黒田勘平
くろだかんぺい
「パスからメッセージが伝わらないの?」
エスペリオンジュニアユースからの昇格組。常に冷静沈着なプレースタイルのミッドフィルダー。普段はのんびりと温和で人当たりの良い雰囲気を纏うが、プロになることを最優先するリアリスト。サッカーに対する考え方の違う冨樫とは竹島とともに確執を抱えている。
(アニメ公式サイトより引用)
ちなみに、よく開眼する。
主人公の青井葦人らと同時に入団した一人で、9人の昇格組(※中学生チームのジュニアユースから昇格してきた選手)のうちの一人。
橘総一朗と寮で同室。
エスペリオンにはジュニア(小学生チーム)の頃から所属している。
ポジションはMF。
身長は判明済みの選手の中で最も小さな161cm。
小柄ながら足が速く技術力も高く頭の回転も早く、体格の大きな選手からボールを奪取したり、サイドに追い込んだり、敵陣を駆け回って守備を掻き乱すなど、攻守様々な局面でチームに貢献する。
極端なほど理屈で固められたそのプレーには全てに意味が込められており、無駄な動きが一切無い。Bチーム監督伊達望コーチに言わせれば、「もっともユースらしい選手」。
普段は温厚で人当たりもよく、あまり初対面の人間と絡もうとしない昇格組の中では比較的誰とでも喋る方。
だが、ひとたび仲違いすれば和解するまで必要な場合を除き自分から関わることはほとんどなくなる。
特に冨樫慶司とは三年に及ぶ確執(後述)を抱えており、葦人にも「彼には気を許さないほうがいい」と警戒を促した。(もっとも、この頃の葦人は人の話をあまり聞いていないので、黒田の忠告も聞き流された)
「理屈お化け」呼ばわりされるほど計算高く合理的な性格は黒田の強みである一方、この手のキャラの宿命というべきか、理屈に合わない動きをする人間とはだいたい相性が悪い。
このタイプは敵にいても味方にいても手を焼かされる傾向にあり、特に初期は基本を知らない上にこちらの話も聞かない葦人に振り回される羽目になった。不憫。
エスペリオンユース監督である福田達也に強く憧れている。
学校では朝利マーチス淳、竹島龍一、本木遊馬らと過ごしていることが多い。
ちなみに、単行本33巻に収録されたエスペリオンランキングによると長風呂で2位、甘党で3位にランクインしている。
Bチームでの活躍
「活躍すればAチーム(一軍)昇格」を約束された新入生紅白戦では、葦人と同じ黒チームのMFで出場。
試合開始直後に味方の冨樫に突き飛ばされ煽られるが、冷静にFWの葦人のサポートを続ける。
葦人が敵DFの朝利に一対一で勝てないことを察知すると、亀山航、島安由太と連携し冨樫にも指示を出して素早くプレーを修正。
試合終了間際には遊馬の指示で前線へ駆け上がり、左サイドで増子由維を引き付けた。
勝利に貢献したがAチーム昇格はならず、Bチーム(二軍)からのスタートとなった。
Aチームとの11人対21人の試合では、味方が21人いるにもかかわらず11人しかいないAチームに苦戦を強いられる。
葦人や朝利の「当たり前のことをやろう」という言葉に一度は奮起するが、先導した葦人本人が「当たり前のこと」を理解しておらず、敵だけでなく味方の葦人にも翻弄され、怒りをぶつけた。
初めての公式戦、都リーグ第1節、成京高校との試合ではスタメンで出場。
前半は黒田も含め一年生ほぼ全員が悪い空気を試合に持ち込み、連携ミスを連発して0-3という最悪の状況に。二年生の中村平から交代を進言されてしまうが、監督の伊達は「膿を出してこい」と黒田たちを続投させる。
後半開始から二十分頃、葦人が試合の中で「当たり前のこと」に気付くと、すぐさまその意図を理解し前線へ走り込む。このときの連携は失敗したが、直前の葦人の動きを評価した。
ここから葦人、朝利と三人でトライアングルを形成して敵の守備を崩すと、一気に2点を奪取(2点目は黒田のゴール)。
