日本
日本国においては、今上天皇の長子がこれに当たる。現在では徳仁親王殿下。東宮(とうぐう)とも呼称される。
ヨーロッパ
皇帝の長子(男子が産まれなかった場合には皇帝の弟)がこれに当たる。
あくまでも「皇帝の長子」が「皇太子」であり、帝政国家が潰え、2011年7月4日に最後のオーストリア帝国皇太子オットー・フォン・ハプスブルクが98歳で亡くなった現在の欧州に「皇太子」は存在しない。国王の長子は「王太子」と呼称するのが適当。マスメディアでは特にイギリスのチャールズ王太子を「チャールズ皇太子」と表記する場合が多いが、1948年に時のイギリス国王ジョージ6世がインド皇帝位を手放してからはイギリス(=グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)国王は「(連合王国・イングランド・スコットランド・アイルランドの)王位」しか保持していない。(イギリス王はカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど、旧植民地国家の内のいくつかの国家の王位を保持している。英連邦王国を参照。)
実際のところ、以前の日本は外交文書においてほとんどの独立国の国王も「皇帝」と呼んでいた経緯があるため(詳しくは親記事参照)、このような呼び方が続いているのはその名残と考えられる。もっとも、イスラム圏における君主の称号(かつては「土侯」、現在は「首長」と訳される「アミール」、同様にかつては「皇帝」、現在は「王」と訳される「シャー」)の第一継承権者も「皇太子」とされるため、単なる思考停止かもしれない。
また、欧州においては皇太子あるいは王太子に自国の歴史と関連深い称号を授けられるのが一般的であり、
- イギリス王太子は「ウェールズ大公(プリンス・オブ・ウェールズ)」(ウェールズ元首として)「コーンウォール公」(イングランド王太子として)「ロスシー公」(スコットランド王太子として)
- スペイン王太子は「アストゥリアス公」(現在のスペイン・アストゥリアス州がレコンキスタ発祥の地とされ、また歴史的にアストゥリアスがレオン→カスティーリャ・イ・レオン→現スペインと発展していった経緯から。イギリス同様、現スペインの前身国家の皇太子の称号(アラゴンの『ジローナ公』、カタルーニャの『サルベラ伯』など)も付随して有する)
- オランダ王太子は「オラニエ公」(12世紀末発祥の欧州貴族「ナッサウ家」の分家。かつて現フランス領のオランジェ(オランダ語でオラニエ)を領土としていた事から)
- ベルギー王太子は「ブラバント公」(ブラバントは現在のベルギー北部とオランダ南部にまたがる、カロリング朝フランク王国に起源を持つ国家。幾多の変遷を経て1840年ベルギー王太子の称号となる)
- フランス王太子は「ブルターニュ公」
- ロシア皇太子は「ツェサレーヴィチ」(皇位継承権を持たない皇子が「ツァレーヴィチ」と呼ばれるのに対する)
- 選帝侯によって神聖ローマ次期皇帝に選出され、ローマ教皇からの戴冠を待つ状態の者(よって正確には皇太子ではない)は「ローマ王」
などがある。
「大公」「公」「侯」「伯」の法定推定相続人
神聖ローマ帝国の諸侯が独立したルクセンブルク大公国やリヒテンシュタイン侯国、境遇は少々違うがモナコ公国では、現在でも諸侯の称号である「大公」「公」「侯」を君主の称号としている。
これらの国家や、そもそもの諸侯における法定推定相続人は特にドイツ語において総称してエルププリンツ(Erbprinz)と呼ばれ、日本語では「公世子」「侯世子」「伯世子」などと表記される。