プロフィール
名前 | 高坂麗奈 |
---|---|
誕生日 | 5月15日 |
身長 | 158cm |
星座 | おうし座 |
血液型 | O型 |
担当楽器 | トランペット、コルネット(原作小説) |
好きな色 | 青、白 |
趣味 | 映画鑑賞(映画は一人で見に行く)、演奏会には父とよく行く |
特技 | トランペット、ピアノ |
好きなもの | パスタ、柑橘系のジュース |
嫌いなもの | 納豆 |
CV | 安済知佳 |
概要
北宇治高校の1年生で、吹奏楽部に所属。トランペットを担当している。
容姿端麗・頭脳明晰な黒髪の美少女で、そのクールな印象とは裏腹に胸の内ではトランペットに対して熱い想いを抱いている。
一見して他を寄せつけないような雰囲気を放つ彼女であるが、心を許した相手や想い人の前では年相応の少女のような純粋さや素振りを見せることもある。
主要登場人物たちのなかでも、主人公の黄前久美子との関係性を見る限り、本作における準主人公的なキャラクターであるとも言える。
ちなみに、原作者によると本作の構想段階では麗奈が主人公とされていたが、その後、部内の状況全体を一歩引いて俯瞰するキャラクターとして久美子が生み出され、主人公の座は彼女に移されたという。(原作公式ガイドブック、191ページ)
人物
容姿
艶のある長い黒髪とこぼれ落ちんばかりの大きな瞳が目を引く、自信にあふれた美しい容姿の少女。(原作1巻、12ページ)
その美しさは時に同性さえもはっとさせるほどで、主人公の久美子をはじめとして同じ1年生の加藤葉月、川島緑輝も彼女に対して美人という感想を抱いているほか(短編集1巻、158ページ)、異性である男子部員からは3年生の田中あすか、中世古香織と並び立つほどの美人であるとも評されている。(短編集1巻、143ページ)
背丈は平均的だが、なかなかのものをお持ちである(原作2巻、121ページ)。また、白ソックスを穿いているキャラクターが多い本作では珍しく黒ニーハイを着用している。(夏服では紺のハイソックス)
なお、初期のキャラクターデザインではカチューシャをつけていたり、身長が久美子より高く設定されていたりしていたが(※麗奈162㎝、久美子159㎝)、試行錯誤の末に上記のような現在のデザインに落ち着いている。
性格
周囲と同じであることを良しとせず、「特別な存在になりたい」と願うストイックな性格の持ち主(原作1巻、203ページ、第二楽章前編、290ページ)。当初は他者とのあいだに距離を取り、特定の誰かと一緒にいることを嫌う”孤高の存在”であったが(原作1巻、192ページ)、主人公の久美子との交わりを通して次第に年相応の少女らしい一面を表すようになり、また、徐々に周りとの交流の輪を広めていくこととなる。
胸の内に秘めたトランペットに対する想いは強く、いかなる困難が立ち塞がろうとも真正面から打ち破ろうとする熱い意志を持っている(第二楽章前編、319ページ、第二楽章後編、276ページ)。その不屈の精神やトランペットに対するプライドは半端ではない強さであり、いかなる周囲の状況も我関せずといった具合で、たとえ周囲から孤立しようがお構いなし。良く言えば孤高な、悪く言ってしまえば頑固な人物。
そのため、彼女自身は”トランペット道”を究めんとする求道者のような雰囲気を醸し出している。
幼少期からピアノやバイオリンをはじめとする様々な楽器を習っていた彼女は、「出来なかったものが出来るようになる」ことに練習の楽しさを見出しており(短編集1巻、231ページ)、どんな状況にあっても楽器の練習の手を抜くことはしなかった。また、ピアノのコンクール等でほかの子に負けることがあっても、悔しいといった感情を相手にぶつけたりせず、「自分が負けたのは自身の努力が足りなかったせいだ」と自らの力不足を認める素直さも身につけている。(短編集1巻、232ページ)
