概要
兵庫県神戸市中心街に乗り入れる私鉄(阪急、阪神、神鉄、山陽)を結ぶ路線として昭和43年(1968年)に開業した。このうち神鉄以外の3社の線路が繋がっており、相互乗り入れをしている(阪急~山陽は1998年に乗り入れが廃止されている)。また、北神急行電鉄の施設も一部を除き保有する。
乗り入れる各鉄道と神戸市が出資しているが、阪急と阪神が経営統合したため、今は阪急阪神東宝グループ(阪急阪神ホールディングスグループ)に属する。なお、阪急阪神経営統合後に山陽と株式の調整が行われ一度グループを離れているが神戸市が一部株式を阪急阪神ホールディングスに売却したため再びグループとなった。
社名の「高速鉄道」は、「都市内で、既存の路面電車より高速な鉄道」という意味であり、ものすごい速度が出るわけではない。念のため。
神戸高速線
最大の特徴は、路線はあるが自社の所有車両が全くないこと。文字通りの「トンネル会社」である(一部を除いて地下路線であるが、地下鉄には含まれていない)。1988年、神戸高速が第3種鉄道となり、乗り入れ会社が第2種鉄道(阪急、阪神、神鉄、山陽)となったが、運営は引き続き神戸高速が行っていた。2010年の組織改革で第2種鉄道の区間が変更され、山陽は全区間を廃止(というか撤退)し、阪急は神戸三宮-新開地に短縮した。また、路線の運営も第2種鉄道側の会社となり、駅の表示版なども主に阪神の形式に合わせられるなど、神戸高速独自の色は薄れつつある。ウェブサイトでも、運行に関する案内は行っていない。
別会社同士の相互乗り入れ扱いであるため、運賃は神戸高速と他社との境界駅で区切って計算する。その対策も含めてか、神戸高速線の運賃は安く設定してあるが、他社との通しで乗ると運賃が並行するJR西日本と比べて割高な区間が多く(須磨-三宮間だと、JRは180円だが神戸高速・山陽経由だと330円)、運賃制度を改めてほしいという声は根強い。路線の運営会社が変更されても、阪急・阪神・神鉄の神戸高速線は運賃を通しで計算のままで、各社のほかの路線へ通しで乗ると運賃を境界駅で区切って計算するのは変わっていない。
また複数の会社の乗り入れのため、一度ダイヤが乱れると、広範囲にわたって波及するということである……同一の会社であっても、ダイヤの乱れは広範囲に波及することには変わらないが。
北神急行線
2002年、北神急行電鉄の経営が良くないため、同電鉄北神線の施設を譲受し、同線の第3種鉄道となった。神戸高速は20年保有した後阪急電鉄に譲渡する予定。
路線
神戸高速線
第2種鉄道での名称は北神急行線を除き、神戸高速線となっている。
- 東西線
- 阪急<-神戸三宮-高速神戸、阪神<-元町-高速神戸-新開地-西代->山陽
- 両端で阪急、阪神、山陽とつながっている。阪急は新開地までの運行で、このうち高速神戸-新開地間は阪急と阪神の電車が同じ線路を走る唯一の区間となっている。
- このうち、山陽西代まで来る電車すべてと、阪神元町まで来る列車の大半、阪急三宮までくる半数(日中)が乗り入れている。線路の幅は1435ミリ。
- 第2種鉄道は阪急が神戸三宮-新開地、阪神が元町-西代で高速神戸-新開地が重複している。
- 2010年までは山陽が東西線全線、阪急が西代まで第2種鉄道だった。
- 阪神・淡路大震災では甚大な被害を被っており(大開駅など)、当時流布されていた「地下鉄は地震に強い」説を根底から覆している。
- 南北線
- 新開地-湊川->神鉄
- 神戸電鉄と乗り入れしている。湊川までくる電車すべてが乗り入れているが、東西線とは線路幅(1067ミリ)が異なるので乗り入れは出来ない。
- 全線が神鉄の第2種鉄道。
北神急行電鉄北神線
第2種鉄道(北神急行電鉄)での名称は北神線。
駅一覧
東西線(阪神神戸高速線) | (山陽電気鉄道本線山陽姫路駅-)西代-高速長田-大開-新開地-高速神戸-西元町-元町(-阪神電気鉄道本線梅田駅・近畿日本鉄道奈良線近鉄奈良駅) |
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東西線(阪急神戸高速線) | (山陽電気鉄道本線山陽姫路駅-)新開地-高速神戸-花隈-(阪急)神戸三宮(-阪急電鉄神戸本線梅田駅・京都線(嵐山線)嵐山駅) |
南北線(神鉄神戸高速線) | 新開地-湊川(-神戸電鉄有馬線有馬温泉駅・粟生線粟生駅・三田線三田駅) |
北神急行線(北神急行電鉄) | 谷上-新神戸(-神戸市営地下鉄西神・山手線(西神延伸線)西神中央駅) |
太字は赤幕の阪神・山陽直通特急の停車駅。黄色幕の直通特急、阪急の直通特急などその他の種別は各駅に停車。
以下は神戸高速線について記述する。北神急行線については北神急行電鉄参照のこと。
車両
