概要
ヴァンケルスパイダーでロータリーエンジンの実用化に成功した西ドイツの自動車メーカーのNSUは、これとは多少前後する格好ではあったが、2ローターのロータリーエンジンの開発を進めていた。
ところが、ヴァンケルスパイダーを発売しようとした矢先、極東の自動車メーカーが、2ローターのロータリーエンジンを開発した上、それを搭載した車の試作車を完成させてしまう。当然ながら「やられた!」と感じたようで、開発中であった2ローターロータリーエンジンに見合った車の開発を急ぐこととなる。
斯くして1967年に発売を開始したロータリーエンジン搭載4ドアセダンが、このRo80であった。なお、これに伴い、ヴァンケルスパイダーは生産・販売を終了している。
ロータリーエンジン以外でもFF(前輪駆動)、長いホイールベース(全長4.8メートルに対し2.9メートル)、4輪独立懸架ばかりか4輪ディスクブレーキを採用、空気抵抗を抑えられる流れるようなデザインが特徴であり、これらの点が認められて1968年にはヨーロッパにおけるカーオブザイヤーも受賞した。
ところが、いざ販売をはじめたところ、エンジンの作動室にエンジンオイルを入れすぎないようにするオイルシールの不具合によるエンジン総入れ替えが相次いだことで評判は下落、当然ながら販売不振に陥ったばかりか、これが元でNSUはアウディに吸収合併されてしまった。
アウディの手によってエンジンは改善されたものの、ロータリーエンジンのアキレス腱である燃費の悪さがオイルショックによって浮き彫りにされたこともあって販売は低迷、結局1977年に生産・販売は終了した。
そしてアウディはロータリーエンジンから撤退したのだった。
なお、この車でドイツからポーランド、ロシアを経て日本を訪れた、という人が実際にいたりする(参考資料1、2)。
外部リンク(参考資料)
- Wikipediaの記事
- WebCG「これっきりですカー」の記事