「希望の戦士よ、絶望の淵で眠れ…エターナルゲージ!」
概要
クイーン・ミラージュに忠実で信頼厚い部下、プリキュアハンター・ファントムの任務は、主君クイーンミラージュの為に世界中のプリキュア達を倒す事であり、今なお実行中である。
1話にて一瞬姿を見せた以降13話まで出番はなかったが、13、14話で彼の行動の実体が明らかになった事により、かなりの衝撃を与えた。
キュアムーンライトVSダークプリキュアの様な対等な宿敵ではなく、彼と戦って勝てるプリキュアが存在しない現在では「狩る側」「狩られる側」という天敵ともいえる一方的な関係になっている。
棺桶状の鏡にプリキュアを封じ込め墓標のように突きたてるという演出は、「死」のメタファーであることは明らかである。女の子達の憧れの的であるプリキュアたちが敗れ、絶望的状況に追いやられる光景はみんなのトラウマとしての印象を植え付けた。
封印されたプリキュア一覧
作中で封印された時の状況がある程度はっきりしているもののみ明記。
実際にはもっと数多くのプリキュアがファントムによって封印されている。
プリキュア | 封印地 | 封印確認話数 |
---|---|---|
キュアナイル | サハラ砂漠 | 13話 |
キュアテンダー | 日本・ぴかりが丘(注) | 20話 |
イギリスA | イギリス・ロンドン | 14話 |
モスクワA | ロシア・モスクワ | 14話 |
シドニーA | オーストラリア・シドニー | 14話 |
ローマA | イタリア・ローマ | 14話 |
ローマB | 〃 | 〃 |
古城A(緑) | 某所古城 | 14話 |
古城B(紫) | 〃 | 〃 |
古城C(桃) | 〃 | 〃 |
マドリードA | スペイン・マドリード | 16話 |
偽エコー | プリキュアの墓場 | 20話 |
墓場B(草色) | 不明 | 22話 |
墓場C(黄色) | 不明 | 22話 |
墓場D(緑) | 不明 | 22話 |
墓場E | 不明 | 22話 |
墓場F | 不明 | 22話 |
注、第22話で、妹、氷川いおなの目の前でファントムに倒されている事から、日本のぴかりが丘で封印されたと推測される。ただし、ここが拠点かまでは不明。
封印の詳細
封印のプロセスは以下の通り。
- プリキュアを魔力の枷で拘束し、抵抗できなくする。
- あるいは変身解除の状態に追い込む程のダメージを与える。
- 必殺技・エターナルゲージを打ち込み、同時に鏡を生み出して封印する。
プリキュアを変身解除状態にするには、弱らせ大ダメージを与えるが必須となる。(プリキュアがサイアークを浄化するためにまず弱らせてから浄化技を打ち込むのと同様。)
ファントムは広範囲の人間を無差別にサイアークにし、多数召喚することができる。しかもファントムのサイアークは1個体が三幹部のものよりも一回り強いため、仮に浄化しきったとしてもプリキュアは数の多さに体力を消耗し、疲労してしまう。
その頃合いを見計らってファントム自らがプリキュアの前に現れ、弱ったプリキュアにとどめを刺して変身解除、封印する。
第14話でイギリス最強のプリキュアが倒された時、ロンドン市内に紫色の水晶柱が乱立していたのは、まだサイアークを浄化しきれていない所をファントムに襲われた為と推測される(モスクワ、シドニー、ローマも同様か)。
第13話でキュアナイルが封印された時は、魔力の枷をプリキュアの四肢にはめこんで逃げられないようにして、そこに黒いオーラを浴びせ続けるという拷問めいた手法を用いた。
同話でキュアラブリーも魔力の枷に拘束されたが、オーラを叩き込まれる寸前にキュアフォーチュンが乱入し妨害。この隙にブルーが魔力を弱めてくれたおかげで、枷から自力で脱出できた。第13話以前の事は今の所不明たが、キュアナイルとの一騎打ちでは周囲に紫色の水晶柱が見られなかった所を見ると、この時点ではプリキュアを秘密裏に葬り去るのを目的にしていたが、ラブリーとフォーチュンの一件から「他者の妨害や介入」を防ぐ必要性を感じた為に、プリキュアの拠点の制圧も含めた方法に切り替えたとも推測される。更に偽エコーあたりから、プリキュア墓場に誘い込んでから倒して、封印する様にしたのは、マスメディアに自分の姿が映されて、その存在を公にしない様にする為、封印してから墓場に移送するのを切り替えたとも考えられる。
封印後
プリキュア墓場
鏡に閉じ込められた彼女達は、その後は「プリキュア墓場」という靄のかかった遠景に何本もの柱が見える異空間に移送され、そこで鏡そのものが墓標扱いにされる。
プリキュア墓場が描かれたシーンでは、作中で封印される描写があったプリキュアたちの姿も確認できる(モスクワA、イギリスA、シドニーA、ローマA,Bなど)。
また、ファントムはプリキュアとの戦いの最中に墓場を映した鏡を出し、その中にプリキュアを誘い込むこともある。そして閉じられた空間である墓場で孤立したそのプリキュアを痛めつけ封印する。いわば墓場はプリキュアの処刑場も兼ねていると言える。
実際、キュアフォーチュンもこの方法で墓場に移送されており、偽エコーも直接の描写はないが同じような手段で移送されたと考えられる。
このプリキュア墓場がどこにあるかは、今の所不明。
それが幻影帝国内に設けられた場所だったら、そこはプリキュアの能力が発揮出来ない場所である筈だが、第22話でのファントムとフォーチュンの戦い等を見る限りでは、能力が減少してる様子もないので、帝国内部ではない模様。それでも神様ブルーでも場所の特定が困難な事と帝国の支配下にある場所に変わりなく、封印された少女達の奪還は事実上不可能に近い。また、もし仮に封印された鏡を奪還できたとしても、第23話での神様ブルーがミラージュに向けた言葉から察すると、封印はミラージュでなければ解けない可能性もある。
さらに31話でファントム自身の口からたとえ自信を倒したとしてもプリキュアたちの封印が解かれない事や封印された者たちの魂は永遠に闇の中を彷徨う事が語られている。
プリチェンミラー
鏡に封印される瞬間に、プリキュアの体からプリチェンミラーが弾き飛ばされる。
つまり、変身アイテムは封印することができないという特性があると思われる。
弾き飛ばされたミラーはすぐにファントムが拾い上げている描写が存在するため、普通に考えれば幻影帝国に持ち帰っているのだろう。
しかし、フォーチュンは姉テンダーのミラーを所持しており、これは彼女が封印されたその場に妹が居た事を意味し、封印直後に運良く回収できたか、或いはムーンライトの様に、封印直前に託したと推測される(第22話で、ファントムはテンダーとの戦いの場に妹がいた事を認識している。また、第23話でテンダーが倒された詳細が、ぐらさんからブルーに語られていた事から、ぐらさんもその場にいたのは確実である)。
もしもそうだとしたら、ミラーが人手に渡って、新たなプリキュアが出現するのを防ぐ為、即座に破壊している可能性もあるが、22話にてファントムがいおなのプリカードを焼却して変身不能にしている事から、同じように他の封印したプリキュアのプリカードも焼却処分して、ミラーを事実上使用不能にしている可能性もある。
二次被害?
