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ナウマンゾウの編集履歴

2016-03-15 16:27:55 バージョン

ナウマンゾウ

なうまんぞう

日本に生息していた代表的な古生物の一つ。

発見と命名

明治時代初期、横須賀で最初の化石が発見され、ドイツのお雇い外国人であり当時の東京大学地質学教室の初代教授ハインリッヒ・エドムント・ナウマンによって研究・報告された。その後1921年に浜名湖北岸、現在の静岡県浜松市西区佐浜町の工事現場で牙・臼歯・下顎骨の化石が発見された。


京都帝国大学理学部助教授の槇山次郎は1924年に、インドに生息した古代のゾウ「ナルバタゾウ」の新亜種であるとしてこれ等の化石を模式標本とし、ナウマンにちなんでエレファス・ナマディクス・ナウマンニと命名した。一方同じ年に、東北大学教授の松本彦七郎は臼歯の形からアフリカゾウに近いと考えて同じ化石にパレオロクソドン・ナウマンニと命名した。現在では本種もナルバタゾウもエレファス属ではなくパレオロクソドン属と判明しているが、種小名により和名はナウマンゾウで呼ばれることになった。


1962~1965年まで長野県の野尻湖で実施された4次にわたる発掘調査で、大量のナウマンゾウの化石が見つかり、多くのことが分かった。また東京都内でも1976年に地下鉄都営新宿線浜町駅付近の工事中に3体分の化石が発見されて以来20箇所以上で発見されている。


特徴と生息地

体高2.5~3メートルで、現生のインドゾウと比べるとやや小型である。中国大陸のは日本にいたものよりもかなり大型だった(マンモスも最大種は中国産である)。日本産のは、同じく日本列島で最も成功した象類であるトウヨウゾウに近い大きさで、体高は2メートルまたは2.4メートル程度だったと思われれ、これが日本列島における島しょ矮小化の安定サイズである可能性はある。当初は熱帯性の動物で毛を持っていないと考えられていたが、野尻湖発掘によりやや寒冷な気候のもとにいたことが判明した。氷期の寒冷な気候に適応するため、マンモスのように皮下脂肪が発達し全身は体毛で覆われていたと考えられている。北海道では一時期マンモスと共存していたことも判明している。牙は発達しており、雄では長さ約240センチ、直径15センチほどに達した。牙は小さいながらも雌にも存在し、長さ約60センチ、直径6センチほどであった。


日本各地に生息し、栃木県東京都千葉県印旛沼方面など、長野県愛知県北海道などで化石が見つかっている。ユーラシア大陸にも生息していたとされるが、確証はない。


人間との関わり

野尻湖畔からは本種などの化石と共に旧石器時代の石器や骨器が見つかっており、本種もマンモスと同様に当時の人類の狩猟の対象であった可能性が高い。日本では約2万年前に絶滅したとされるが、これは日本列島に現生人類が現れた後期旧石器時代にあたる。


ナウマンゾウなどのように大型の動物の歯や骨の化石は「龍骨(竜骨)」と呼ばれ、古くから収斂薬、鎮静薬などとして用いられてきた。正倉院に宝物として保存されている「五色龍歯」は本種の臼歯の化石である。


オオツノジカマンモスケナガサイメガテリウムホラアナグマモア、巨大ウォンバットバーバリーライオンバリトラなど、数々の巨大動物(通称「メガファウナ」)やそれを餌とするホラアナライオンなどの捕食者が、人間に適応してきたアフリカ大陸や南方のアジア圏の動物群と違い、人間&進化し続ける石器&付随してきた家畜やネズミなどの動物たち&彼らが運んできた細菌やウィルスなどに免疫がなかったため、次々に絶滅していった。現代において、大型動物がアフリカや一部のアジアなどに限定されているのはこのためである。


もし共存が成功していたら、現代の日本でもナウマンゾウやオオツノジカの子孫、バイソンヘラジカサイヤマネコヒョウトラライオンなどがいたかもしれない。

関連タグ

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