概要
宇宙世紀0105年、秘密結社 "マフティー"が同組織の象徴としてアナハイム・エレクトロニクス社に極秘裏に発注した、当時最新鋭の第5世代モビルスーツ。
パイロットはマフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア)。
最大の特徴として当時としては最先端の技術であるミノフスキー・クラフトを試験的に搭載している事が挙げられ、サブフライトシステムやウィングバインダーのような飛行専用の外部構造を用いずに人型形態での大気圏内飛行を可能としている。
また、機体前面にビーム・バリアを展開する事で空気抵抗を軽減し、空戦ではマッハ2もの高速機動が可能となる。
また、操縦系にはサイコミュも取り入れられており、搭乗者の脳波を拡大するシステムを有するなど、戦闘用モビルスーツとしては高い性能を誇っていた。
第5世代モビルスーツとしてはキンバレー部隊(キルケー・ユニット)のRX-104FF ペーネロペーに続く2番目のミノフスキークラフト搭載型モビルスーツとなるが、、ペーネロペーが専用のフライング・フォームに変形しないと音速を突破出来ないのに対し、こちらはビーム・バリアーで進行方向の空気を曲げることで音速を突破するなど使われている技術水準に関しては一部ペーネロペーよりも高い。
しかし、ミノフスキー・クラフトのモビルスーツ本体への搭載は機体の大型化を余儀なくされ、グリプス戦役期に於けるサイコガンダム程ではないにしろ、30m級の大型機として完成させるに至った。
大型のメガ粒子砲はゲーム『ガンダムVSシリーズ』で追加された武装であり原作小説には存在しない。
サイコミュデバイスと大出力メガ粒子砲を同時に搭載する機体コンセプトは、同じアナハイム製モビルスーツであるΖΖガンダムやサザビー等とも共通しており、これらの機体の優れた点を継承するガンダムタイプMSと言える。
また、本機の機体名であるΞ(クスィー)は「クスィー(クシー)」と読み、ギリシャ文字で「ν」の次の文字であり、これはかつてのニュータイプ戦士アムロ・レイが最後に搭乗したとされる機体νガンダムの意思を継ぐという意味で与えられたという。
宇宙世紀0105年時において、単独で大気圏内飛行が可能なモビルスーツは本機とペーネロペーのみであり、少数の戦力しか保有しないマフティーが地球連邦軍と渡り合うことができたのは、本機の絶大な戦闘力による処が大きいといえるだろう。
ロールアウトした本機は、ハサウェイ自身の手でカーゴ・ピサに格納された状態で月面から地球へと移送され、マフティーの戦力の中枢として活躍。
その飛行能力と戦闘能力は従来の空戦用MSとは一線を画しており、大気中ではモビルスーツの形態そのままでは、ミノフスキー・クラフト機でも音速をこえることはできないのだが、本機はその常識を覆し、ケネス准将の予測し得なかった速度マッハ2でアデレート空港に侵入し壊滅的な被害を与えた。またその後(事前の犯行声明通りに)アデレートの国際会議場を襲撃。その際にレーン・エイムのペーネロペーと戦闘になり、乗り手の実戦経験の差でペーネロペーを追い詰め、サーベルを頭上に振りおろして致命傷を与えるはずであったが、アデレートに突貫工事で設置されたビーム・バリアー(ポイント三十四番、バリアーS十八番)が起動。バリアーに包まれたガンダムは全身を硬直させ、爆風でななめになった木々をクッションにするようにして落下した。数百メートルも離れていなかったペーネロペーは、機能を停止したΞガンダムの手に埋め込まれたエネルギー・チューブ部分をビーム・サーベルで焼き、バーニア部分も溶解させ武装解除を行った。
その後Ξガンダムの製造工場を調査するため、アデレード空港の南端に移送されたが物証はなく製造工場が分かる物は何一つ発見出来なかった。移送されたガンダムの姿は左右に開かれたマニュピレーターがまるで十字架を背負わされているように鎮座させられていたという。
連邦が設置したビーム・バリアーにはアデレートの全電力を集中させ、ガンダムのコクピットの保護バリアーが作動せず、バリアーとコクピット・コアの距離が近すぎてパイロットが痺れたにも関わらず、ハサウェイは全身火傷と打撲を負うだけの軽傷で済むなど機体の防御性能はケネスも認めている。
武装
頭部バルカン砲
側頭部に二門装備する機関砲。
砲口径は不明。
ビーム・ライフル
携行型射撃用ビーム兵装。
ビームの高出力化によって旧来品の倍近くの初速を誇る。
肩部メガ粒子砲
肩部アーマーを展開する事で露出する大出力のメガ粒子砲。
両肩あわせて二基を搭載している。
ビーム・サーベル
バックパックに装備されている格闘用ビーム兵装。
基部にマウントされた状態でも稼動可能であり、手に持たずとも敵機を両断することが出来る。
ミサイル・ランチャー
機体各所に設置されたミサイル・ランチャー。
両腕部に通常タイプの物を、両脚部に大型ミサイル用のミサイル・ランチャーを装備する
ビーム・バリア
空気抵抗低減用のビーム・バリア。
高速飛行時にはビーム・バリアを機体前面に展開、進行方向に波形を変えたビームを放射することで大気の干渉を減散させ、飛行形態への変形をせずに大気圏内を高速で飛行する事が可能になる(一部ゲームでは簡易的な飛行形態に変形する)。
この状態でのΞガンダムの姿は空中であたかも機体全体が発光するかのような様相になる。
確認されている限りでは、マッハ2を超える速度での航行が可能。
あくまで空気抵抗軽減用なのでビーム防御などの防御への転用は不可能である。
ファンネル・ミサイル
サイコミュ兵装。他のファンネルとは違い、ビーム攻撃を行うのではなくそのままミサイルとしてぶつけるのが特徴。