試合が止まった間に葦人に「当たり前のこと」とはサッカーの基本である「トライアングル」の概念を指すこと、その重要性は普段の練習から何度も声を掛け合ってきたはずであること、そして、今まで葦人が同期に興味を持たず、自分たちから何かを学ぼうとしてこなかったことを指摘。
「なら絶対無理だ。たとえ僕らが懇切丁寧に説明したって、君の中に残るものはなかったと思うよ」
翌週の久留米第一高校戦では再びスタメン出場し葦人と連携。描写はカットされているが、後半34分に葦人のアシストを受けてゴールを決めている。
この試合での活躍を評価され、朝利、平、長野樹とともにAチーム昇格を決める。
が、全く通用せず一ヶ月で降格しBチームに戻ってきた。
東京武蔵野蹴球団ユース戦でもスタメン出場。
降格の挫折感や自分達の戦術への迷いを隠しきれず、パスミスを狙われてピンチを招く。ミスを取り返すべく敵チームFW金田晃教のマンマークにつき、技術やスピードで圧倒するも、金田のゴールへの凄まじい執念に敗れ、逆に失点を許してしまった。
この失態の連続により腹を括った黒田は前半終了間際、身を挺して金田のシュートを止めることに成功する。ゴールポストに頭を打って流血し、交代させられかけていたが……
「――僕は、我慢ならない…!!」
「僕の責任でチームが負けるなんてことは、死んでも嫌だ…!!」
「僕のプライドが許さない…!!」
黒田は自ら続投を志願する。
勝つためには冨樫・竹島の連携の機能していない守備から立て直す必要があった。そのため二人をカバーできるDF寄りにポジショニングさせてくれと伊達に進言。
冨樫の反発はあったが、後半が始まるとその進言通りに冨樫・竹島と守備でトライアングルを形成し、敵チームの攻撃を悉く完封。見事に守備からチームを立て直してみせた。
冨樫との確執もここで概ね解消する。
エスペリオンの攻撃のターンになってからも、葦人のパスから正確に意図を汲み取り前線の橘へキラーパスを通すなど、攻守にわたってチームに貢献した。
この試合での活躍を評価され、葦人、冨樫、大友栄作と共に再びAチーム入りを果たす。
Aチームでの活躍
二度目の昇格ということもありサブメンバーの中ではそれなりに喰らいつけていたが、レギュラー組に混じってのパス練習には全くついていけず大きな挫折感を覚える。
プレミアリーグ第7節の柏大商業高校戦ではベンチにも入れず、自分と冨樫と大友が福田から失望されていたことを知った。
さらに怪我していた三年生の小早川透士の復帰によりベストメンバーとなったレギュラー組に加速度的に実力差をつけられていき、「いつ福田監督に見限られてもおかしくない」という恐怖に苛まれるように。
「僕の邪魔をしていたのは、くだらないエリート意識だったのか…!!」
福田から「信頼できる意見を求めて、人に訊け」と指示を受けると、大友と共にBチームの頃から自分を知っている伊達に厳しい意見を貰いに行く。
そこで自分がセオリーでサッカーを考えてしまう癖がついていること、それが問題であり葦人から学ぶものは多そうだと早い段階で気付いておきながら自分を見つめ直そうともしなかったこと、無意識に葦人を下に見ていたことを自覚。
その後、冨樫から夜練の誘いを受けると、以前の「なりふり構わずやってこなかった」自分はオーバーワークを気にして居残り練習に参加しなかったことを顧み、夜練に参加した。
プレミアリーグ第13節、東京VANSユースとの試合にてAチーム昇格から初のベンチ入りを果たす。
試合にこそ出られなかったが、エスペリオンに不利な状況が続く理由や敵チームの狙いをフィールドの外からいち早く見抜いた。
船橋学院戦でもベンチ入り。
しかしこの試合を機に遊馬を除く一年生の起用が途絶え、黒田もベンチにすら入れられなくなる。
二ヶ月ぶりに一年生の起用を再開したJユースカップ第3節磐田アレグリオU-18戦でベンチ入り。途中交代出場を果たす。
