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FW16

えふだぶるじゅうろく

FW16は、イギリスのレーシングチーム「ウィリアムズ」とフランスの「ルノー」がタッグを組んだ1994年のF1マシン。
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概要編集

FW16は、イギリスのレーシングチーム「ウィリアムズ」とフランスの「ルノー」がタッグを組んだ1994年のF1マシン。

この年に行われた、アクティブサスペンションなどのハイテク機器の装備を禁止したレギュレーションの対応のため、ハイテク満載だった前年のFW15Cとは打って変わって、極めてシンプルなマシンとなった。

また、アイルトン・セナが搭乗した最後のF1マシンでもある。


FW16編集


このマシンではリアエンドのエアロダイナミクス処理に工夫がなされた。

リアウィング下段(ビームウィング)周辺の気流を整えることで、ディフューザーからの引き抜き効果を高めることが主な狙いだった。

ダブルウィッシュボーンのアッパーアームによって気流が乱れることを避けるため、アッパーアームをアクスルセンター位置まで120mm下げ、ドライブシャフトを覆う翼状のカバーを兼ねることで整流効果を高めた。

ビームウィング自体は中央が隆起するブーメラン形状となった。さらに、通常はビームウィングの下にあるテールライトを前方に移し、エンジンカバーの末端部に透明なカバーを付けて設置した。


ただ、前年まで搭載されていたアクティブサスペンションの効果が高かったゆえに逆に失ったダメージも大きかった。


開発メンバーは空力面を追求するため、従来とは異なる新たなサスペンション設計をF1に持ち込んだが、この実現は基礎工学とストレス解析をコンピューターが解析して初めて可能になったものであり、F1の技術進歩を証明するものであった。

だが、マシンの基本設計はアクティブサスペンションの使用を前提にした設計であったことや、前年のシーズン半ばでのレギュレーション変更により、アクティブサスペンションなどハイテク装備が禁止された事でマシン開発に影響が生じ、大幅な設計変更が余儀なくされた。この影響でマシンの完成は遅れ、本格的なテスト開始は開幕直前にまで遅れた。


1994年シーズン序盤編集


この年は、マクラーレンから3度のワールドチャンピオンを獲得したアイルトン・セナを迎え、この年のチャンピオン最有力と目されていた。

しかしシーズン前のテストから、(車高の変化に対して)マシンが神経質な挙動を示し、突然リアが滑ってドライバーがスピンを喫する場面が幾度か見られた。

さらに、シーズン開幕から2戦連続でベネトンのミハエル・シューマッハに優勝を決められ、セナは2戦連続リタイアと最悪の出だしとなった。

セナは第3戦サンマリノGPの直前、親友だったゲルハルト・ベルガーに対して、「ゲルハルト、マシンをドライブするなんてことはできないよ。マシンには空力的にドライブが難しい部分があったようだ。パフォーマンスは最悪で、まだ乗りこなせていない」と漏らしていたという。


チームは空力に問題があると判断し、第2戦終了後に路面がバンピーなノガロ・サーキットでプライベートテストを実施し、大型化したサイドポッドが原因であると突き止めた。

サイドポッドを長くすると床下のフロア面積が増え、グラウンド・エフェクトが向上する反面、マシンが沈み込んでフロアが路面に接近すると、サイドポッドの前縁部分で気流が剥離し、後方のディフューザーをストールさせていた。

チームは短縮版サイドポッドの製作に取りかかったが、サンマリノGPではセナが事故死をしてしまうという悲劇のマシンになってしまった。


サンマリノGPの事故を受け、第5戦スペインGP以降、ディフューザーの短縮、フロント翼端板のボーテックスジェネレーター撤去、エンジンカバーの開口(ラム圧減少)、コクピット開口部の拡大といった矢継ぎ早のレギュレーション変更への対応に追われた。

 

FW16B編集

第9戦ドイツGPから投入されたFW16の改良モデル。


国際自動車連盟 (FIA) の安全強化策として、マシンに「スキッドブロック」を装着することが義務化された。

これは、床下に薄い木板を貼り付けることで車高を上げさせ、さらにダウンフォース発生量を減らすことでコーナリング速度を落とすという狙いがあった。

FW16Bはこのタイミングに合わせて投入された。主な改良点は、サスペンションジオメトリーの修正、サイドディフレクターの大型化、さらにサイドポンツーンの小型化などで新たにショートストローク化したRS6Bの搭載など。


安全上のレギュレーション変更によりダウンフォースは減少したものの、スキッドブロックの装着にって強制的に車高が上げられた結果、(皮肉にも)神経質な空力特性は改善された。

ウィリアムズはコンストラクターズチャンピオンの3連覇に成功したものの、ドライバーズランキングは最終戦・オーストラリアGPまでもつれ、デイモン・ヒルが惜しくも1ポイント差で2位に終わった。


FW16C編集


翌年からレギュレーションが改定され、エンジンの排気量が3リッターに制限される事から、それに向けたエンジンを搭載したテストカーである。

1994年12月20日から22日にかけて、フランスのポール・リカールでテストが行われ、デイモン・ヒル、ジャン=クリストフ・ブイヨン、エマニュエル・コラールがドライブした。


行われた主な改修編集

FW16

・ディフューザーの短縮

・フロント翼端板のボーテックスジェネレーター撤去

・エンジンカバーの開口(ラム圧減少)

・コクピット開口部の拡大


FW16B

・スキッドブロックの装着

・サスペンションジオメトリーの修正

・サイドディフレクターの大型化

・サイドポンツーンの小型化



関連タグ編集

アイルトン・セナ デイモン・ヒル ウィリアムズF1 ルノー F1


前期型 FW15C


後継機 FW17

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