概要
『ドラゴンボールGT』に登場した敵キャラクター。ドラゴンボールの一つである六星球の化身で、地球で誕生した邪悪龍の紅一点。欧米圏での名称は「Oceanus Shenron(オケアヌス・シェンロン)」。他の邪悪龍たちと同じく、日本国内では時々「六神龍」と間違えられる事がある。
一人称は「妾」で、語尾に「じゃ」を付ける古風な女性口調が特徴。普段は活動区域の住人である漁師たちから名付けられた乙姫と呼ばれている。後述のように二つの異なる姿を持っているが、口調や性格は共通している。
外見は青く長い髪に龍の尾を模したティアラを身に着け、ローブを羽織ったやや垂れ目気味の青肌ながら美しい女性の姿をしているが、真の姿は青黒い体色の悪魔じみた龍の姿。
この姿を見せたのは、最初に邪悪龍として地上に降り立った一瞬(この際はシルエット風)と、孫悟空たちに正体を見せた際と消滅する間際だけで、それ以外は一貫して乙姫の姿で活動している。pixiv内のイラストも基本この乙姫の姿であり、真の姿が描かれたものはごくわずかとなっている。
核である六星球は乙姫の姿では額に、龍の姿では顎部分に収められている。
能力や技など
風と大気を自在に操る能力を持ち、必殺技はその能力を活用したもの。回転技の使用時に両手で印を結ぶのが特徴である。
総合的に防御力に秀でており、自身を高速回転させる事で「かめはめ波」をも防ぐ事が可能な竜巻のバリアを展開しており、これは技の性質を見抜いた悟空に簡単に模倣されたが、その後のお互いに竜巻を纏った打ち合いは彼女が制し、オリジナルの沽券を守り抜いた。
攻撃技として、無数の空気弾を一斉発射する「空裂気弾」を使っている。また、高速回転の応用として巨大な真空波を放つ「烈風真空斬」、その強化版で小さな真空波の連射と凄まじい風圧を合わせた最大技「旋風回転刃」といった技をもつ。この二つの回転技は、後に六星球を吸収した超一星龍に受け継がれた。
特に「旋風回転刃」は悟空でさえ(この際は各種超サイヤ人に変身をしていないが)身動きが取れなくなる程の風圧と威力であるが、回転技と竜巻の性質上、頭上が無防備である上に発動中の彼女はあまり自由に動けない弱点を抱えている。このために第三者による頭上からの攻撃には対応しきれず、作中では戦いの場となった漁村で悟空たちが知り合った少年が世話をしていた海鳥により、その弱点に気付いたパンの「かめはめ波」を受け破られている。
生い立ち、作中での役どころなど
作中ではとある港村で能力で竜巻を起こし、それによって海中から魚を巻き上げ漁師たちに与えていたために、住民からは女神のように崇められていた。
ところがこれは六星龍の策謀であり、そのせいで漁師たちはろくに仕事をせずに次第に堕落していき、余って放置された多くの魚は腐敗し環境汚染の原因となり、竜巻によって付近に生息する海鳥たちが傷つくなどの二次災害を引き起こしていた。
悟空とパンが現れた事で姿を見せると同時に本性を表し、そのまま対決する事となる。究極技の「旋風回転刃」で悟空をあと一歩まで追い詰めるものの、悟空に気を取られ過ぎた上に技の弱点を見破ったパンに技を止められ、体勢を立て直した悟空とパンによる「ダブルかめはめ波」を受け、龍の姿に戻ると同時に消滅。浄化された六星球は、後に一星龍に取り込まれ彼の一部となった。
そんな彼女が誕生する原因となった願い(マイナスエネルギー)は、ドラゴンボールファンなら思い出深い「ウーロンがギャルのパンティを出してもらった」という、記念すべき最初に叶えた願いである。事実上、彼女が最初に誕生した邪悪龍という事になる。
この願いが影響しているのか単なる偶然なのか、不幸な事に六星龍は女性(雌?)であり、このような願いで生まれた事を恥じているのと同時に、「そんなくだらない事にドラゴンボールを使うな」と願い事を言ったウーロンではなく、その場にいた悟空を非難している。……あの時は仕方無かったんです。それ以前に元凶が不在とはいえ怒りの矛先を間違っているような。
悟空に生まれた理由を問い質された際には、青肌が完全に染まる程に赤面しており、これ以外でも戦闘時に「烈風真空斬」で悟空を吹き飛ばすも、そのせいで彼の服が破れ全裸になった際にも赤面し、しかもわざわざ着替える時間まで許可している。……全裸のまま戦っていたら楽勝だったのではと言ってはいけない。
このように性格も女性そのもので、真の姿を除けば非常に愛らしく、割と他人の話も聞き入れる(彼女自身も悔いていたように、これが仇になり敗北している)など、武人肌の四星龍とは違った意味で邪悪龍らしかぬ人間味のある性格をしている。
とは言っても、本質は邪悪龍なので前述通り他者を騙したり、自分が生まれた原因に対して悟空に八つ当たりしたり、自分で正体を見せながら「この姿を見た者は生かして帰さない」と理不尽かつ身勝手な一面を見せる事も。
ドラゴンボールヒーローズでは
