「今日も美しいわ。いいわね。」
概要
1周年記念イベント「RED ASH」のゲストキャラにして、2周年記念イベント「OLD TALES」の主役。
エリシオン第3ニケ研究所で製造された、第2世代フェアリーテールモデルのニケ。
シンデレラ以外にも複数の第2世代モデルが開発されており、彼女たちで構成された部隊「オールドテイルズ」の一員として実戦参加を待ち望んでいた。
隊の仲間たちよりも一足早く実戦投入が決定され、ラプチャーとの決戦に臨むゴッデス部隊を支援するため一時的に合流することとなった。
そしてゴッデス部隊は、エリシオン第3ニケ研究所へシンデレラを迎えに行ったのだが…。
容姿
脚の脛まではある長いツインテールと衣装を含め、全身が白一色であり、髪留めと思しき黒い装置がアクセントとなっている。
前髪によって常に右目が隠れており、左側からはどこか儚さを感じさせる青い瞳が覗いている。
なお、瞳の色はある事件を機に赤いものへと変わっている。
衣装はSci-Fi調のディテールが施されたハイレグスーツで、これは全身を覆っているというわけではなく、要所要所が半透明化、あるいは素肌が大胆に露出しており、美しい容姿を隠すことなく引き立てている。
加えて作中に登場したニケの中でもトップクラスと言っていいほどのご立派なモノを有しており、スタイル自体も抜群。
別コスチューム
2周年イベントと同時開催のコスチュームガチャにて別衣装「ガラスのプリンセス」が登場。
プリンセスの名に違わぬ華やかなシースルーのドレスと、その下から覗く凄まじく際どい造形のランジェリーのギャップが目を引く艶やかさと可愛さが同居した衣装となっている。
設定上の性能
従来のフェアリーテールモデル(ゴッデス部隊の隊員)を上回るスペックを有していおり、その戦力評価は航空爆撃やICBMといった戦略級の兵器と同格扱いされている。
エイブが手掛けた表面硬化能力により単純な防御力にも優れており、ジェネレータを搭載することで従来のニケにはなかった浮遊能力を有し、まるで瞬間移動のような素早さで敵弾を回避する高度な運動能力もある。
ゴッデス部隊リーダーのリリーバイスからは、素手でラプチャーを引き裂ける彼女をして「私より強いかも」といわしめるほど。
また、専用装備として設計された「ガラスの靴」と呼ばれる兵装が用意されている。
大型、小型、それぞれ1対、計4基で構成されており、通常時は折り畳まれた状態でシンデレラに装着されているが、展開時はシンデレラから分離してそれぞれが独立して稼働する。
シンデレラの腕輪から発射されるビームを偏光させてターゲットを狙撃したり、ビームを無数に増やしたりする。また、ガラスの靴本体からも光弾を発射可能。
近接戦闘では、盾となってシンデレラを守る機能も備わっている。
このガラスの靴と上記の本人のポテンシャルが組み合わされることで、極めて高い戦闘能力を単騎で実現している。
浮遊能力を生かして上空から雨のようにビームを降らせ、地上を制圧する戦法を得意とする。
圧倒的な物量を誇るラプチャーとの戦いを当初から想定し、短期殲滅戦に特化して設計されている(これは他のフェアリーテイル第2世代モデルも同様)。
以上の当初からのカタログスペックだけでもゴッデスを含む他のニケとは一線を画す性能を持つが、ヘレティック化を経由して以降は更なる基本性能の向上が起こっており、本気を出した場合(曰く「殲滅モード」)は自己研鑽し続け実力を蓄えた後世のヘレティック2体を手も足も出させず圧倒し、絶命寸前にまで追い詰める。
とはいえ活動時間やエネルギーは有限であり、度重なる大技発動と連戦で力尽きかける場面もある。
因みにヘレティック特有の”巨大化”も始祖らしく可能だが、本人曰く「美しくないから」行う気はない模様。
性格
儚げな表情をあまり崩すことはなく、常に落ち着いた態度で他者と接する。
