概要
血中のガス交換(二酸化炭素の除去および酸素の付与)という肺の機能を代行する生命維持装置。患者の静脈血を抜き取り、成分を交換して再び体内に戻す。主に重度の呼吸不全に陥った患者の生命維持ないしは蘇生の手段として用いられる。
ちなみに、いわゆる「人工呼吸器」は肺にガス(空気)を送るための《呼吸》を補助する装置であり、患者自身の肺の機能を用いる点でECMOと大きく異なる。「人工心肺装置」は、多くの場合は心臓手術などを行う際に用いられる装置が念頭に置かれる。外部装置を用いて血液のガス交換を代行する点ではECMOと共通しており、ECMOを指して「ECMOと呼ばれる人工心肺装置」のように説明される場合はある。
ECMOは、重度の呼吸不全に陥り人工呼吸器でも生命維持が難しくなっている患者に肺のガス交換機能を提供維持できる装置といえる。しかしながらECMOの配備や運用には多大なコストが必要である。
医師や看護師、臨床工学技士を含めたチームが10人以上かかり、有資格者であっても短期の研修で簡単に扱えるものではなく数年単位の修行が必要である。
絶えず目を配ってトラブルに適時対処しなければ血栓ができたりする危険性があり、アメリカの俳優ニック・コルデロはECMO装着時に血栓ができて片足切断を余儀なくされ、結局死亡した。
熟練したスタッフが扱わなければ逆に命を縮めてしまう。
ECMO自体もかなり場所を取る機材なので、小規模な病院ではほぼ導入は不可能である。
COVID-19の流行期に重症者への治療方法として注目が集まったが、肺組織そのものを再生する力はなく、あくまでも「呼吸を機械で代行し、その間に自然治癒力で体組織が回復するのを待つ」という治療である。
関連タグ
志村けん:ECMOを装着しての治療が行われたが、回復することはなかった。