概説
執権の補佐役であり、執権が若年もしくは政治基盤が弱体である場合などに置かれた。
最初に任命されたのは北条泰時の叔父の北条時房であり、元仁元年(1224年)6月に執権・北条義時が急死したことにより、翌嘉禄元年(1225年)7月、連署に就任した。時房は次席の執権というべき立場にあったことが近年判明しており、第5代執権・北条時頼の舅であり一族の重鎮でもあった北条重時が初代連署であるともいえる。
最も特筆すべき存在は北条政村であり、彼のみ執権経験後に再任されている。
また、彼の子孫は北条一族中最も多く連署に就任していることも特筆すべき事柄である。
しかし、第8代執権・北条時宗の独裁体制が確立すると、連署の職責も限定的なものとならざるをえなかった。嘉元3年（1305年）4月、得宗・北条貞時は第9代連署・北条時村との対立の末、内管領・北条宗方に命じて時村を殺害、首謀者とされた宗方も貞時の命により誅殺されるにいたったが、これ以後、自暴自棄になった貞時は酒宴に明け暮れるようになり、政務をおろそかにするようになった（嘉元の乱）。
嘉元の乱は得宗・北条氏の権力を著しく弱めた。応長元年(1311年)、病の床に就いた貞時は嫡男・高時の行く末と幕政を内管領・長崎高綱と秋田城介・安達時顕にゆだねた。これにより、鎌倉幕府は将軍はおろか執権・連署にいたるまで内管領・長崎円喜・高資父子、秋田城介・安達時顕の傀儡となることとなった。元弘3年(1333年)5月22日、最後の連署・北条茂時は東勝寺において得宗・北条高時、長崎円喜・高資父子、安達時顕らとともに自刃、鎌倉幕府は滅亡した。
室町幕府以降の政権には同様の役職はほとんど見られず、合議制を重んじた鎌倉幕府特有の役職と言える。
歴代連署
- 北条時房・・・時房流、初代執権・北条時政の三男。
- 北条重時・・・極楽寺流、第2代執権・北条義時の三男、第5代執権・北条時頼の舅として時頼が成長するまで幕政を主導。
- 北条政村・・・政村流、のちの第7代執権、第2代執権・北条義時の五男。
- 北条時宗・・・得宗・北条時頼の嫡男、のちの第8代執権。
- 北条政村（再任）
- 北条義政・・・極楽寺流、塩田流、北条重時の四男。
- 北条業時・・・極楽寺流・北条重時の五男、普恩寺流。
- 北条宣時・・・大仏流、北条時房の四男・朝直の子。
- 北条時村・・・政村流、第7代執権・北条政村の嫡男。
- 北条宗宣・・・大仏流、大仏宣時の嫡男、のちの第11代執権。
- 北条煕時・・・政村流、北条時村の嫡孫、のちの第12代執権。
- 北条貞顕・・・金沢流・北条実時の嫡孫、のちの第15代執権。
- 北条維貞・・・大仏流、大仏宗宣の嫡男。
- 北条茂時・・・政村流、第12代執権・北条煕時の嫡男。
