「いいよ、何度だって助けてあげる。」
「その代わり、これからもたくさん怯えて、震えて…。僕を楽しませて、賢者様。」
概要
『魔法使いの約束』に登場する女主人公・真木晶とオーエンのカップリング。
他人の恐怖や悪意を好む北の魔法使いオーエンと異世界へ賢者として召喚された一般人の真木晶。
その言葉通り賢者を惑わし、傷つけようとするオーエンに最初は振り回されていた晶だが、共に魔法舎で過ごすにつれ徐々に距離が縮んでいっている……ように見えなくもない。
以下、メイン、イベント、カードストーリー等のネタバレあり。
未確認のものも多いので随時更新推奨
関連エピソード
メインストーリー
前賢者の書に書かれていた北の魔法使いオーエンの欄には『要注意。不気味。会話すると精神が崩壊しそうになる。興味を持たれないようにすれば大丈夫。』と記述されており、カインからも話を聞いていた賢者は「なんだか、怖いな…」という感想を抱く。
第13章15話にて、初めて顔を合わせた二人。オーエンは「賢者だから皆に構われるのであって、賢者じゃないきみ自身に価値はない」など心無い言葉をぶつけ、賢者の心を折ろうとするが、途中でオズに阻止される。
その後、第17章2話にてニコラスが城から飛び降りる現場に居合わせたオーエンは大勢から犯人だと疑われ、彼自身も笑いながら「きみたちの不幸は全部僕の仕業だ」と認める。しかし同章7話で、あの時のオーエンは少し呆けていて様子がおかしかった事、大いなる厄災の奇妙な傷が影響しているかもしれない事に気づいた賢者はオーエンと正面から向き合うことを決める。
「ねえ、賢者様…。おまえを殺せば世界が滅びるかもしれないけど、殺すよりもひどい仕打ちなんてこの世にいくらでもあるんだよ。教えてあげようか?」
「…知っています。そのうちのひとつを、私はあなたにしてしまいました…」
「…なに」
「あなたならやりかねないと決めつけて、疑いました」
「……………」
「ごめんなさい」
あの表情の意味がわかった。彼は途方に暮れていたのだ。指を刺されて、罵られて、安心して、薄笑いを浮かべるまで。
のちのメインストーリーでオーエンの厄災の傷は「不意に優しい(というより幼い)人格になる」、言わば二重人格のようなものだということが判明する(通称:傷オーエン)。傷の人格の間記憶が飛ぶらしく、本人は心底忌々しく思っている様子。周囲には隠したがっている。
オーエンの厄災の傷を知っている者は今の所、スノウとホワイト、カイン、賢者、ヒースクリフ、シノのみ。
普段のオーエンだけでなく、傷オーエンと賢者の関わりも二人の重要な要素である。詳細は後述。
親愛ストーリー
「スマイルマジック」
賢者の書に記すため、賢者が各魔法使い達にインタビューのような形式で質問をしていくストーリー。しかし(案の定)オーエンはまともにとり合ってくれず、賢者が話しかけた途端に姿を消す始末。
(余談だが、嫌いなものを聞いた賢者にオーエンは「僕はおまえが嫌い。賢者の書にもそう書いて」と返す。その言葉通り、賢者の書のオーエンのページに記された嫌いなものは「おまえ」になっている。)
ある日、またもや厄災の傷のせいで不機嫌なオーエンと上手く話せなかった賢者は、ついに溜まった悲しみと苛立ちを吐き捨て、その場を立ち去ろうとする。
魔法使い達に対して常に温厚な主人公が珍しく尖った態度を取るシーンであり、そんな賢者に少し焦るオーエンもまた、なかなか見られない光景である。
賢者を引き止めたオーエンは渋々ながら自室へと招き入れ、ようやく賢者は向かい合ってオーエンと話すことが叶う。
イベントストーリー
・パラドックスロイド
2021年のエイプリルフールイベント。人間とロボットが共生する、ネオン煌めく「フォルモーントシティ」を舞台にした近未来パロ。通称パラロイ。
