概要
テレビアニメ『VS騎士ラムネ&40炎』は、1996年4月3日から1996年9月25日までテレビ東京系で全26話が放送された。
漫画版は『少年エース』にてテレビアニメとほぼ同時期に連載。作画者は吉崎観音。吉崎自身、前作が大好きだったのも手伝って、漫画版の方が前作の内容を使ったネタが頻出している。
ねぎしひろしとあかほりさとるによる2文字アルファベットシリーズの最終統括作として作られた作品であり、主要キャラクターは全てシリーズ作品のキャラクターをモチーフとした設定(伝説を継承する勇者と巫女・世界の鍵を握る獣人・愛する人を守るというプログラムの元で心を成長させる機械の少女たち)を持っている。
シリーズ前作『NG騎士ラムネ&40』で主人公2代目ラムネスとして活躍した馬場ラムネの息子・馬場ラムネードが新たな主人公3代目ラムネスとなって冒険する作品である。
続編としてOVA『VS騎士ラムネ&40FRESH』が1997年に作られている。
ストーリー
ゲームが大好きな馬場ラムネードは、ある日、2人の少女からゲーム機用のCD-ROMを買わされる。それは妖神ゴブーリキを倒した2代目ラムネスの戦いを記録したものだった。ゲームをクリアすると先ほどの少女2人がテレビから出現して、3代目ラムネスとなって復活した大邪神アブラームを倒して自分たちの世界を救ってくれとお願いされる。
登場人物
運命の勇者
ラムネス / 馬場ラムネード(3代目勇者ラムネス)(CV:草尾毅)
アドバイザーロボット
勇者と共に戦う巫女
運命の仲間達
乙女回路の少女たち
世界の鍵を守る獣人たち
先代勇者ラムネスと聖なる三姉妹
仮面の勇者 桃風(アララ・ミルク / 馬場・アララ・ミルク)(CV:横山智佐)
アブラーム軍
ブルナルシスト・ダンディ(ブラック・ダンディ、マッチョ・ショコラーデ)(CV:松本保典)
フェロモン・リップ(ブラック・リップ、ニップル・シャーベット)(CV:根谷美智子)
運命の始まりを知る者達
オルガン・シンフォニー(CV:今井由香)
神霊騎士
主題歌
オープニングテーマ
「未来形アイドル」
作詞 - 原山佳奈子 / 作曲 - 名古屋司 / 編曲 - かつと&ぺーすと / 歌 - 氷上恭子、宮村優子
エンディングテーマ
「勇気の引力」
作詞 - 松浦有希 / 作曲 - 松浦有希、吉田潔 / 編曲 - 松浦有希、吉田潔 / 歌 - Liaison
※以下、ネタバレ
作品構造(ネタバレ)
時間軸と主人公
本作品は、時間の流れが異なる別世界の存在や、未来の世界、時間移動、それらによるパラレルな歴史、ループ、パラドックスなど、複雑な時間軸を持っている。
客観的に見れば、大邪神アブラームを倒す為に過去へ行ってしまった事で新たな形でアブラームが生み出されてしまい、ラムネスたちの魂は一定の時間軸の中で輪廻を繰り返すループ現象が発生している。
そして輪廻という視点を外せば、未来にはアブラーム出現による滅びた世界だけが存在しており、これが「正しい運命」として宿命づけられている。
そのため本作における『勇者』は「世界そのものの摂理に逆らう、世界への反逆者」としての側面を持っており「世界の倫理としての正義」と「人々の存続としての正義」が対立・背反する戦いと宿命を強いられている。
運命とヒロイン
また本作品においては、作品における「主人公の隣で共に運命を戦い抜くヒロイン」(空想・パフェとカカオ)と「主人公と出会い結ばれる運命の恋人」(現実・ドラム=夢)が乖離している構造を持っている。これは前作『NG騎士』では、これらが合一のものとして機能していたため、あえてこれを崩して差別化を図るとともに「運命に対峙する」ということを強く問うための仕掛けである。(そして最終的には「運命の恋人」に軍配が上がっている。つまり穿って見れば「前世だ冒険だと、つまらねー夢想なんかにかまけず、現実に足つけて生きていこうぜ」というメッセージともとれるのである。彼女らの名前からすればなんとも皮肉な結論ともいえる)
漫画版では、前作大好きだった影響からこれを不服に思った吉崎の手によって、少しだけではあるがパフェに「ある重大な役割」が存在するように改変されている。
戦い
本作は前作と比して、より「戦いの過酷さ」を押し出し、最終的には仲間が次々にリアルに死んで、すべてを失う絶望に打ちひしがれたラムネードが仲間との思い出だけを支えに抱え、たった独りでラスボスに立ち向かうという無謀かつ悲壮この上ない展開となった。(最終的にはラムネードの勝利によりループ崩壊に伴う世界の再構築が為されて全てが復活するが、それ自体によってパフェとカカオはラムネードとの「縁」を失くして永遠の愛別離苦を味わう事になる。一方のラムネードは世界の再構築に関しては自覚が無く、皆が死んだままという事実を抱え続けて苦しみながらも「現実世界の仲間」に心の傷を癒されて終わる)これも前作との差別化による。
そして、これによって戦う事の悲劇性と無常と無情を示し「戦うことは辛い事」「どれだけ冒険が楽しくても現実の平和に居ることが一番尊い」と結論付けるため、そのあたりの展開がみんなのトラウマ認定されてしまう事もある。