生真面目な努力家でもあり、自身の素質に溺れることなく、報われるかどうかも分からない事柄にも全力で臨む。
そしてなにより、「美しいもの」が好き。当然自身もそれに値する存在と信じて疑わず、鏡で自分の姿を見るのは日課のひとつ。また「美しいこと」であれば、外面や内面を問わず、美しくあろうとすることそれ自体に価値を見出している。
何かにつけて美しいかどうかを引き合いに出すため最初は高慢な印象を抱くかもしれないが、妥協しない美しさを求めるのは自分に対してのみであり、他者に向けられるそれは外見の美醜ではなく、「正しい」行いや「善い」在り方を指していることがほとんど。
それも一方的に決めつけることはなく相手の意見をちゃんと聞いた上での評価であり、交流を深めれば他者を優しく思いやることができる「美しい」心の持ち主であると分かるだろう。
すこし奇矯にも思える彼女のこだわりだが、その理由は彼女が美しさを見出したものにあった。
「美しいと思ったの。あんなふうになりたいと思った」
かつて人間だった頃、自分の住む街がラプチャーに襲われた。
繰り広げられるラプチャーの殺戮行為に絶望し、もしラプチャーが襲ってきたら鉄パイプで応戦しようと身を潜め、絶体絶命の窮地だったところを、ゴッデス部隊に助けられた。
ゴッデス部隊は、この時が初任務であり、それ故に戦闘に不慣れな面が見られ、おまけに緊張感が足りず、お世辞にもかっこいい姿ではなかったが、それでも希望と勝利をもたらす彼女達の姿に、世界から失われかけた美しさを彼女は見たのである
ニケとなってからも周囲が認める程必死で頑張ってきたのも、ゴッデスたちと肩を並べられる存在となりたい一心でのこと。
女神に魅せられ、共に歩ける日を夢見てきた彼女が迎えた人生最高の日、それは――。
ゲーム内での性能
「ガラスの靴、フルコンタクト。行って」
パラメータ
HP | 711,171(Lv.200) |
---|---|
攻撃 | 17,059(Lv.200) |
防御 | 4,900(Lv.200) |
武器 | RL |
クラス | 防御型 |
属性 | 電撃 |
保有スキル
1 | 汚れなきガラス | ■バースト3段階突入時、自分に「スキル発動者の最終最大HPの2.71%分の攻撃力▲」「10秒間維持」 ■フルチャージして攻撃した時、自分に「チャージ速度100%▲」「最大弾数リロード完了時に解除」 ■フルチャージ攻撃が命中した時、対象に「最終攻撃力136.6%の追加ダメージ」 |
---|---|---|
2 | 曇りなき鏡 | ■戦闘開始時、自分に「デコイ:スキル発動者の最終最大HPの96%の分身」「持続」 ■バースト3段階突入時、自分に「デコイ:スキル発動者の最終最大HPの96%の分身」「持続」 ■デコイが存在する時 3秒ごとに自分に「美しさ:最大HP1.6%▲」「12スタック」「持続」 |
バーストⅢ | ガラスの靴・フルコンタクト | ■ランダムな敵に「最終攻撃力の1365.92%のダメージ」「10回順番に攻撃」 ■自分が美しさをスタックしている場合、同じ敵に「最終攻撃力の28.9%の追加ダメージ」「美しさスタックコピー」 |
※効果量はいずれもLv.10時のもの
今まであまりなかった、自身の最大体力がそのまま火力に直結するニケ。
このため防御型としての体力の高さをそのまま高火力の攻撃として活用することができる。
加えて武器種であるロケットランチャーもスキルと合わせて独特の性能となっており、攻撃範囲は狭いものの一たびチャージが完了すれば弾切れまで途切れることなく撃ち続けることができる。
操作的には、押しっ放しで弾が次々と飛んでいくため、一般的なロケットランチャーとは操作感が違う。
スキル2で発動するデコイもあり、耐久が高く、上記の通りHPを攻撃力に転嫁するため全体的なDPSも高い。特にバーストスキルの威力も圧倒的と高スペック。