なお、吹奏楽部のイケメン顧問である滝昇に対してはぞっこんの片想いであり、彼が貶されたと感じると憤慨して一歩も引かないなど、想いを寄せている滝が関わることには感情を露わにする。(原作1巻、93ページ、TVアニメ版1期3話)
その他
- 北宇治高校の学内でも一、二を争う成績優秀者であり、入学式の際には新入生代表を務めている。以降は、久美子たちとは異なる進学クラスに属して勉強している。(原作3巻、272ページ)
- 高校には当初自転車で通学していたが、原作小説の2巻からは「母親に自転車を貸している」、TVアニメ版1期の5話以降からは「帰りが遅くなる」というそれぞれの理由から電車通学に切り替えている。
- 部内では楽器係を担当しており、楽器庫にしまわれている管楽器やソフトケースの管理を任されている。(TVアニメ版1期6話、2期1話)
演奏技術
幼いころからプロのトランペット奏者である父親から指導を受けており、防音室を備えた自宅や音楽教室でのレッスン等の充実した環境で育ってきたため、トランペットの腕前は極めて高い。
吹奏楽部の顧問である滝は、1年生部員のなかでも全国レベルのコントラバスの腕前を持つ川島緑輝と並べて、彼女の実力を高く評価している。(TVアニメ版2期1話)
高校入学時に久美子が麗奈と再会した際には、「立華高校か洛秋高校に行くとばかり思っていた」と感想を漏らした(両校とも京都府内ではトップクラスの強豪校)ことから、無名校(久美子が入学した直後の時点の北宇治高校)にいるのはあまりにも違和感を持たれるほどの実力なのであろう。(TVアニメ版1期1話)
実際、その演奏力は1年生にしてトランペットパートのエース(首席奏者)、ひいては北宇治高校吹奏楽部の全部員のなかでも屈指の技量を誇るほどであり、後述のようにパートリーダーの香織が最終的にはあっさりと負けを認める(※)ほどであるほか、香織の信者を自認するほど彼女に肩入れをする吉川優子ですら、麗奈の演奏を聴いた当初から「香織先輩がどうあがいても勝てない」と思わせたほどであった。
(※実際、香織はそれまでの北宇治高校吹奏楽部のトランペットパートのエースであり、その実力は部内でもトップクラスであった)
「滝との縁故起用でソロパート担当になったのでは?」という疑惑を抱いた部員たちも、香織と麗奈との勝負の際の麗奈の演奏力の前にはぐうの音も出ず、彼女がソロパートにふさわしいとほぼ満場一致に近い形で彼女の実力を認めている。(TVアニメ版1期11話)
恐らく京都どころか関西でも有数のレベルの実力者であり、京都府内はもちろん、それ以外の関西エリアの強豪校からも勧誘があったことはまず間違いないだろう。
(現に作中では、立華高校が彼女に推薦入学の勧誘を行っていた)
彼女の使用するトランペットのモデルは、YAMAHA YTR-6310Z。カスタムモデルから更に改良を重ねた”プロフェッショナルモデル”と評される逸品である。
中学時代に親から買って貰った物であり(原作1巻、67ページ)、また小学校3年生のときにも誕生日プレゼントとしてトランペットを貰っている。(短編集1巻、233ページ)
自由曲のソロパート
北宇治高校吹奏楽部のコンクール自由曲である「三日月の舞」には、トランペットのソロという大きな見せ場が存在する。
(なお、原作およびコミカライズ版の自由曲である「イーストコーストの風景」の第2楽章にはコルネットのソロが登場する)
腕に自信のある奏者であれば、ソロパートの座は魅力的な物に見える。麗奈にとってもそれは例外ではなく、コンクール曲の発表後からソロを吹くことを念頭に置いて練習を行っていた。
ただ、その姿勢は2年生の先輩である吉川優子には若干疎ましく思われていた。
TVアニメ版1期9話の終盤、オーディションの結果発表のシーンにおいて、先述のソロパートに3年生の先輩で実力派でもある中世古香織を差し置いて選ばれる。
しかしTVアニメ版1期10話において、同じトランペットパートの2年生で香織を支持する吉川優子から、顧問の滝昇と以前から顔見知りであることを暴露される。
