概説
iTunesはiPodファミリーのデバイス管理という役割を担ってきた。
バージョン重ねるごとに動画ファイルの再生及び管理、ラジオの視聴、iOSアプリの管理、
iTunesStoreへの接続機能など、多くの機能が追加された。
Macintoshではデフォルトのメディアプレイヤーとしてプリインストールされている。
iTunes単独としてよりも、iPodやiPod風といったタグと共に用いられることが多い。
当初は、WindowsからMacへの"Switch"(乗り換え)を促すという販売戦略から、
Mac版のみを無償配布していた。
その簡略化されたユーザインタフェースなどで、Apple製の周辺機器・ソフトウェアへの興味を持ってもらう戦略だった。
その後Windows版の無料配布を開始、iTunesを通してApple流の操作感覚に親しんでもらい、
iPodの購入とMacへの乗り換えを促すという方針に転換した。
現在のiTunesは、Windows版よりも本来のOSX版の方が快適に動作する。
現に動作速度一つを取ってもWindows上よりもOSX上のほうが高速に動作し、
安定性も高い(Core Foundationが統合されていることが大きい)。
さらにMac版ではASIOと同様に
音楽制作に特化していると言われるCore Audioを標準で使用している
(iTunesがQuickTimeを利用することで、Core Audioを使用していることになる)。
ビットレートが低くなればなるほどMac版の方が劣化が少ないという差が分かりやすい。
2012年4月現在、最新版はMac OS X v10.5/v10.6/v10.7とWindowsXP SP2以降(32ビット版)、WindowsVista(32ビット版/64ビット版)、Windows7(32ビット版/64ビット版)に対応。Windows XPの64ビット版には正式対応していないため不具合が発生する。
iTunes再編へ
しかし、あまりに多くの機能を搭載し複雑化した結果、iTunesはリリース当初と比べると見る影もないくらいに肥大化してしまっていた。
そこで、2019年10月のmacOS Catalinaの登場とともにmacOS版iTunesは廃止され、各機能は以下の個別の新たなアプリケーションに分割・継承された。
- 音楽→「Apple Music」アプリに移管
- ポッドキャスト→「Podcast」アプリに移管
- 映画・ビデオ→「Apple TV」アプリに移管
- 各iOSデバイスの管理→「Finder」へ機能統合
ただし、これらの代替ができない旧バージョンのmacOS向けおよびWindows版のiTunesは当面現状維持される。
何故「Windows版iTunes」は廃止されないのか?
ここで疑問になるのが「iTunesを再編するのがmacOSは良くてWindowsでは駄目なのか?」という点であろう。
そもそも先述した様にハードであるiMacやiPhoneやiPad、それらを動かすiTunesやmacOSは「Appleの製品」であり、同一のメーカーであるためにシームレスに動かせる。極端な話、今日におけるiOS搭載デバイスはiMacが無くてもそれなりには使えるのだ。
しかしこれがWindowsになると話が変わってくる。
iTunesは音楽ダウンロード配信や映画・テレビ番組のダウンロード、ストリーミングプラットフォームとして重要なプラットフォームとなっており、仮にWindows版を廃止してしまうとApple以外のコンテンツパートナーにも影響が及んでしまい、各方面での調整が必要になってしまう。
もしWindows版iTunesを廃止するならば
- macOSと同様にApple Music、Podcast、Apple TVの各アプリを用意する
- iOSデバイスと連携するための機能やアプリを別途提供する
という必要がある。確かに「macOSにおけるFinder≒Windowsにおけるエクスプローラー」であり、図式的にも違和感は無さそうだが、例えAppleは把握し理解していてもそんな手段を認める事は無いだろう。何故なら…
エクスプローラーで操作出来るまでに敷居を下げられると、iPhone所有のWindowsユーザーに「最終目標」であるiMacやMacBookを買ってもらえず、Appleにとっては不都合極まりないからだ。
Androidスマホの様に「接続するだけで素早く内部にアクセス可能」になるのは、Appleにとっては「自らの『特権意識』を否定され、優位に立てなくなる屈辱的行為」に他ならず、そんな認識をAppleが改めない限りはWindowsでiTunesが廃止される事は無いだろう。
…しかし、2024年になり状況は一変した。