HP型のキューブなどを持たせると攻撃力も上げられる。
一方で、防御型ゆえに攻撃力が低く、シンデレラの攻撃力を参照して計算される攻撃力バフの恩恵が低い。(固定値では無く、%で上がるため。例えばリターのバフスキルなど。)
同様に、攻撃力が低いため編成内した中で攻撃力上位のニケに対して効果のあるバフなども受け難い。
また、デコイの維持がし辛い状況下だと必然的に攻撃を受けるため、体力の低下に伴ってDPSは下がっていく。
バーストゲージのチャージ率も低いとそれなりに欠点もある。
上記の欠点を理解し、長所を伸ばしていく編成にすれば、彼女の強みを遺憾なく発揮できる。
主に向いているのはボス戦で、圧倒的な火力を叩き込む場面が多い。
苦戦するボスがいた場合は育成して、出撃させてみると良いかもしれない。
劇中の活躍
以下の記述は1周年記念イベント「RED ASH」および2周年記念イベント「OLD TALES」のネタバレを含みます。
人生最高の/最悪の日
第一世代フェアリーテールモデルを上回る性能を持つ存在として開発されながら、政府や軍のしがらみに囚われて身動きが取れず、いっこうに実戦の機会がないまま評価試験だけを重ねる日々が続いていたが、ゴッデスによる反攻作戦に合わせ、遂に部隊に実戦参加の許可が下りる。
正規活動の前に先触れと最終評価も兼ねる形で一名が先行してゴッデスと合流する形となり、隊員たちの中でも試験で常に優秀な結果を残してきたシンデレラが指名されることになった。
先を越されることへの羨望。ゴッデスへの憧憬。不器用な激励。そして何より、ようやく認められる機会が来たことへの喜びを、そこにいる誰もが感じていた。
ここから伝説が始まるかもしれない。そんな予感さえも抱きながら、華々しい初陣を飾るための一歩を踏み出したその時――
その一歩を踏み出したはずのシンデレラは、鏡の向こうから呆然と眺めていた。
赤く染まっていく自身の瞳を。
大切な仲間たちを蹂躙していく自分の姿を。
彼女は、泣き叫ぶことしかできなかった。
最初のヘレティック、「アナキオール」
シンデレラを迎えに行ったゴッデス部隊だったが、エリシオン第3ニケ研究所は既にラプチャーの襲撃を受けて壊滅しており、シンデレラは行方不明になっていた。
また、製造中だった2体の第2世代フェアリーテールモデルのニケも、大破した状態で発見されている。
やむなくゴッデス部隊は、シンデレラ抜きでラプチャーとの決戦に挑むことになった。
だが、決戦の地である軌道エレベーターの前で待ち受けていたのは、ラプチャーの傀儡「ヘレティック」と化し、眼が赤くなったシンデレラの姿だった。
シンデレラは突如、上空からビーム攻撃を開始し、ゴッデス部隊をすぐさま窮地に追いやった。
リリーバイスは戦況が不利と見るや撤退を決断し、部隊全員を背負い、全速力で突っ走って戦場を離脱する。しかしリリーバイスは、その代償としてオーバーヒートを起こし、整備のため一時離脱を余儀なくされる。
これにより人類はラプチャーとの決戦に敗北。
いかなる戦力でもラプチャーに敵わないと悟った人類連合軍は、地下に建設中の超巨大都市「アーク」へ人類を避難させる計画を発動する。
人類連合軍はフェアリーテールとしての名前を剥奪し、「アナキオール」のコードネームを与え、以後その名称で呼ばれることになる。名前の由来はアナキズム(無政府主義)。
壁の向こうで
かつてシンデレラだった人格は鏡の壁に閉じ込められ、自らが犯し続ける暴挙をただ見ていることしかできなかった。
あらん限りの手を尽くしても、目の前の壁は砕けない。
ゴッデス、そして人類の助けとなるための力を、彼女たちに向けて振るう自分の姿を前に、シンデレラの心は軋み、ひび割れていく。
「…美しくない。美しくない」
「あなたは…誰…?」
打ちひしがれ、項垂れる彼女の脳裏に、甘く、不気味なささやきが響き渡る。
