概要
現行のM110 SASSを使用する運用部隊のレポートと改善点のリストから大半が大規模なオーバーホールを必要とし、5.56x45mm NATO弾を使用するM16がベースの為剛性不足から寿命が短いという評価もある為、米軍は後継を選考するCSASS (Compact Semi-Automatic Sniper System:コンパクト半自動狙撃銃システム) 計画のトライアルを実施。
トライアルに提出されたものはマークスマンライフルモデルの軽量パトロールモデルであるG28E3をトライアル仕様にしたもので、具体的には、ハンドガードをKeyModに似た独自規格のHKeyレイルシステム、OSS社製モジュラー式サプレッサー、各種操作類がアンビになっている。
契約を獲得し、ボルトフォアードアシストの除去など仕様を一部変更したものがM110A1 CSASSとして採用された。
特徴
M110の動作方式DI式(ダイレクト・インピンジメント方式)は発射ガスをボルトキャリア内に直接噴きつけることでボルトを後退させるが、発射ガスには火薬カスやカーボンを大量に含む為定期的なメンテナンスが必要になってくる。
M110A1の動作方式のショートストロークピストン式は発射ガスをガスポートを通るまでは同じだがガスブロック内にシリンダーとピストンが有り、ピストンが発射ガスに押されオペレーティングロッドを後退させ、ロッドの先端をボルトキャリア上部に衝突させることで後退させる。
この為発射ガスがレシーバー内部に侵入しないため汚れによる動作不良が減るが、パーツが増えた為重量増加や、真後ろにボルトが後退するDI式と違いボルト後部が下方向前部は上方向に持ち上げられたまま後退する為パーツの摩耗、変形の問題も指摘されている方式でもありM110と比べて命中精度は低下したが動作不良発生率は激減した。
外装としてはアッパーレシーバーが鋼からアルミニウム製に、ハンドガードがGeissele社製M-LOKレールハンドガードにスコープマウントとトリガーもGeissele社製、Schmidt&Bender社製3–20×50 PM II超短望遠鏡サイト、OSS社製SRM6サプレッサー、Harris社製6-9 バイポッドとなっている。
M110E1 SDMR
分隊選抜射手ライフル (SDM-R: Squad Designated Marksman Rifle) としてM110A1と追加購入されストックとバレルが変更、スコープもSIG Sauer社製ango6 1-6x24mm ライフルスコープを採用しており、0〜600mを正確に射撃できるようになっている。
2023年末までに全ての分隊に配備し歩兵、工兵、偵察兵にスナイパー並みの能力を与えることになる。
私物か不明だがVORTEX RAZOR HD GEN Ⅲ (対物レンズ側のチューブがフラットでサンシェードで延長)と後部マウントリングを変更してRMRドットサイトがバックアップサイトとした使用例も見られた。
仕様(M110A1)
全長 | 899〜1,009mm |
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銃身長 | 414mm(16.3in) |
重量 | 3.96㎏ |
口径 | 7.62x51mm NATO弾(M118LR) |
装弾数 | 10/20発 |
余談
SNSでM110A1と呼ばれる大半がM110E1の方である。
A1はストックがG28を流用、E1はHK417のストックを使用しているのでそこで見分けて欲しい。
しかしロアレシーバーの刻印には両方M110A1(殆どの部品が共用しているので刻印だけの変更による費用増加を嫌がって?)とされておりあくまでナンバリング上の違いでだと思われる。
エアソフトガン
台湾のエアソフトガンメーカーVFCがM110A1を電動とガス両方を正式契約によりリアルに再現して製品化。発売日は未定。