(麗奈の父親はプロのトランペット奏者で、滝昇の父親は吹奏楽界の有名な教師であることから彼とも面識があったことを、優子との口論の後に久美子に明かす。それに関しては後述する)
それを根拠として優子が滝に対して「麗奈を贔屓したのではないか」と詰め寄ったため、麗奈は激怒し、
「だったら何だっていうの? 滝先生を侮辱するのはやめてください。
なぜ私が選ばれたか、そんなのわかってるでしょ? 香織先輩より、私の方が上手いからです!」
と発言する。
これには優子も激怒し、「アンタねえ!香織先輩がアンタにどれだけ気を使ったと思ってるのよ!?」と反論し、麗奈につかみかからんとする勢いで詰め寄る。中川夏紀に制止されるも聞く耳を持たず、香織の制止によってやっと止まる。
泣き出す香織を横目で見た麗奈は、優子に対して「ケチつけるなら、私より上手くなってからにしてください」と吐き捨て、部室を後にする。
彼女には(多少毒を吐いたとはいえ)何の落ち度もないのだが、このことが部内に不和を生じるきっかけとなったため、滝の提案で再オーディションが実施されることとなり(立候補がなければ中止されたのだが、香織が立候補したために行われることとなった)、ソロパートの担当の話はひとまず白紙に戻る。
TVアニメ版1期11話において、全部員の見守る中で行われた再オーディションでは様々なプレッシャーをはねのけ、完璧かつ聴く者の心を揺さぶる演奏を披露する。
これにより香織のみならず全部員をきっちりと納得させ(優子は最後の最後まで香織を推してはいたものの、内心では麗奈の実力をはっきりと認めていた)、今度こそ文句なしでソロパートを務めることになった。
黄前久美子との関係
中学時代、そして高校に進学してからしばらくのあいだは、久美子のことを「黄前さん」と苗字で呼んでいた。
しかしTVアニメ版1期8話にて、遂に久美子を名前で呼び捨てすることとなる。(詳細は下記)
中学時代のコンクール
低音パートでユーフォニアムを担当する黄前久美子とは元々同じ中学校の吹奏楽部の同級生であり、顔見知り程度の関係であった。
しかし、中学校3年生の時に挑んだ吹奏楽コンクールの京都大会(府大会)で”金賞”を獲ったことから、2人の運命は交わることとなる。
この府大会で獲得した結果は「金賞」ではあるものの、より上の大会である関西大会(支部大会)への選考に漏れた”ダメ金”であった。
最初から本気で全国大会出場を目標に据え、本番のステージで全力を出し切った麗奈は、関西大会への道が閉ざされた現実を前に膝を抱えて泣き崩れていた。
一方、ダメ金であっても金賞を獲った事に嬉しさを覚えていた久美子は、隣ですすり泣く麗奈を見て「泣くほど嬉しかったの? 良かったね、金賞で」と優しく声をかけた。
久美子にとっては何の嫌味もない素直な言葉であったのだが、それがかえって麗奈を逆撫ですることになる。
「悔しい。悔しくて死にそう…」と胸の内を吐露しながら、麗奈は久美子に対して「何故ダメ金なんかで喜べるのか」、「私達は全国大会を目指していたんじゃなかったのか」と語りかける。
その言葉を受けた久美子は、悪気のない純粋な好奇心から「本気で全国行けると思ってたの?」と逆に麗奈に問いかけた。
…その言葉を発した直後、これはまずいとさすがの久美子も気がつくのだか、時すでに遅し。
「アンタは悔しくないわけ?」と涙をたたえた目で久美子を射抜いた麗奈は、「アタシは悔しい。めちゃくちゃ悔しい」とこみ上げる感情をぶちまけてその場を走り去っていった。
この時の麗奈が向けたまばゆいほどにまっすぐな視線と、自らが発した浅はかな失言は、久美子の記憶の内に暗い影を投じることとなる。
北宇治高校進学以降
2人は進学先の高校もたまたま一緒になるが(原作及びコミカライズ版では新入生代表挨拶、TVアニメ版では部活見学で再会)、当初は久美子が中学時代の思い出を引きずり敬遠していた事もあって関係は薄かった。
しかし話を進めて行くうちに、お互いに少しずつ心を開きながら惹かれあっていく。
