概要
特筆すべきは、このクラスでは最も先鋭化していたパッケージングである。
レーサーモデルRMX250に保安部品を付けただけのような形態で、実際にRMX250や、その上位機種であるモトクロッサーRM250と部品を共有していた。
ライバル車種は公道用ということでタンデムステップが付いており二人乗りが可能だったが、本車は一人乗り専用であり、タンデムステップは付いていない。
これは、初めからエンデューロレースでの使用に主眼を置いており、一人乗りの状態で乗車姿勢や足回りのベストパフォーマンスを発揮できるよう割り切って設計されたためである。
シート高も895mmと国内最高級の数値であり、身長によっては極端なつま先立ちを強いられる。
エンジンは250cc水冷2ストロークで自主規制いっぱいの40馬力を発揮。
アクセルレスポンスを最大限に高めるため、2ストロークエンジン特有の振動を抑えるための必需品であったバランサーすら排除。
当然ながらノイジーな振動が強くなり快適性を犠牲にしてしまったが、これもレースでは気にする必要が無いという割り切りであった。
1996年にはビッグマイナーチェンジを施しデザインを刷新。
同時にフロントフォークを倒立式から正立式に変更している。
一般的には退化のように見える変更だが、実際には逆に進化を求めた末の判断だった。
スズキ系パーツメーカーだったオートリメッサを中心にチューニングパーツが豊富に発売されたこともあり、元来の基本性能に磨きをかけたRMX250Sはエンデューロを席巻。
軒並み好成績を残し、90年代のエンデューロシーンを締めくくった。
排ガス規制強化により、1998年モデルをもって生産終了。