プリキュアの真実を求めて日夜報道を続けるTV番組『プリキュアウィークリー』ではファントムに封印されたプリキュアの様子も容赦なく放送する。
封印されたプリキュアたちは変身解除状態・・・すなわち本作の変身バンク途中でみられる下着姿にされてるわけで、それがお茶の間に向けての「晒しもの」となってしまうわけだ。
思春期の少女たちにとっては恥辱の極みであろう。
完全に変身前の姿に戻るわけでないおかげで最低限のプライバシーはギリギリ守られているというのが唯一の救いだろうか。
しかしここでいくつかの疑問もでる。
プリキュアが敗れると言う事は、その地域が幻影帝国の支配下に置かれるという事であり、そのような場所に一般のマスメディアが入り込んで取材、撮影、配信するのは大変危険な行為である。ニュースで放送された映像は誰が撮影したのか。
プリキュアが敗れ、その地域が帝国の支配下に置かれた事をアピールするため、封印された少女達と街の様子を帝国側が撮影し、それを全世界に配信していると考えられる。実際、シドニー・オペラハウスの前、乱立する紫の水晶柱の前ではチョイアーク達が集まっており、一名、カメラの前にかなり接近している。
敗れた直後、これから封印されるであろうイギリスのプリキュアや、三人を倒し、封印前のファントムを映した映像については、現地のマスコミもしくは一般市民がそれを撮影し、脱出後に非支配地域から配信したと思われる。
双方イタチごっこ!?
ほぼ完璧に一方的にプリキュアを狩っている感のあるファントムではあるが、一つの懸案事項がある。
それは幻影帝国側では、彼しかプリキュアを狩って封印出来る人材がいない事である。
その一方でブルーは定期的に世界各地に赴き、「愛の結晶」をばら撒いている。「愛の結晶」を得た「強い愛の心」を持った少女たちは、時間差はあれど新しいプリキュアとなって戦う。
つまり、一方でプリキュアを封印しても、もう一方では新たなプリキュアが誕生しているという事で、これでは狩る方は追いつかない。
実際、13話で本格的に登場までの間も、ファントムはプリキュア狩りを実行してきたが、その間も「不幸のエリア」は奪還されており、これは今までプリキュアがいなかったエリアにもプリキュアが入り込んだだけではなく、プリキュアが倒され、帝国の支配下になったものの新たなプリキュアに奪還されたエリアもあると推測される。また、13、14話でプリキュアが倒され、帝国の手に落ちた筈のエジプトやロンドンから、16話において子供達がプリキュアを応援する姿が放送されている。
新たなプリキュアが生まれる一方で狩られ、封印した一方で新たなプリキュアが現れている。
幻影帝国の側からすればブルーを抹殺すれば、これ以上のプリキュアの増加は無いが、クイーン・ミラージュの逆鱗に触れるのは必至で、まずファントムもやらないだろう。
ばらまかれた「愛の結晶」を、「強い愛の心」を持った少女が手にする前に人海戦術で拾い集めるという手もあるが、それなりの人員の確保、帝国支配下でない所をチョイアーク達が彷徨く事になる等、問題が山積みなので、これも難しい。
つまりファントムは幻影帝国の圧倒的な切り札というよりは、彼がいることではじめて幻影帝国とプリキュアのマクロな戦力が拮抗していると見るべきである。
どちらもイタチごっこでキリがないようだが、第22話で再変身したキュアフォーチュンにファントムが敗れて以降、拮抗した力関係に変動が見られつつある。
クイーン・ミラージュによって、ファントムがスタンドプレーを慎む様に釘を刺された為、彼はぴかりが丘とハピネス勢に手出し出来なくなってしまった。
そのハピネス勢の一人、キュアハニーがブルーの依頼で海外チームのヘルプに入る等、今まであまり繋がりの無かった、他のエリアのプリキュア同士の連携や情報共有等の、ネットワークも形成されつつあり、それに伴い、プリキュア達も「対プリキュアハンター」の為の戦略や戦術を形成していくとも予測される。