「ゴッデスの敵を倒せ。斬って、壊して、燃やして、握りつぶせ」
「すべてはゴッデスのため」
「すべてはクイーンのため」
鏡の声に従うまま、ゴッデスの―クイーンの敵を殺して回るアナキオール。
ヘレティックと化した彼女の脅威は甚だしく、数多の都市が焼かれ、夥しい数の人間、ニケたちが抵抗も虚しく塵殺されていった。
アナキオールの最期
そしていよいよ、アナキオールはラプチャーの大軍を率いてアークの入り口への進撃を開始。
反撃はおろか、ほんの一歩の足止めも敵わない中、5人の人影が彼女の行く手を阻む。
かつての仲間たちが、裏切り者の嫌疑をかけられた自身の立場を顧みず説得して食い止めるために現れたのだった。
銘々の攻撃により足を止めるアナキオール。しかしラプチャーの手によるものか、想定を上回るスペックを前に攻めあぐみ、ガラスの靴の掃射で皆が倒れ伏してしまう。
大切な存在すら容赦なく手をかけるに至り、微かに残っていたシンデレラの心は遂に砕け散った。
最期の条件、最期の呪詛を投げかけながら、シンデレラはアナキオールに取り込まれていく。
「『お前』がゴッデスに勝てるはずがないわ」
「死んじゃえ。シンデレラ…」
片やアークの入り口を守るゴッデスと人類連合軍。
用事で留守にしている指揮官とリリーバイス、そして部隊を離脱したレッドフードを抜きにしたゴッデス部隊も、量産型ニケ部隊と共に迎撃へ向かう。
通常のラプチャーはなんとか殲滅したが、最後に残ったアナキオールは依然として強敵であり、ゴッデス部隊は彼女の攻撃の前に倒れる。
しかし、援護に駆けつけたレッドフードによって士気を取り戻したゴッデス部隊は、各隊員で連携し合って形勢を逆転。アナキオールを追い詰めていく。
最期はレッドフードによって、胸部に弾丸を複数撃たれ、戦闘不能となる。
「ヘレティック・アナキオール」は、「シンデレラ」が望むように、ゴッデスによって討ち果たされたのだった。
その後、機能を停止したアナキオールの体は研究対象として回収されたという。
関連イラスト
関連動画
NIKKE紹介- シンデレラ(Cinderella)
コスチュームをご紹介 - ガラスのプリンセス
NIKKEモーション紹介 - シンデレラ(Cinderella)
OLD TALESスペシャルアニメーション 15秒Ver.
星々に綴られた人類の物語
ストーリー PV - OLD TALES
関連項目
勝利の女神:NIKKE ニケ ゴッデス部隊 ツインテール 白髪 女神的女体
以下、2周年記念イベント「OLD TALES」のネタバレ注意。
静かな贖罪
ゴッデスに討たれたはずのアナキオールが意識を取り戻す。
場所は地上のヘレティック研究所。
回収されたアナキオールはある素材―「アンチェインド」の被検体として用いられていた。
アンチェインドの効果により、体内の浸食されたNIMPHの約98%が死滅。「アナキオール」としてではなく、元の「シンデレラ」として目覚めたのだった。
俄かに色めき立つ研究者たち。しかし彼女に向けられた視線は、ニケに対するものではなかった。
「存分に研究し、報告を上げてくれ」
「侵食は治療できない。絶対にな」
故郷を破壊され、愛する者を奪われた人類、そして研究員たちにとって、目の前にいる存在は憎んでも憎み切れない敵「アナキオール」そのものだった。
連日、間断なく、拷問にも等しい容赦のない実験に晒されるシンデレラ。
しかし、ヘレティックの特性により、切断されようが、電撃を受けようが、熱湯に沈められようが、凍らされようが、肉体はすぐに再生する。
それは皮肉にも、かつて「アナキオール」が彼らに施した仕打ちの鏡写しのようでもあった。
解放を希う言葉は、いつしか謝罪と贖罪の言葉へと変わっていく。
「ごめんなさい」
そんな彼女の前に、思いもよらぬ人物が現れる。
「行くぞ。こんなことをしてる場合じゃない」
周囲の制止にも耳を貸さず、強引にシンデレラを解放するエイブ。