前述したように神戸高速自社の車両は一両もなく、それぞれの乗り入れ会社の様々な形式の車両が乗り入れている(乗り入れる4社の車両のうち、阪急京都線用車両を除けば特に乗り入れできない規格の営業車両は無い)。
ダイヤ
東西線のダイヤが、一見するとかなり複雑なものになっている。阪神、阪急は10分間隔、山陽は15分間隔の運行であることから、全体では30分サイクルに見えるが、乗る時には目的地へ行くのに使わない電車を無視すれば単純である。
昼間は30分の間に、
阪神梅田<-阪神直通特急(神戸高速内通過運転)->姫路
阪急神戸三宮<-山陽普通->姫路
阪急梅田<-阪急特急->新開地
阪神梅田<-阪神直通特急(神戸高速内各駅停車)->姫路
阪急梅田<-阪急特急->新開地
阪神梅田<-阪神特急(神戸高速内各駅停車。西行きは元町から普通扱い)->須磨浦公園(須磨で姫路方面の普通に接続)
阪急梅田<-阪急特急->新開地
というサイクルで電車が来て、阪急方面<->山陽方面は高速神戸で乗り換えられる。
東西線開通時に電鉄兵庫駅を失った山陽は普通電車が乗り入れてくるが、自前のターミナルを持っている阪神と阪急は、昼間は普通電車は乗り入れてこない。
直通特急の一部を除いて、線内はすべて各駅停車となっており、「神戸高速鉄道」でなく「神戸低速鉄道」と揶揄されることもある(比較対象の路面電車も現存しないし)。ちなみに東西線内ではJRの普通電車より遅く、前述したように運賃もJRより高い区間が多いため(姫路-大阪間は200円ほどJRが高い)、利用客は傾向的には伸び悩んでいる。
現在阪神三宮駅まで乗り入れている近鉄電車を、将来的には山陽姫路まで乗り入れさせるという計画があり、もし実現すれば、ダイヤ的にも車両的にも混沌ぶりに拍車がかかるであろうことは間違いないが具体的な目途はたっていない。逆に阪急は神戸市営地下鉄と三宮駅を地下化した上で乗り入れ、神戸高速線との乗り入れは中止するという計画があるが、こちらも東西線の処遇も含めて目処はたっていない。
種別
ここでは東西線の種別について記述する、南北線の種別については神戸電鉄を参照のこと。
- 直通特急(阪神・山陽)
- 梅田と姫路を結ぶ電車は開業以来の懸案であったが、輸送力の違いもあり、なかなか実現しなかったが、1998年、震災やJRが原因で減少した乗客を取り戻すべく、阪神と山陽が直通することで誕生した。東西線を走る列車では最長距離の電車である。線内駅を通過するパターンと、全駅停車のパターンが存在する。線内駅通過は赤、線内各駅停車は黄色の種別幕が使用されている。かつては「大阪ライナー(阪神梅田行)」「姫路ライナー(山陽姫路行)」の愛称があった。
- (臨時)直通特急「あたご」(阪急)
- 阪急では春秋の行楽時に嵐山にむけて各方面から臨時列車の「直通特急」「快速特急」を走らせており、高速神戸駅からも嵐山行の臨時「直通特急(あたご)」が走っている。高速線内は各駅に停車する(といっても、高速神戸・花隈・阪急神戸三宮の3駅だが)。阪急方面と山陽方面を結ぶ直通特急はない。
- 特急(直通特急を除く)
- 阪急のほとんどがこれに該当するが、一時期の山陽特急を除き神戸高速線内は各駅というのが基本であった。なお、高速神戸-新開地間は上記の直通特急と合わせて日中だと一時間あたり12本が運転する日本でも屈指の特急運転区間である。1駅だけなので意味はないが。
- 快速急行
- 阪急が深夜時間帯に一部特急の代わりに乗り入れてる程度で(阪神線快速急行は基本的に三宮までだった)、通過駅もない各駅停車と同様の存在であまり特徴は無かったが、2012年のダイヤ改正で、新開地発阪神線経由、近鉄奈良行快速急行が誕生している。
- 急行・準急など
- 阪急、阪神のそれぞれの列車の一部が、高速線内は各駅停車で乗り入れてた。一部が山陽線まで乗り入れていた事もある。現在はどちらも東西線内では走っていない(南北線では主力である)。
- 普通
- 山陽電鉄からの乗り入れ列車が大半であるが、実質は上記の特急のほとんども各駅停車で、東西線内では変わりはほとんど無い。山陽-阪急の乗り入れは廃止されているが、現在でも山陽電鉄の車両(主に普通)が阪急三宮駅まで乗り入れている。
その他
かつて新開地駅で「高速そば」という立ち食いそば屋が存在していたが、名前の由来は社名の「神戸高速」からであり、別にそばが高速で出てくるわけでは無い。
関連項目
阪急電鉄 阪神電気鉄道 山陽電気鉄道 神戸電鉄 北神急行電鉄
JR西日本山陽本線 東西線の乗り入れ区間を含めて全線に渡り競合する相手。
神戸市営地下鉄 こちらも三宮-長田(山陽板宿)間で競合する。長田までだと150円、地下鉄は230円だが(JR新長田は180円)、山陽板宿までだと280円、地下鉄は270円と運賃が逆転する。