共に記憶喪失のアシストロイドである晶とオーエンが出会い、行動を共にするところから物語は始まる。記憶がない故か本来のオーエンと比べて意地悪や物騒な物言いが少なく、どこか無邪気で素直。あるいはこれが魔法使いとしての性質が備わらないオーエンの性格なのかもしれない。
行く宛のない二人を発見した警察官のカインは、知り合いの専門家に見てもらうためCBSC(チェリーブロッサムソフトクリーム)を奢ることを約束に、二人をエアバイクのサイドカーに乗せる。ラボへの移動中、とりとめのない会話の中「好き」とは何かと問うオーエンに対し、カインは「飛び込んでくる様々な情報の中で忘れないもの」があり、それがきっと「好き」なのだと説明する。
「でも、少し、わかるかも。CBSCは何度もデータを確認するから。晶は?」
「えっと、急に難しいな……。」
考え込んでから、私は伝えた。照れくさいような気もしたけど、ロボットだから関係ないかと居直る。
「カインとオーエンですかね?色々、親切にしてもらったし、一緒にいてくれるし、好きですよ。」
晶の言葉にオーエンは笑顔を広げ、カインは口笛を吹いて喜んだ。カインはともかく、本来のオーエンからは想像し難い反応である。
「聞いた?僕だって。」
「俺もだよ!嬉しいな。晶が可愛くなっちまう。」
なんとも微笑ましい光景である。
ラボについた3人はそこで働くラスティカ、助手のヒースクリフ、アシストロイドのクロエ達と出会う。
しかし、ICチップを調べるためアシストロイドの心臓にも当たるバッテリーを抜くと言われたオーエンは強い抵抗を示す。クロエが目の前で手本を見せたり、CBSCを材料に説得するものの緊張と不安が隠せないオーエンの様子に、黙っていられなくなった晶は「オーエンが目覚めさせてもらえるよう、自分が見ている」と告げる。そんな晶をじっと見つめ、オーエンは真剣な表情で答える。
「いいよ。僕が死んだら僕の願いを叶えて。あれ(CBSC)を食べてね。」
「オーエン……。」
「食べながら、僕を思って。」
「ちゃんと再起動して、食わせてやるってば!」
しんみりする私たちの空気を振り払うように、カインが言った。
ICチップを調べ終えた後、突如ラボに訪れた警察。そのトップであるブラッドリーは、オーエンがオーナーから捜索届けが出されていることを告げ、嫌がるオーエンをスリープさせ、強制的に連れていく。
ブラッドリーを尾行した晶とカインは、オーエンが研究施設『フォルモーント・ラボ』に運ばれる様子を目撃。一度ラスティカ達の元へ戻った2人は、かつてそこで働いていたというラスティカから、アシストロイドに関わるこの街の重要な秘密、そしてその秘密に関わるオーエンの出自を知る。
再び研究施設に乗り込み、オーエンと再会した晶達だったが、生みの親であるフィガロに記憶をリセットされたオーエンは、晶に出会った後の記憶全てを失っていた。人と同じ心を持ち、自由に生きることを望むオーエンを危険分子として処分しようとするフィガロ。しかしそれを良しとしないカインは激しく抗議する。それを筆頭に様々な意見がぶつかり合い、終いにフィガロが折れることで、アシストロイドと人が共に生きられる新しい社会を作ろうという結論へと至った。
オーエンの処分は棄却され、前向きに話が進む中、晶はふとオーエンが自分を見つめていることに気づく。
記憶をリセットされた時の冷ややかで、恐ろしい顔ではなく、初めて会った時のような、無垢な眼差しで。
「おめでとうって思う?」
「思いますよ。」
「僕を祝福できる?」
「難しいことはわからないけど……。一緒にCBSCを食べることが出来たら、嬉しいって思います。」
じっと私を覗き込んで、オーエンは微笑んだ。
この後に続く言葉は、是非実際にその目でストーリーを確かめてみてほしい。
「晶!」