折悪しくラプチャーがヘレティック研究所に襲い掛かり、それを利用して二人は逃亡同然に脱出した。
研究員は死に際に「ヘレティック・アナキオールがコーリングシグナルを発して、ラプチャーに研究室を襲わせた」と、事実とは異なる報告を中央政府にした。
追われる身となった二人はエイブが用意していたバンカーに身を隠し、傷ついた体を休める。
悪夢に苛まれ、悄然とした様子のシンデレラにエイブは食事を勧め、簡素なスープを差し出す。
味も素っ気もないレトルトのスープを一口、一口と運ぶたび、久しく受けていなかった、久しく感じていなかった人並みの感情が溢れ、大粒の涙がこぼれていく。
「好きなだけ泣くといい。涙が枯れるまでな」
「だが、安心した。バケモノなら涙など流さないはずだ」
やや落ち着きを取り戻したシンデレラに、エイブは合わせたい人物がいると話す。
紅色は紅色で
そこにいたのはどうにか疑いを晴らしたオールドテイルズの仲間たちだった。
だがその再会は穿たれた溝の大きさを感じずにはいられない、感動とは程遠いぎこちないものだった。
そんな中、レッドシューズだけはかつてと変わりない柔和な面持ちでシンデレラと向き合う。
シンデレラのつらい心境を慮り、健康状態、浸食の状況を丁寧に聞き取るレッドシューズに、シンデレラは尋ねる。鋭く、冷たい声色で。
「レッドシューズ…何がそんなに嬉しいの?」
レッドシューズは答える。喜色を隠そうともしない、恍惚の笑みを浮かべて。
「ええ、それは…私が育てたようなものですから」
己の策動を嬉々として語るレッドシューズにシンデレラは最後の理性で問いかける。どうして自分を浸食の対象として選んだのかと。
「あなたがもっとも完璧なニケだったからです」
「ですから、アナキオール。私と一緒に…」
激昂するシンデレラにコアを撃ち抜かれてなお動きを止めないレッドシューズ。少女カーレンから切り落とされた赤い靴さながらに、彼女の赤い脚だけが踊るように闇の中へとかき消えていく。
仲間たちが駆けつけるが、そこにあるすべての状況はシンデレラに有利には働かなかった。
必死の説得も届かない決定的な断絶を前にした彼女は、深い絶望とともに皆の前から去っていくのだった。
いつも見守っている
ただ一人悲しみに暮れるシンデレラ。なりたいもの、目指していたもの、全てを否定された彼女は、遂に自らにガラスの靴を向ける。
シンデレラの身を案じて追いかけてきたエイブは自身も認める程の口下手ながらも、それでも彼女なりの暖かな言葉で自らの手で生み出してより陰日向に見守ってきた最高傑作に語り掛ける。
「私の勝利の女神は、誰よりも輝いて…何よりも美しくなければならない」
「書き直そう。台無しにされた物語を、書き直すんだ」
それでも心を閉ざそうとするシンデレラに、エイブはガラスの靴を指し示す。碌な手入れもされず、血にまみれたガラスの靴に映る自分の姿を卑下するシンデレラだが、エイブは汚れを優しく拭い、問いかける。シンデレラはどんな人だった、と。
「仲間を…愛し…人類を…愛していた…人。自分自身を…愛していた…人」
「この世で…一番…美しい…人」
エイブはなおも問う。そんなシンデレラがやりたかったことは、と。
「人類の敵を倒し、人類を守ること」
「物語を書き直すこと」
なりたいもの、目指していたもの。溢れるように紡がれていく言葉と共に、鏡に映る彼女の瞳が光を取り戻していく。
エイブもまた、美しい物語を書き記すシンデレラの最高の観客だと語り、もしも再び醜い姿が鏡に映ったときはいつでも自分の瞳を見ろと続ける。
そこには一番美しい勝利の女神が映っているはずだ、と。
気力を取り戻したシンデレラに、エイブは今後の身の振りようを提案する。だが、彼女は示されたいずれの選択肢も否定し、強い意志で答える。
クイーンを倒す、と。
一番美しい勝利
