電波による放送や通信などは適切に周波数を割り当てれば混信は起きない。しかし現実に混信は発生してしまうことがある。日本では電波法施行規則で混信現象を「他の無線局の正常な業務の運行を妨害する電波の発射、輻射又は誘導」と定めている。
ラジオの混信
ラジオ放送は放送法に定められた放送対象地域内であれば混信は起きないということになっている。ところが、他国における強力な電波を用いた放送や遠距離地域での電波特性により同じ周波数や隣り合う周波数、または整数分の一の周波数を使って他局が強力な電波を発している場合、局のお膝元でも混信を起こすことがある。
電波の特性上AMは昼間と夜間で伝達距離が異なり、FMは近い周波数の場合「強い電波が弱い電波を飲み込む」という特徴がある。
著名例
CBCラジオにおける親局の周波数は1053KHz(出力50kHz)だが、かつて北朝鮮で放送されていた統一革命党の声放送(対南宣伝組織による地下放送、2003年廃局、出力1500kHz)、およびそれの設備を使って現在も放送している朝鮮中央放送との同一周波数の混信は放送対象地域内ですら聴取を難しくしている。そのため親局と周波数が異なる中継局を岐阜県各務原市に新設したほど。
また、外国と距離的に近い近い山陰地方、九州北部、沖縄などでは地元局を聴取困難にするレベルの混信が他国の電波により発生することもある。
放送区域外のラジオ局は夜になると遠方からでもよく聞こえるようになる(これはAMラジオで使用される周波数帯には昼間存在する電離層に吸収される特性があり、その電離層は夜間に消え、ほかの電離層は電波を反射するため)が、これも混信との激しい闘いの一因となる。一例としてJOQR文化放送を放送対象地域外から聴取しようとすると、地域によっては夜間には韓国放送公社第3ラジオ「愛の声放送」(1134KHz)の強い混信を受ける。また西日本では隣り合う周波数を利用しているKBS京都と混信することがある(なお偶然にもどちらも略称はKBSである)。
また、和歌山放送と岐阜放送は同一の周波数を利用しており、区域外受信の鬼門となっている。
テレビの混信
地上デジタル放送で混信は基本的に起きない(混信した場合画像と音声が途切れる)が、過去行われていたアナログ放送は混信の影響を非常に受けやすく「映像と音声が一致しない」(例:映像はドラマなのに音声はニュース番組)、「映像・音声にノイズが入る」、「見たい番組が視聴できない」などの例が報告された。
現在のテレビ放送の場合、混信が発生しないように放送対象地域ごとに厳格なチャンネルの割当が行われ、電波の特性上遠距離まで届かないため、ラジオほど放送局同士での混信は起きない。が、おこぼれ潰しのためにあえて隣接地域と同じチャンネルを割り当てる嫌がらせのような例もある。
しかもこれで混信が発生しても総務省は「放送対象地域外だから混信ではない」の一点張りで混信を回避するにはアンテナの指向性を鋭くするしかない。
ほかの電波との混信
また、ほかの通信機や電波を出す電子機器により放送が混信する事例も存在する。例えば違法な無線などがテレビやラジオの音声等に混信することなどがあり、身近な事例では無線LANがラジオに影響を及ぼす事例が存在する。
通信の分野では特に違法無線局における混信が著しいとされる(アマチュア無線などでは慣例的なものが存在するが違法無線はそれを無視するため)。