誰かが自身の名前を呼ぶ声を聞いた賢者は魔法舎の自室で目を覚ました。賢者はオーエンに連れられた夢の森で倒れ、今まで眠っていたことを魔法使い達から知らされる。フォルモーントシティでの出来事は全て賢者の夢だったのだ。賢者は自身を呼んでいた声の主に目を向ける。
「名前で呼んでくれていました?」
「騎士様が名前で呼ぶから、うつった。」
ありえない世界線、存在しない夢の出来事だが、本編とは異なった関係性が見られるストーリーである。
・祈り咲く雪町のラプソディ
場所シリーズイベント。夜灯花を湖に流し、死者を偲ぶ祭り「宵闇の死者の宴」に北と西の魔法使いたちは参加することとなる。
準備のためホワイトと共に夜灯花を探していた賢者は、すでに死んだ身のホワイトが祭りに気乗りでない理由を聞く。心中を言葉にするうちに泣き出したホワイトと、かける言葉が見つからず狼狽える賢者の目の前に現れたのはオーエンだった。
「哀れで惨めなホワイト。スノウに嫌がらせはやめてと言えばいいのに。迷惑だって素直に言ってあげればいいのに。」「…ああ、でも怖いのかな?スノウの機嫌を損ねたらおまえはすぐさま消されてしまうかもしれない。」「残るのも消えるのも、みんなスノウ次第。死んだおまえには、もう何も決められない。」「本当に可哀想だね、ホワイト。」
しかし、オーエンの言葉にホワイトは「自分が羨ましいのだろう。本当に可哀想なのは死して尚自身のことを思い、忘れないでいてくれる相手がいないオーエンの方だ。」と笑う。思わぬ反撃を食らったオーエンはくだらないと一蹴するものの、祭りが始まると、双子が閉じ込められた絵を攫い湖に落とそうとする。
結局双子や西の魔法使いに阻止され、そのまま不貞腐れるように姿を消したオーエン。
滞りなく祭りが行われる中、その身を案じた賢者がオーエンを探していると、人混み離れたところで彼の姿を見つける。声をかけた賢者にいつもの様子で憎まれ口を叩いていたオーエンだったが、やがてポツリと呟いた。
「ホワイトの言う通り、僕が石になった後、こんな祭りをやろうとするやつなんか、どうせいない。」
オーエンの言葉に掻き立てられるように、思わず賢者は口を開く。
「そんなことありません。」
「オーエンが石になることなんて、考えたくもないことですけど、もし万が一、そうなったとしたら……。」
「きっと私は夜灯花を探します。『宵闇の死者の宴』でオーエンを迎えるために。」
「は?」と言葉を漏らすオーエン。直後、打ち上がった大きな花火をしばらく見上げていた二人だったが、やがてオーエンはおかしそうに笑いだした。
「ねえ、さっきの話だけど、夜灯花なんか探さないでよ。」
「僕が石になった時は、あれより大きい花火を上げて。」
「それなら……少しは考えてもいいよ。おまえのところに戻ってくるのもね。」
・お菓子と可笑しなお伽噺
北の国に突然現れた、子供を喰らうという噂の恐ろしいお菓子の家。それはオーエンがかつて気まぐれに作った家だった。空白が多くを占める、賢者の書の彼のページ。その家へ行けば、彼のことをもう少し知ることができるだろうか。
本人も覚えてないという、謎に包まれたオーエンの過去の一端を垣間見ることができるイベント。オーエンが哀れな境遇の子供に嫌悪感を抱くのは、かつて自分がその立場に置かれていたからなのだろうか。
このイベントのSSRから獲得できるパートナー特性は『ミステリアス』。
どうしてきみは苛立つのか、どうしてきみは笑うのか、謎だらけのきみのことを、ほんの少しでも知れたなら。
10話にて、任務を終えた賢者は自室のベッドの上で賢者の書を開く。オーエンのページはやはり空白のままで、いつか彼自身の言葉で彼を知れたらと願う。
その時、ドアが開き部屋に入ってきたのは厄災の傷のオーエンだった。散歩をしていたと言う彼は、幼い仕草でベッドに上がり、無垢で屈託がない笑顔を賢者に向ける。
「もしかして、眠れないの?」
「大丈夫。怖いものからは騎士様が守ってくれる。」