そんな二人にかつての仲間たち、そしてオスワルドが立ちふさがる。人類にとりラプチャー側のイコンと化したアナキオールを討伐するためだったのだが、ヘンゼルとグレーテル、セイレーンのいずれも戦う素振りは見せず、レッドシューズの所業を突き止めていたオスワルドもまた、シンデレラからクイーン討伐の意思を聞くやあっさりと矛を収めてしまう。初めからこうなることを望んでいたかのように。
仲間たちと和解し、オールドテイルズはかつて果たせなかったクイーン撃破に向けて動き出す。
アーク入り口に戦力を投入し手薄となった軌道エレベーターを襲撃し、妨害を切り抜けて静止軌道上へと駆け上がっていく一向に、上空から赤黒いレーザーが降り注ぐ。
高空へ次々放り出されていく仲間たち。助けようとするシンデレラをエイブは押し留める。
「物語の続きを書くんだ!」
「お前は!誰より美しい、私の勝利の女神だ!」
ただ一人軌道ステーションにたどり着いたシンデレラは最奥に進むと、そこにはおぞましい姿をしたラプチャーの女王「クイーン」が待ち構えていた。
赤と青の軌跡のぶつかり合い。身の丈の違いをものともせず、シンデレラはクイーンを圧倒する。
ガラスの靴の集中砲火を受け身悶えするクイーンに、勝利を確信するシンデレラ。
その刹那、クイーンが放った不意打ちの一撃が彼女を弾き飛ばした。
真空中に放り出されたシンデレラは最後の力で軌道ステーションを撃ち抜く。クイーンを討ち果たせずとも、これでラプチャーの補給線を断ち切ることができる。
爆炎を上げるステーションを見上げながら、大気の摩擦で赤熱するシンデレラは穏やかな笑みを浮かべる。
「これで…ハッピーエンドに…なります…ように」
物語の終わり
ところ変わって、地上。
オスワルドは第二世代フェアリーテールモデルにまつわるすべての情報を、アークから消去するように命じていた。
ゴッデスの象徴ともいえるリリーバイスがアーク入り口の防衛戦で死亡。アークが崩壊しかねないほどの情報を伏せるためにも、これ以上状況を悪化させかねない凶報もまた消し去っておく必要があるという判断だった。
…それが建前。そして本心はまた別の所にあった。
「また、あなたたちの物語が綴られる時が来たら…」
「きれいな白紙に、美しい物語だけを書き残していってください」
こうして、彼女たちの昔話はひとまずの休題を迎えた。
醜い汚れも、誇り高い戦いも、そのすべてが書き記されることはない白紙のままに。
いつか再び物語が始まるとき、誰よりも美しい姿を書き込めるように。
以下、メインストーリー31章、32章のネタバレ注意。
目覚めの時
経緯は今のところ不明ながらもアナキオールの体をグレイブが発見し、回収。
脳以外は機能していないも同然の半死半生の状態にあったが、せめて脳の劣化を保護するためコールドスリープ機能がついた棺に納め、体の治療のために必要な素材を集めるべく、放浪を続けていた。
しかし、ヘレティック同士は互いの居場所を感知できるため、その旅は常に狙われ続ける過酷なものだった。
時に奪われ取り返したり、時に予期せぬアクシデントで離ればなれになったりと孤独な苦闘を続けながらも、怪我の功名で発見したハーモニーキューブの演算機能を流用することで身体修復の足掛かりを得、永い時間をかけながら着実に復活の準備を整えていった。
しかし、激しい損傷を経てシンデレラの心はまっさらな状態となっていた。目覚めたとき、何を目にするか、何を言われるかで元のシンデレラにも、アナキオールにもなりかねない、ある意味危険な状態に置かれていたのである。
そしてグレイブと協力関係を結んだ指揮官およびカウンターズによって、ヘレティック・ベヒモスの妨害を振り切って起動に成功するが、人格が上手く形成されず、ベヒモスの手によってアナキオールとしての人格が形作られていく。
しかし、指揮官の決死の策で時間を稼ぎ、その隙をついたグレイブの懸命な呼びかけにシンデレラは応える。「顔を見せて」と。