2023年初頭に「プレビュー版」として配布されていた、Windows向けの「Apple Music」「Apple TV」に加え、Windows上にてiPhoneやiPadなどのAppleデバイスの更新やバックアップ、復元やコンテンツの同期が可能(先述したmacOSにおけるFinderでの操作に相当する要素を代行する)な「Appleデバイス」が正式版として同年2月7日に配信開始されたのである。
ただし、WindowsではPodcastやオーディオブックの管理を目的として当面iTunesも存続する形となる。
主な機能
主な機能や特徴は以下の通り。特徴的なものについては詳細を後述する。
- 音楽CDからの楽曲の取り込み
※コピーコントロールCDはサポートしていないがOSとCDドライブの組合せによってはCCCDを読み込める場合がある
- 音楽のプレイリストによる整理。
- ジャンルや再生した日時などの条件を設定し、その条件に沿った曲を自動的にリストする「スマートプレイリスト」機能。
- 次に再生する曲が分かるランダム再生機能「iTunes DJ」機能。なお、アルバム毎のシャッフルにとどまらず、プレイリスト上、あるいはライブラリ上の全ての曲を対象にシャッフルが可能。なお、このシャッフル機能はしばらく再生していると分かることではあるが、完全なランダムであり、特定の曲が頻繁に再生されたり、特定の曲がまったく再生されなかったりすることもある。iTunes 8.1で、iPhoneおよびiPodtouchのRemoteアプリを使って、離れた場所からの選曲(リクエスト)が出来るようになると共に名称を変更。8.1リリース以前の名称は「パーティーシャッフル」。
- 楽曲をCDやDVDへ音楽CD規格、あるいはデータディスク形式としての書き込み機能。
- 音楽CDの楽曲情報(メタデータ)を、インターネット上の音楽CDデータベース(CDDB)から自動的に取得する機能。
- 曲に関する情報(アーティスト、アルバムなど)をインクリメンタルサーチできる。
- デジタルオーディオプレーヤー、iPodへのファイルコピー・自動同期。
- ポッドキャストのダウンロード、iTunes Storeでの音楽・ビデオ購入。
- ビジュアライザを実行して、リズムに合わせた映像効果を画面に表示する。
- 自動でボリュームを平均に近づける「サウンドチェック」機能(音量正規化)。
- Bonjourを用いたローカルネットワーク内で他のコンピュータのiTunesの楽曲やビデオを再生する機能。この機能では、ほかのコンピュータに保存されている音楽ファイルを複製し保存する事は出来ない。
※ 音楽をコピーするにはOS自体のファイル共有機能などを用いてファイルそのものをコピーしiTunesに取り込む必要がある。
- ローカルネットワーク内で、AirTunes搭載のAirMac Express用いた無線LANで音楽を送信し、AirMac Expressへ接続したスピーカーで聴くことができる。
- よく使われる多くの音声ファイルの形式(MP3・AAC・WAV・AIFF・AppleLossless)に対応(Windows版のみWMAからAACやMP3などへの変換機能対応)。
- iTunes 7より、要望の多かった曲間を開けないギャップレス機能に対応。第5世代以降のiPod、第2世代以降のiPod nanoでギャップレス再生が可能に。
- WindowsLiveMessengerまたはiChat上に現在自分が再生している音楽を表示可能。
- iPhone・iPod touch用アプリケーションを購入・ダウンロードするApp Storeを統合、アプリケーションの転送や管理が可能。
利用可能なファイル形式
iTunesはバージョン10現在、MP3、AIFF、WAV、AAC、HE-AAC、及びAppleLossless形式のオーディオファイルを扱い、エンコードすることができる。このほか、Audible.com オーディオブック等の再生も可能である。動画は、MPEG-4とH.264形式に対応している。
また、iTunesはQuickTimeをコア(OSXのマルチメディアのコアでもある)としているため、Ogg Vorbisオーディオ形式など、QuickTimeが標準でサポートしない形式のファイルの再生は、対応するQuickTimeコンポーネントを追加することで可能になる。ただしiTunesへインポートできるファイルの拡張子は.m4a .m4v .aac .mpg .mov .mp4 .wav .aiff (.aif) に限定されているため、左記の拡張子で一般に用いられないコーデックを用いたファイルは、あらかじめ任意のQuickTimeコンテナ等に格納する必要がある。QuickTimeで再生できれば中身のコーデックの種類は問わない。
Windows版は、保護されていないWMAファイルを他のオーディオ形式へ自動的に変換できるが、WMAファイルを直接再生することはできない。また、WMA形式へのエンコードもサポートしていない。
関連タグ
QuickTime, QuickTimeX, iTunesStore,