長らくゲーム作品に登場していなかったが、近年ではすべての邪悪龍が参戦した『ドラゴンボールヒーローズ』にて、早い段階で仲間の二星龍と“黒煙の龍”と共についに参戦を果たした。
邪悪龍ミッション1弾のシークレットはチェンジを持つ彼女。アビリティ「風と空気の支配」は「毎ラウンド終了時、敵チーム全員のチャージインパクトスピードを速くしていく」というとんでもないもの。
チェンジ効果もなかなか優秀で2ラウンド目以降に変身し、HP+1000、パワーとガード+2000というもの。当然だがブサi…邪悪龍の形態に変身してしまうので注意。
何よりおかしいのが素のパワーとガードの高さである。パワーは6000、ガードは4200でチェンジして更に高くなるんだからさぁ大変。ちなみに初期HPは1000しかないので注意。
このゲームでの彼女には、本編には無かった超六星龍(スーパーリュウシンロン)なるパワーアップ形態が存在している。
全体的に乙姫姿をベースにしているが、頭部に龍の翼が生え眼は赤く輝き禍々しさを増しており、何よりもありえないくらい巨大化している。
額の六星球がホクロの様に小さく見えることから、そのサイズ差が窺い知れる。
特定の条件を揃えなければ出現しない形態であるが、その強さは超ボスと呼ばれるだけあり多くのプレイヤーを手こずらせている。
なんと、ラウンド開始時に自分のガード+3000、ダメージ軽減率を30%アップさせるというとんでもないことをしてしまうのだ。対策なしではまずファイナルラウンドに持ち込まれて判定負けするであろう。
だが幸いなことに、パワーはそれほど高くない。元々のガードも低いというウワサも…。
対策として無条件で敵のガードとダメージ軽減効果を無視して攻撃できるスラッグや、時空転送でジャネンバベビーを呼び出すゴジータなどで攻める…という策もあったが、今の時代には「バーダック:ゼノ」や「トワ」といった便利で強力なカードが登場したため、持っているならそれほど手強くもない相手になるだろう。
ちなみにまだ六星龍の巨大化カードは実装されていない。
ビクトリーミッションでは
『ドラゴンボールヒーローズ』をもとにしたコミカライズ作品では、黒幕の一人として登場。一人称は「ワラワ」。基本的には乙姫の状態で登場し、悪い顔で描かれることが多い。
バトルフィールド内にてドラゴンボールが使われたことで邪悪龍たちが現れたが、それを見越していた運営側の処置によってバトルフィールドに閉じ込められた状態で復活してしまう。このため主人公たちはアバターに意識を移し、邪悪龍と戦うことが可能となっている。
しかしそれを逆手に取り、六星龍たちはアバターを乗っ取ることでプレイヤー同士の戦いを誘発させ、ダメージエネルギーを集めていた。目的は一星龍の完全復活(ようは魔人ブウ復活のオマージュである)。
六星龍はニムに取りついてビートと交戦するが、超サイヤ人3へと覚醒した彼に敗北を喫する。醜い竜の姿で逃走を図るも正気を取り戻したニムにまで圧倒され、「お姉さんかと思ったらそんな怪獣みたいな顔だったんだ」と悪態まで突かれる。ニムとビートのコンビネーションで徹底的に叩きのめされるが、命からがら逃走に成功する。
一星龍のもとへと戻ったのもつかの間、ニムの兄ゲノムが襲来。ゲノムには五星龍が取りついていたはずだが、心に隙がなかったため憑依に失敗していたのだった。ゲノムに殺されそうになるが彼の狙いがドラゴンボールにあると知ると「一星龍にエネルギーを注いでいるのはワラワじゃ。ワラワを殺せば一星龍は永遠に眠り続け、ドラゴンボールは手に入らなくなる」と語り、命乞いをする。それから水晶玉越しにノートたちの様子を窺うと、ゲノムに彼女たちを殺すように指示した。
余談
彼女は「異性に純情ながらも正体は醜悪な怪物で、美しい乙姫の姿に化けて漁師たちを助ける風を装い、堕落と環境破壊を招く」という特徴を持ち、奇しくも彼女の誕生に関わったウーロンの「スケベかつ実は可愛らしい見た目の豚人間だが、恐ろしい怪物に化けて村人たちを脅し、目に留まった女性を連れ去って豪勢な暮らしぶりで堕落させた」という初登場時の悪事を含めた要素と対になっているが、いずれも「自身の真の姿を隠していた」「堕落に導いた」という点では共通している。
なお、彼女の異性への純情さは、同じく悟空とブルマ編にて初登場した時点でのヤムチャや元となった願いをウーロンが叶えるきっかけを作ったピラフ一味を思わせるもので、後者のメンバーには六星龍同様紅一点のマイがいる。
また、彼女の核である六星球は、初代『ドラゴンボール』にて「パオズばあちゃん」という人物が最初の持ち主であったが、この老婆が住んでいた村は悟空とウーロンが出会うきっかけとなった場所。つまり、願いを叶える前からウーロンと奇縁があったのである。……やっぱり彼女はウーロンをぶっ飛ばすべきではないだろうか。
乙姫時の声優の勝生真沙子氏と真の姿の声優大友龍三郎氏は、それぞれトワ&ダーブラ兄妹の声優を務めている。
関連イラスト
関連タグ
憎めない悪役 哀しき悪役…その誕生経緯を踏まえればある意味では該当する。