見ても無駄だとグレイブは固辞するが、なおも呼びかけるシンデレラの声に応じ、永い放浪の果てに醜く溶けた顔を露にする。
「きれい」
「ずっと、守っていてくれたのね」
その言葉はグレイブの瞳に映る姿か、あるいはグレイブの姿そのものに向けてのことか。
涙を流しながらこれまでのグレイブの献身に感謝を述べるシンデレラ。
最高の観客の願いに応え、長い眠りからついに目覚めたのだった。
「答えて。私は今、きれい?」
堅牢な守りを持つベヒモスに苦戦するものの、相手の不調にも助けられ、どうにかその場にいる者たち全員が撤退することができた。
そして昔に自分たちが果たせなかったことを果たすため、指揮官たちに協力を申し出るのだった。
復活後の性格
「ここ、鏡が少なすぎない?」
かつてのシンデレラ同様、美しいものや在り方を好む性格は変わっていないが、その度合いが悪化。
常に自分の美しさを確認せずにはいられなくなっており、自身が滞在している駐屯地01に100メートルおきに全身が映るサイズの鏡を設置することを要求するほど(これでも譲歩しており、当初の要求は50メートルおきだった)
言動もまず自分が美しいことが前提となっており、話が通じそうで絶妙に通じない。ゴリ押し同然の超理論は最早奇矯を通り越してエキセントリックの領域に片足を突っ込みかけている。
また、なぜか自分が作るものすら美しくなってしまうようで、スープを拵えた際には初めての料理だったとはいえ、どういうわけか美しく光り輝く(比喩表現ではない)スープが完成した。味に関しては…お察しの通りである(ただし食べられないほどではないし、以後見違えるほど上達もする。このあたり廃油スープとは天と地ほどの差があると言えよう)
…これはなにもナルシストの度が過ぎた結果というわけではなく、アナキオールであった頃の記憶が残っているからである。
ヘレティックとして犯してしまった数々の行いを彼女は「美しくないもの」と定義しており、また自分がそのような存在となってしまうのではないかと恐れているのである。
自身の姿をとかく気にするのも自己愛というより「自分はまだ美しい」と証明することでかつての醜い姿を否定する、ある種の醜形恐怖症に近い感情によるもの。
それ故に彼女は美しく在り続けようとするのである。
汚名を雪ぎ、物語を再び書き直すことができるその時まで。
関連人物
最高の観客。
長きにわたって自分を守り続けてきたグレイブに絶対の信用を置いており、極めて強い信頼関係で結ばれている。
グレイブも同様に、シンデレラをかけがえのない存在として大切にしている。
ニケとなる前の自身を救ってくれた命の恩人たち。
部隊行動としてはバラバラの出鱈目な戦闘だったが、次々とラプチャーを薙ぎ倒す彼女たちを『美しい』と思った事が、彼女の生き様に多大な影響を与えている。
以降はゴッデスの大ファンとなり、『ゴッデス勝利の大特番』と言う番組を録画し、何度も繰り返し見ていた程。そのゴッデスへの憧れは、辛い実験に耐える動機となり、いつかは同じ場所で戦いたいと願っていた。
ついに叶う事は無かったが、彼女たちの旗艦である『勝利の翼号』に乗って共に称賛を浴びると言う憧憬を抱いていた。
憧れの部隊の一員。
シンデレラ本人には恨みはまったくないが、レッドフードが見たのはアナキオールとしての姿のみであり、ラピがシンデレラの姿を初めて確認した際は残滓の影響によるものか、レッドフードに近い口調で強い怒気を孕みながら破壊を試みている。
しかし、すでに「後を託した」存在故か、ラピが冷静さを取り戻して以降は干渉する様子はなく、ラピの行動と判断に任せている。
大切な王子様。
実際は読者(グレイブ個別エピソードより)にして恩人でカウンターズ並みの関係ではないが、自身を目覚めに導いてくれた大事な存在と見なしており、良い物語に王子様は欠かせない、と自身の名前の原典になぞらえている。