描写はダイジェストのためカットされていたが、冨樫と連携し右クロスが得意な選手を左に追い込むなどしてチームの守備に貢献したことが後の試合解説にて明らかになる。
Jユースカップ準々決勝ガノン大阪戦では、練習で痛めた二年生の桐木曜一に代わってスタメン出場するが、途中三年生の馬場昌徳と交代する。
続く高円宮杯プレミアリーグイースト第17節船橋学院戦でもベンチにいる姿が映っている(出場したかは不明)。
高円宮杯U-18プレミアリーグイースト最終節、青森青蘭高校戦にもベンチ入りし、後半アディショナルタイムから三年生の山田豊に代わり出場。
エスペリオンの主力である山田との交代に観客からは不安視されたが、葦人の覚醒に賭けて連携の取りやすい選手で固めようと自分を選んだ福田の期待に応え、葦人たちと連携し、ボールを散らし走り回って敵を撹乱した。
翌週、埼玉スタジアム2002で行われたチャンピオンシップガノン大阪戦にもベンチ入り。
エスペリオンジュニア(小学生チーム)所属。
少なくとも小6の時点から上述した「普段は温厚で人当たりもよく、あまり初対面の人間と絡もうとしない昇格組の中では比較的誰とでも喋る方」という性格は変わっていない。
見た目も前髪に分け目がない程度の変化で、小柄・黒髪・よく開眼する糸目という特徴は今と同じ。
ちなみに、現在と過去編を同じ声優(堀江瞬氏)が担当しているのは同期で黒田のみである。
冨樫との確執
小学六年生の冬、冨樫が練習生の一人として一週間ジュニアチームに練習参加してきたことがきっかけ。
三日目の昼食時、黒田は練習生の中で唯一自分たちの練習についてこれていた冨樫に、午後から行われる練習試合で自分との連携を試さないかと持ちかける。
打ち合わせ通り敵ゴール前でボールを受けた冨樫(※当時はFW)の隣を走って抜け出し、GKと一対一に。だがここで黒田は、今自分が撃つより敵のDFがはがれ完全フリーになっている冨樫に撃たせた方が確実に点が入ると考え、バックパスを寄越した。うまくゴールに繋がれば冨樫にとって大きなアピールになるはずだったが、「黒田が撃つ」と思っていた冨樫はこのパスに反応できず、逆に敵の反撃を許してしまう。
その後、冨樫に自分がパスを選んだ理由を話したが、「プロになるためのサッカー」をずっとやってきた黒田とそうでない冨樫の価値観は食い違い、亀裂が生まれる。
最終日に再び行われた練習試合には、ジュニアユース(中学生チーム)の監督が見にきていたため、黒田も含め試合に出ていたほぼ全員がいつもより気合を入れて戦っていた。前回と同じようにGKと一対一の局面に持ち込むと、今度はゴール前でフリーの冨樫へパスせず自分でシュートを撃ち、得点。
しかし、その「上の人間がいる時はプレーを変える」という試合態度に憤った冨樫に胸ぐらを掴まれ、怒りをぶつけられた。
「…テメェらってよォ…プロになるためにサッカーやってんだな」
「勝つためじゃねえんだな」
その後、味方のミスをカバーして負傷した冨樫に「『この一戦で生きるか死ぬか』って試合が来た時、てめェらみたいなのが役に立つとは思えねえ」と再び叱責されると、黒田も「生きるか死ぬかの試合って何だよ?」と苛立ちを爆発させる。
「ていうか僕らが…プロになることを優先してサッカーしてるとして、何が悪いの?」
「少なくとも僕は…プロになれないならその瞬間自分の人生は終わりと思ってる」
「人生を賭けてる。僕らは、背負ってるものが違うんだ…!!」
この出来事以降、お互い中学生になってからも何度か試合で当たったようだが、確執は解消せず、現在に至る。
余談
このとき冨樫が使い黒田が否定した「生きるか死ぬかの試合」という言葉だが、後にある人物もこの言葉を使っていたことが明かされ、黒田はショックを受けることとなる。
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