概要
地球連邦軍が、宇宙世紀0100年に向けた宇宙軍再編計画の一環としてアナハイム・エレクトロニクスに委託した計画。
表向きは軍再編のフラッグシップモデルであるユニコーンガンダムの開発を目的としているが、実際には宇宙世紀100年のジオン共和国解体を見越したニュータイプ伝説の終焉を促すプランが練られている。
計画立案の経緯
一年戦争から第二次ネオ・ジオン抗争に至るまでジオン系勢力から勝利を得て来た地球連邦政府であるが、ジオニズムの根幹たる「ニュータイプ思想」を否定しなければならないにも関わらず、実際には一年戦争から第二次ネオ・ジオン抗争に至るまで、アムロ・レイを始めとする数々のニュータイプ達の活躍によって勝利を収めてきたというジレンマに苛まれていた(見方を変えれば地球連邦政府は戦争の勝利の代償に思想においてはジオン・ズム・ダイクンに完敗していたと言える)。
それを打破する為に、ニュータイプとは人の革新ではなく戦闘能力に優れた変異体であり、科学技術の発達によって只の人間であってもこれを打破する事が出来ると件伝し、これまで紡がれてきたニュータイプ神話を断ち切るプロパガンダとして立案された。
計画の成果物
UC計画の要となる、宇宙軍再編のフラッグシップモデル。
ムーバブルフレームをサイコフレームで構築したフル・サイコフレーム搭載機であり、サイコミュを応用・発展させた複数のシステムを組み込んでいる。
サイコフレーム搭載機の限界性能を測る為の実験機。
ネオ・ジオン残党袖付きによって強奪され、同組織のフラッグシップ機として運用された。
ユニコーンガンダムが敵NTと交戦出来る状況を作り出す為の露払い役として開発された機体。
表向きにはジェガンの上位機種となっている。
ニュータイプ・デストロイヤー。
敵NTを察知・殲滅する為のシステムで、ユニコーンガンダムをUC計画の産物たらしめている最大の要因。
息を吹き返したネオ・ジオン残党
UC計画は科学の力でニュータイプパイロットを狩る事で「人の革新」という正しい意味でのニュータイプなど実在しないと世界に見せつけるという性質上、敵対するネオ・ジオン残党に世間がニュータイプと認識するパイロットが存在している事が大前提である。
しかし、シャア・アズナブル亡き後のネオ・ジオン残党は潜伏と海賊行為を繰り返す統率の取れていない烏合の衆と化していた。
そこで地球連邦政府はニュータイプ思想を信奉するジオン勢力ならば必ずやニュータイプの力に頼るであろう事を見越した上でネオ・ジオン残党とジオン共和国の不穏な動きを敢えて黙認し、ネオ・ジオン残党に世間がニュータイプと目する強力な人材が現れるまで放置し続けた。
これが結果としてフル・フロンタルの台頭とネオ・ジオン残党(袖付き)の盤石な軍事組織化を許す事となる。
シナンジュ強奪事件
例えネオ・ジオン残党にニュータイプパイロットが現れたとしてもその能力を体現できるサイコマシンが無ければ世間はニュータイプとは認識しない。
そこで立案されたのが強奪事件に見せかけたシナンジュ(厳密にはシナンジュ・スタイン)の譲渡である(宇宙世紀94年の段階でシナンジュは既にデータ取り終え更に高性能なユニコーンガンダムも外部装甲以外ほぼ完成し用無しとなっていた)。
ネオ・ジオン脅威論によって軍縮の流れに歯止めをかけたい地球連邦の軍部とアナハイム・エレクトロニクス、UC計画の「やられ役」を用意したい地球連邦政府、高性能機を譲渡してもらえる事に異論の無いネオ・ジオン残党、各々の思惑と利害の一致による「事件」に見せかけた「取引」は大した被害を出すことなく円滑に進められる予定だった。
しかし、この「取引」を良しとしない地球連邦政府情報局所属のカルロス・クレイグと地球連邦軍所属のモビルスーツ隊隊長ダコタ・ウィンストンが取引を阻止するため独自の行動でネオ・ジオン残党に攻撃を開始したため現場は混乱、混戦状態となるもフル・フロンタルの参戦で形勢はネオ・ジオン残党に傾き連邦軍の巡洋艦2隻とモビルスーツ隊は全滅し全員が死亡、シナンジュもネオ・ジオン残党の手に渡るという凄惨たる結果となった。
しかもフル・フロンタルは本来ならNT-Dを発動していないユニコーンガンダムにも性能で劣りUC計画の「やられ役」として譲渡されたはずのシナンジュを自在に操りNT-Dと互角に渡り合う等、その力と政治能力は連邦政府とアナハイムの想定を大きく超えた脅威となっていく。
結果
カーディアス・ビストはUC計画を手伝うと見せかけてユニコーンガンダムのプログラム製作を請け負った際に密かにユニコーンガンダムをサイアム・ビストと「ラプラスの箱」の元へニュータイプを誘う鍵として作り替えており。更に連邦の要求通りに「NT-D(ニュータイプデストロイヤー)」を製作したかに思わせて実際にはニュータイプが搭乗した時にこそ真の力を発揮できるよう機密裏に仕様を変更していたため。
連邦の意図していた「ニュータイプという存在を否定するマシン」とは真逆の機体として完成しており遂にはコロニーレーザーを防ぐというアクシズショックに続く奇跡まで起こしてしまい。
本来のUC計画は大失敗に終わった。
しかし、その後も連邦は「アムロ・レイを始めとするニュータイプ達は人の革新などではなく、彼らの活躍の大部分は機体の性能によるものである」とする喧伝は続けており、宇宙世紀123年には「ニュータイプとはモビルスーツの操縦適正がある人」という認識が一般的になっている(ただし、クロスボーン・バンガードやコスモ・ルクス教団などではそれら認識とは異なる本来の人の革新としてのニュータイプの存在が伝えられている)。