彼女にとって指揮官も美しい存在であり、「1時間に10回は鏡を見るべきよ」とアドバイス(?)している。
指揮官を「王子様」呼ばわりすることについて、ラピとアニスは否定的だったが、最終的に諦めている。
ちなみに彼女の個人面談では、美しさについての質問を聞かれることが多いが、「君はいつでも美しい」などと大雑把に答えてしまうと、彼女から細かくて鋭い指摘をされるため、意外と正解の選択肢を選ぶのが難しい。
オールドテイルズの仲間たち
ある人物を除く、今でもかけがえのない仲間たちとして大切に思っている。
その消息は全くつかめていないが、自分が生きていたのだから皆も生きている希望を捨てないと語り、いつか部隊全員揃ってカウンターズの面々と出会える日を楽しみにしている。
V.T.C.の首席研究員と言うこともあり、シンデレラに関わることも多く、悩み事を聞いたりと仲は良かった。
しかし、その正体は「人類とラプチャーとの共存」を考える破綻思想の持ち主であったが故に、部隊内で評価試験の成績が一番良かったシンデレラを「もっとも完璧なニケだった」として侵食させ暴走させた。
結果として、シンデレラや仲間たちを苦境に追いやり、人類の敗北を決定づける一因となった。
本人は完璧な存在(ヘレティック)になったシンデレラの右腕として仕えるつもりだった。
企みを知ってから以降のシンデレラからは、『ラプチャーが欲しかったのは貴女の足だけ』、『あなたも、その赤い靴も全部消えて』と、蛇蝎の如く嫌悪されている。
綺麗事を嫌うアニスにとって、事ある毎に「美しい」と言うシンデレラは苦手な存在であり、ある時に我慢の限界を超えた彼女から喧嘩を売られてしまう。
シンデレラ自身もアニスから気に入られてないことを気付いており、「あなたはなにを目的に生きているの?」「目的もなく生きているのは美しくないわ」と問いかけ、アニスの心の底にある闇を見破った。
この質問をされたアニスは答えることが出来なかったが、「そのうち見つかるはずよ」「そうすればあなたも美しくなれるわ」と彼女をフォローする言葉をかけた。
シンデレラの実力については、アニスも流石に認めざるを得えず、そこは素直に褒められている。
余談
- ヘレティック・アナキオールの名称は「RED ASH」にてその姿が判明する以前から19章での研究レポートやニヒリスターの個別イベントなどに登場している。
- ニヒリスターの言によればヘレティック化はその過程において各自の思い描く最も理想的な姿になるとの事だがアナキオールに関しては侵食状態を示す瞳の色の変化のみに留まっている。
- 1周年記念イベント「RED ASH」のミニゲーム「MEMORY OF GODDESS」のシミュレーションルーム Lv.02では、ボスモンスターとして登場。弾幕を撒き散らしたり、バリアを張って攻撃を防いだり、自身の分身を多数生み出して襲いかかってきたりと、多彩な攻撃を行う。
- また、このゲームの途中に挿入されるムービーでは、鏡の中に閉じ込められたシンデレラが、徐々に侵食されていく過程が描かれており、のちの2周年記念イベント「OLD TALES」のストーリーでの劇中描写とほぼ同じである。
- 頻繁に会話に出てくる鏡だが、これがキーワードとなっている童話はモチーフとなっているシンデレラではなく、白雪姫(スノーホワイト)である。これが果たして何らかの意味を持ってくるのかは今後の展開を待ちたいところ。
- 2024年4月に公式で行われた「NIKKEグローバル人気投票第2回」の「一番好きなNPC部門」で1位にランクインしている。
- 実装当初、バーストスキルにバグがあり、通常攻撃のチャージ倍率がバーストスキルにも適用されてしまっていたため、ソロレイドが中止された。バグ修正と同時にバーストスキルの倍率も変更されたが、バグ前と遜色ないダメージを叩き出せるようになっている。