「それに、僕も一緒にいてあげるよ。だから、おやすみ。」
いつか魔法使い皆で、お菓子の家でお茶会ができたらと賢者が思い描くところで物語は終わるのだが、傷オーエンと賢者がその後どうしたのかは書かれていない。
すぐに元のオーエンに戻ったのか、それとも傷オーエンのまま賢者のベッドで寝たのか、その時賢者はどうしたのか。空白の11話は我々の想像に委ねられている。
・その他
「奇跡と祝祭のプレリュード」
シノが怪魚に襲われ、賢者が厄災の傷で凶暴化しているヒースに押さえつけられている危機的状況の中、ふと現れるオーエン。怪魚からシノを助け、ヒースを元に戻してくれる。
しかし死にかけのシノ、さらに現れた怪魚を目の前に助けを請う賢者の声を無視して姿を消す。オー晶の解釈の仕様がない。
「矜持と祝祭のプレリュード」
ミスラに抱えられた賢者が気を失ったふりをしていることに気づく。頬を掴んでまつ毛の先に触れるほどの近い距離で「起きているんでしょう」と囁き、爪で鼻先を引っ掻いた。賢者は心の中で終始怯え叫んでいる。
「純真な機織りのバラッド」
厄災の影響を受けないという幸福の村で厄災の奇妙な傷を治すため、観月の儀に参加することになるオーエン達。普段なら任務に乗り気でない北の魔法使い達ではあるが、「僕が僕であるために」と珍しくオーエンが積極的に動く。観月の儀で舞を踊るオーエン達に感動し、語彙の限りを尽くして褒めちぎる賢者が見られる。
「溢れた夢のステラート」
他の魔法使い達がいる中、傷の人格から元に戻ったオーエンは厄災の傷が他魔法使い達に知られたのではないかと警戒心を露わにする。オーエンの心中を察した賢者がこっそり親指を立てて「バレてない」とアピールをすると、鬱陶しそうに舌打ちしながらも伝わっている様子だった。
「繋いだ絆は魔法のように」
どちらの手段で移動するかと迫るオズとミスラの板挟みになっていた賢者を面白がって、「僕も参戦しようかな。賢者様、僕の箒に乗って行きたい?」と声をかけていた。
「白亜の城に伝説の目覚めを」
オズの空間移動魔法に巻き込まれ、アーサー達の救出に付き合わされることとなったオーエン。初めは、自分には関係ない、靴が汚れると機嫌の悪いオーエンであったが、シャイロックの挑発に乗り賢者達と共にオズの巣へと乗り込む。オーエンを気遣い、声をかけた賢者に「靴が汚れたらお前が拭けよ、賢者様」と返す。敬称をつける相手にする発言ではない。
育成エピソード
夢の森
オーエンがよく訪れるという夢の森へ任務に向かう北の魔法使い一行。
オーエンが守護をかけたり、賢者が命乞いしたりする。
オーエンへの印象(2)
ホワイトから見たオーエンの話。オーエンにはしがらみがなく、力でしか抑えることができないところが恐ろしいと語る。
「おぬしがオーエンのしがらみとなるよう、我ら、期待しておるからの。」
氷の森
スポットの印象(2)
雪上の深い穴の底からムルの声が聞こえ、慌てる賢者。自分にはどうにもできないと考え、助けを呼ぶ賢者の選択肢が、スノウ、シャイロック、オーエンの3人となっている。スノウは育成スポット、シャイロックはムルとの親しさ故とわかるが、何故そこにオーエンが出てきたのか不明。オーエンを選択すると、穴からムルが「なんで?」と顔を出す。自力で出られることに驚いた賢者に「なんでオーエンの名前が出てきたのか、そっちが気になって出てきちゃった!」と答える。結局なぜ賢者はオーエンの名前を出したのか明らかではない。
ブレイクタイム(2)
何者かに殺されたオーエンを目撃する賢者。オーエンは文句を言いながら、回復するまで賢者の肩を借りる。
危険な場所
猫撫で声で賢者を呼び、雪上に現れる大きな割れ目“クレバス”に落とそうとするオーエン。酷い。
危機一髪で回避した賢者に「気をつけたほうがいい」と忠告するオーエン。親切?
