど紫外線は強く、多くの電離が生じるため電子密度は大きく、下の層は電子密度が小さい。夜になると太陽からの紫外線が弱くなるので、最下層のD層は電離状態を維持できず消滅する。またF1層とF2層も夜には合体して一つのF層になる。これが日中と夜間の電波伝搬の差を生み出す原因となる。
時折局地的にスポラディックE層と呼ばれる小さな電離層が発生することがある。状態によってはVHFローバンド(アナログテレビ放送の1ch-3ch、FMラジオ)が反射し混信発生や通常ではあり得ないほどの遠距離受信が出来る。
電波伝搬への影響
電離層への電波伝搬は周波数帯によって異なる
- 長波:昼間はD層で反射し、夜間はE層で反射する
- 中波:昼間はD層で減衰され、夜間はE層で反射する
- 短波:常時D層を通り抜け、主にF層で反射されるが昼は高い周波数が、夜は低い周波数が反射する
- VHFやUHFよりも高い周波数の電波はそもそも電離層を突き抜けてしまうので遠くには届かない。この特性を利用して人工衛星やGPSの通信に用いている
デリンジャー現象
太陽嵐発生時には電離層の電子密度は通常よりも高くなり、短波を用いた長距離通信に障害が発生する。これをデリンジャー現象と呼ぶ。