遠距離受信
えんきょりじゅしん
特に中波帯のAMラジオは夜間になると遠方の放送局の電波が入りやすくなる。そのため例えば北海道で名古屋のCBCラジオや東京の文化放送を受信したり、韓国のラジオ放送を受信したりすることがある。また、短波放送は電離層での反射から世界中の放送を聞くこともできる。だからRN2は関東以外でも聞ける。
ただし、中波ラジオのこのような特性が時に困った事態を招くこともある。強大出力局との混信である。文化放送を聴取しようとすると、同周波数の韓国KBSが必ず混信する。
現在はRadikoのエリアフリーやJCBAインターネットサイマルラジオ等で全国どこからでもエリア外の放送をインターネットで聴けるようになった。そのため電波の直接受信に拘らなければ遠距離受信をするメリットは大きく薄れている。
アナログ放送時代の地方において、足りない系列局を補完するため盛んに行われていた。特に民放4局化未達成県ではもっぱらこれでテレビを見ている人が多く、佐賀県や徳島県に至っては民放1局体制のため基本的に隣県に頼っていた(佐賀の場合は主に福岡、徳島は四国よりも紀伊水道越えして在阪局受信がポピュラー)。
また4局化県でもテレ東目的での遠距離受信があった。長野県での山岳回折利用の在京局受信などである。
地上波テレビがデジタル化されて以降は電波の飛びが抑えられたこと、ケーブルテレビの普及になどより、遠距離受信はあまり行われなくなった。しかし今でも遠距離受信がしやすいポイントが全国にいくつかあり、一例として三重県伊賀地方や同県沿岸部、愛媛県松山市、佐賀県などがある。
テレビ・ラジオともに遠距離受信をする場合は、出力の高い親局を狙って高性能アンテナを向けて受信する。受信できない場合は電波が到達していると推定される中継局を狙う。
なお、高性能アンテナの方角を色々いじると通常なら受信し得ない放送局の電波を拾うことがある(過去に三重県で八丈島または新島から届いた在京キー局+MXを受信したことがある)。
高速交通や飛行機が一般化しておらずインターネットもない時代に、遠方や海外の生情報を拾える大変貴重な手段であり、1970年代にはBCLブームも起こった。多くの局では受信報告書の提出者にお礼としてベリカードを渡しており、マニアはベリカード集めに熱中した。
春~夏にかけて局地的に上空100mあたりのところに「スポラディックE層」が発生する事があり、例えばVHF帯の電波は電離層を突き抜けるが、この「スポラディックE層」が発生すると電波を反射する性質がありこれを利用して遠距離受信できてしまう事がある。