カードストーリー・エピソード
R「真意を見せない瞳」
「月夜に二人」 おそらく出会って間もない時。夜に散歩していた賢者が、オーエンに声をかけられる。不穏なことを言うオーエンに戸惑う賢者だったが、のちに楽しげだったオーエンの様子を思い返し、話をしたかっただけだったのかもしれないと考える。
SSR「月影に輝く銀糸」
「どんなあなたでも」 機織りのバラッドの恒常SSR。シノと一触即発するオーエンだったが、不意に奇妙な傷のオーエンとなる。だんだんと集まってくる魔法使い達にオーエンの傷がバレないよう、賢者は傷オーエンとその場を離れるが、賢者と手が触れたタイミングで元に戻ったオーエンはいつものように不機嫌になる。しかし、目の前に広がる金色の麦畑の良し悪しを賢者に問われ、傷オーエンとは真逆に「嫌い」と答えながら、同じ感想を言う様子に笑みを隠せない賢者。どのオーエンもオーエンだと思うことを賢者は告げた。
SSR「秘めたる想いを暴く言の葉」
「奇禍の呼び笛」 雪町ラプソディの恒常SSR。狼に襲われかけた賢者を守ってくれる場面がある。全体のストーリーから見るとオー晶度はやや薄め。
SR「微笑は棘のように」
「夜に響く叫び声」 彷徨う夜に導きをかざしてのSRイベント報酬。夜の学校で悪巧みをするオーエンとそれを諌めるファウストで一触即発になりかけるが……。基本賢者は登場せず、魔法使い同士の掛け合いが主となるSRのカドストにしては、オー晶度の高いものであった。
SSR「ブルズアイに賭けろ」
「誕生日の過ごし方」 2021誕生日の限定SSR。誕生日の祝いを伝えるため、オーエンを探していた賢者は魔法舎近くの森で傷のオーエンを見つける。傷オーエンの手の冷たさに驚く賢者に言葉を返したのは、元に戻ったオーエンだった。心臓を隠しているオーエンは何度死んでも生き返れる。しかしそのせいで鼓動のないオーエンの体は先まで熱が届かないのだという。
「じゃあ、僕のお願いを聞いて。冷え切ったこの手を温めて。」
賢者様の心臓を代わりに詰めてというオーエンの提案に言葉を詰まらせる賢者。そんな賢者を嘲笑うようにオーエンは姿を消した。賢者は贈り物を持って再度、オーエンの部屋を訪れる。
SSR「この出会いに祝福を」
「君の手を取る夜の空」 任務から久々に魔法舎へ戻った賢者は、最近苛ついていると聞いたオーエンの姿を探していた。見つけたと思えば突如、オーエンは賢者を空へ連れ出し、挙句放り出す。
危うくラスティカによって助けられた賢者は「オーエンは怒っているみたいで、やはり機嫌が悪かったようですね」と溢す。しかし、ラスティカの感想は「僕には喜んでいるように見えた。」だった。
その夜、再び中庭でラスティカとオーエンの姿を見つけ、会いに行く賢者。オーエンは無言で、相変わらず何を考えているかわからない。代わりに口を開いたのはラスティカだった。
「良かったね、オーエン。最近、賢者様が任務でいらっしゃらなかったから寂しかったんだろう?」
オーエンはその質問に肯定も否定もしないまま、ラスティカの言葉に驚く賢者を空へ連れ、振り落とそうとする。必死に腕にしがみつき、悲鳴をあげる賢者から見たオーエンの顔は心なしか機嫌が良さそうだった。
余談
公式的に明示されたことは無いが、様々なストーリーの中で時折「賢者が傷オーエンの手に触れた瞬間、元のオーエンに戻る」という場面がある。
賢者には、眠りたくても眠れないミスラや、夜の間魔法が使えないオズの厄災の傷を、手で触れることで無効化する力があり、その力が同様にオーエンにも働いているのではないかという説がある。
しかし、その描写が意図的なものか判断するにはあまりに例が少なく、賢者の力がオズやミスラ以外の魔法使い(カイン、ブラッドリー)に発揮されたためしは無い。また、オズやミスラに当たっても賢者の力は絶対ではないなど、不確定な部分が多く、あくまで可能性の域を超えないと言えよう。