(サイコミュを用いた誘導式ミサイルという意味ではティターンズのモビルアーマーハティが同様の機能を有する。こちらは映像作品シリーズにおけるファンネルの設定を継承したうえで設定されていることもあり、戦略ミサイルとしての運用が想定された全く別のコンセプトの兵器となっている)。
なお、「閃光のハサウェイ」の前篇となる「ベルトーチカ・チルドレン」や「小説版ガンダム」や「ハイ・ストリーマー」、「ガイア・ギア」などの富野小説世界では、『ビット』『ファンネル』などのサイコミュ兵器は『脳波誘導式のミサイル』という扱いであり、移動砲台としてだけでなく直接相手にぶつける戦法も取られている。「閃光のハサウェイ」ではまた別にペーネロペーの武器として「ファンネル・ミサイル」という名前が出てきている。確かにクスィーのものは小説中で単にファンネルとしか呼ばれていないが、ファンネル・ミサイルという名称自体が「Gジェネレーション」シリーズからというのは誤りである。
サンド・バレル
対MS・対実弾迎撃用散弾。
散弾を用いて敵モビルスーツや実体弾を撃ち落とす事を目的とする。
ゲーム作品等では再現されていない事が多い。
機体データ
型式番号 RX-105
所属 反地球連邦政府組織 "マフティー"
建造 公式には不明(アナハイム・エレクトロニクス社)
生産形態 試作機
全高 28.0 m
頭頂高 26.0 m
本体重量 32.0 t
全備重量 80.0 t
出力 3,980 kw
推力 160,000 kg
センサー有効半径 30,000 m
推進機関 ミノフスキークラフト 他
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 バルカン砲×2
ビームサーベル×2
ビームライフル
シールド
メガ粒子砲×2(肩部)
ファンネルミサイル
ファンネル
ミサイルランチャー(腕部)
大型ミサイル(脚部)
特殊装備 ビームバリアー
デザインの変遷
原作挿絵は森木靖泰による原作版デザインであったが、原作発表の約10年後、SDガンダム GジェネレーションFに「閃光のハサウェイ」が登場するにあたり、主役機であるΞガンダム及びライバル機ペーネロペーのリデザインが森木氏自身の手によって行われた。このバージョンはGジェネ版と呼ばれ、その後広く普及していった。
さらにその後、『カトキハジメによるリファイン版の立体化』というコンセプトに基づくシリーズ「GUNDAM FIX FIGULATION」で発売されるにあたり、さらにカトキの手が加えられたGFF版が発表され、今に至る。
以上のように、Ξガンダムとペーネロペーには「原作版」「Gジェネ版」「GFF版」の3パターンの異なるデザインが存在することになる。
特に「Gジェネ版」と「GFF版」はそう極端な違いがあるわけでもなく、Gジェネ版の場合特にSD以外の資料が少ないこともあって、区別がつきにくい場合もある(「原作版」には、顔のへの字スリットが無く、胸にアンテナが有るなどの違いがあり、比較的区別しやすい)。
また腕や足などに森木独特のデザインが顕著に出ていたことで、後年武者頑駄無シリーズに登場した際は、同じく森木のデザインが顕著に出ていた冥王計画ゼオライマーの主人公機ゼオライマーの要素を取り入れた「機動武神天鎧王」が登場している。
外部作品に於ける客演
ガンダムVSシリーズ
機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOSTに2012年11月26日のアップデートで参戦。
コスト3000の射撃寄りの万能機。制限時間つき自己強化武装として高機動形態(ミノフスキークラフト解放状態)搭載が搭載されている。
全高 28.0 mという原作設定のためか当たり判定が大きく設定されており機動力は同コストでは若干遅め。
そのかわり、ビームライフルや肩部メガ粒子砲を発射した際、ファンネルミサイルを射出するという特殊能力を持つ。そのため射撃をかいくぐって接近する格闘主体機には、やりにくいこの上ない相手。
逆にサザビーやストライクフリーダムガンダムといった高い機動力有する射撃機体とは相性が悪く、ドッグファイト状態に持ち込まれると不利になる場面が多い。前述のミノフスキークラフト解放状態は弱点である機動力が上昇するのでうまく使って切り抜けよう。
EXVSFBで参戦後、家庭用機動戦士ガンダム EXTREME VS.に配信決定。ガンダム試作3号機と共に2012年12月13日より有料配信されている(ダウンロード機におけるコスト3000機はHi-νガンダム(無料)とこの機体のみ)。
ガンダムビルドファイターズ
ガンダムビルドファイターズに於いて1カットのみであるがBB戦士Ξガンダムが登場。
続くガンダムビルドファイターズトライでは公式サイトで行われたモビルスーツ総選挙にて選ばれた上位10機体の中から再投票を経て1位を獲得し、本編最終話にて登場。他のガンプラと共にカリマ・ケイが操作するラフレシア撃破に貢献する活躍を見せた。
Gジェネレーションシリーズ
宇宙世紀系ガンダムにおける開発系譜終着点の一つ。
対となるペーネロペーとほぼほぼ似通った武装であるが、Ξは射程5以上はMPを消費するファンネルミサイルでしか攻撃できないが、ペーネロペーは射程5までならMP消費なしで攻撃可能。
反面防御面ではペーネロペーはシールドが無く、かわしきれない場合はダメージをまともに受けるが、Ξにはシールドがあるのでダメージの軽減が可能。
以上のことから、攻撃面に特化させたペーネロペーとバランス良く戦えるΞと差分が図られている。
スーパーロボット大戦シリーズ
2017年発売予定の最新作、スーパーロボット大戦Vに参戦が決定。