概要
ソンムの戦いで初めて実戦投入されたイギリス軍のMk.Iに衝撃を受けて、ドイツ軍が急遽開発した戦車。
「A7V」の由来は開発を担当した「戦時省運輸担当第7課(Abteilung 7 Verkehrswesen des Allgemeinen Kriegsdepartements)」の略称である。
イギリス軍のMk.Iが超壕性能や超堤性能を考慮して、菱形の車体に全周型のキャタピラを採用していたのに対し、A7Vは開発を急いだため農業用トラクターのキャタピラをほとんどそのまま採用していた。そのため履帯の長さに対して車体のオーバーハングが長くなりすぎ、また最低地上高も低すぎたため不整地での走行性能は大きく劣っていた。重心の高さも走行性能に悪影響を与えたと思われる。
ただし、Mk.Iと異なりサスペンションを省略しなかったため乗り心地自体は(しょっちゅう引っかかって止まることを考慮に入れなければ)幾分マシだったと推測される。
量産に十分なリソースが回されなかったため生産数はライバルのMk.I系列が合わせて1000両以上生産されたのに比べてはるかに少なく、戦局に大きな影響を与えることはできなかった。
また、後述の通り装甲のない兵員輸送車型も生産された。
生産数は戦車型22両、輸送車型が30両。兵装は57mm砲1門、7.92mm MG08機関銃6挺。乗員18名。
派生型
Überlandwagen:A7Vの車台の上に非装甲の荷台を載せた輸送車両。屋根は無く、武装も施されなかった。
A7V-U:鹵獲された英国のMk.IVを参考に、A7Vを改造して作られたドイツ版菱形戦車。1両のみ試作。重量が嵩み、性能は向上しなかった。