概要
背と腹の甲を構成する最外層の角質からなる鱗板を10枚程度に剥がして得られ、色は半透明で、赤みを帯びた黄色に濃褐色の斑点がある。
べっこう飴はこれに見た目が似ていることから付けられた。
失伝の危機
現在、残念ながら鼈甲を加工する技術は徐々に失われつつある。
鼈甲の素となるウニガメがワシントン条約によって保護対象に指定されたため、新たな原料となる亀の甲羅の入手が困難となった。
このため条約締結以前に国内で剥製として出回っていたものか、既に鼈甲として加工されたものを再利用するしかない状況となった。
それでも2000年台までは各地で鼈甲職人たちが細々と技術を継承してきたのだが、職人たちが旧態然とした徒弟制に拘ったことが失策となり、技術継承を望む熱心な若者を取り逃してしまう。
そうしているうちに、鼈甲細工そのものの希少性が上がって価格も高騰し、庶民層には手の届かない富裕層向けのコレクターアイテム化へ。
需要そのものが減ったことで、鼈甲職人の未来そのものに暗雲が立ち込めてきている。
一方でこの流れに抵抗する動きも2020年台からようやく活発化しているようで、各地で鼈甲細工の工房がメディアの取材や技術展示に協力する姿勢を強め、鼈甲文化の伝燈を絶やすまいと動いている。