概要
オピーオーン、オピオネウスとも表記される、ギリシャ神話に登場する神々の一柱。
神話によれば海神オケアノスの娘であるエウリュノメを妻とする、オリュムポスの原初の支配者とされる蛇神で、何もない世界に生まれ落ちた為、眼を持たないとされる。
詩人オルペウスが唱える創世神話によると、世界の初めには大きな卵は1つあり、そこからオピオンが生まれ、その身体から光と闇、愛が生まれ、その蛇が混沌の中を這いまわる動きから熱や風が生まれたとされる。さらにそこから月の女神エウリュノメが誕生し、女神と蛇の間から太陽や星々が産まれたという。
その後、神々の間に戦争が勃発すると、オピオンとクロノスは互いに軍を率いて争うが、その際に両者は何方かの軍をオケアノスへと付き落とした方が勝者となり天を支配する事ができるという約束を交わした。
この戦いはクロノスの勝利に終わり、オピオンはクロノスと腕力を競って敗れると、妻であるエウリュノメと共にクロノスとレアーにオリュムポスの支配権を譲り、海の中に消えたといわれている。
またイギリスの詩人ロバート・グレーヴスが独自に再構築した原ギリシアの創造神話である「ペラスゴイ人の創世神話」によると最初にカオスから生れたのはエウリュノメであり、彼女が北風を擦り伸ばしてオピオンを誕生させると交わり、宇宙卵を儲け、その卵の中から世界を孵化させた。しかしある時オピオンはエウリュノメを差し置いて自らを世界の創造者だと主張したため怒ったエウリュノメに牙を抜かれ、頭を踏まれて地下へと追いやられてしまったとされる。
尚、キリスト教異端グノーシス主義の人々の一部では、オピオンをエデンに住まう古き蛇と同一視し、世界を創世した偉大なる蛇として崇拝していたという。