TVアニメ版1期4話では、部活動が休みになり部員の大半が沈み込んでいる中、たった1人で「新世界より」の「家路」を吹いていた事を久美子が話に挙げ、「元気が出た」と麗奈に感謝の言葉を送るシーンがある。
久美子は話を終えた後に「今の絶対引かれた…」と呟くが、当の麗奈はむしろ頬を赤らめて「惹かれた」様子であった。
TVアニメ版1期5話で、ついに久美子に対して微笑む。
久美子が抱く顧問の滝昇への印象と、それに絡めた失言を慌てて取り繕ろうとする久美子の様子を見て、麗奈は「黄前さんらしいね」と髪をかき上げながら笑顔を見せた。
なお、久美子が滝への印象を語った時の「滝先生がかっこいい(ってみんなが言ってた)!」発言への食いつき方も尋常ではなかった。麗奈ェ…。
あがた祭り(TVアニメ版1期8話)
TVアニメ版1期8話にて、部室近くの手洗い場で塚本秀一に「あがた祭り、予定あった?」と聞かれた久美子は、咄嗟に「ごめん、(あがた祭りは)この子と行くことにしてて!」と言いながら、たまたまその時に部室を出てきた誰かの腕をつかむ。
その誰かこそ、他ならぬ麗奈であった。
久美子としては秀一から逃れるための急場しのぎの策をとった訳であるが、麗奈の方は「ねえ、何時にどこ集合?」と割と本気で信じ込んでいた。
そういった経緯によって2人であがた祭りに行くことになり、神社(原作からして宇治上神社だと思われる)の前で待ち合わせとなる。
その際に白いワンピース姿の麗奈は何を思ったのか、
「行こ、大吉山(=仏徳山)。登るの」と言い出し、久美子を連れて山道へ向かう。しかも楽器持参の上で。(※)
(※理由は〈日常から離れたひと時を楽しむための〉旅代わり。麗奈本人としては青春18きっぷを買って旅立つのを希望していたが、翌日に学校があるから行けないようである)
もっとも、楽器は交代で持ちながら登るとのこと。
そして、時折他愛もない話をしながら大吉山を登っていくのだが、その途中で麗奈は「私本当はさ、久美子と一緒に遊んでみたいなぁって思ってたの」(※)と言い、
(※これがアニメ版で麗奈が久美子を呼び捨てにした最初のセリフでもある)
その直後に「久美子って、性格悪いでしょ」とストレートに言ってのける。
当然久美子はそれを悪口と受け取るが、麗奈はあくまで「褒め言葉」だと言う。わけがわからないよ。
そして、挙句の果てにはそれを「愛の告白」とまで言った。どういうことなの・・・。
麗奈本人としては久美子の性格の悪さが気になって、「好き」というよりも「いい子ちゃんの皮をぺりぺりってめくりたいな」と思ったとのことである。
麗奈の本音
その後、大吉山の中腹にある展望台へとたどり着いた麗奈は、「綺麗だね」と久美子に話しかける。
久美子は相槌を打った後に「高坂さんはこれ(=展望台からの絶景)が見たかったの?」と聞くが、麗奈は「見たかった、って言うとちょっと違うけど… 他人と違うことがしたかったの」と返す。
そして「久美子なら、分かってくれると思って」と前置きをした上で、内に秘めていた本音を語りだす。
「私、興味ない人とは無理に仲良くなろうとは思わない。誰かと同じで安心するなんて、馬鹿げてる。当たり前に出来上がっている人の流れに、抵抗したいの。
全部は難しいけど、でもわかるでしょ? そういう、意味不明な気持ち」(※)
(※自分の物ではない誰かが作り出した「流行」や「人気」にあやかり、「みんなと同じで嬉しい」とする〈周りと合わせようにする〉価値観や、自分を偽った上での口先だけの綺麗事、お互いに腹の内を探り合ううわべだけの友達関係。
麗奈はそういったもの全てと距離を取り、自らの信念を貫くことを生き方の指針に据え続けてきた)
「分かるよ、高坂さんの気持ち…」と、そんな麗奈に久美子は同意を示そうと口を開くが、その言葉は額に当てられた人差し指と、「麗奈」の一言によって止められてしまう。
はためく白いワンピースの妖しくも美しいその姿と、心を開いて自らの本心を語る麗奈を前にした久美子は、それにつられるようにして「麗奈…」と呟いた。
人差し指を突き立てたまま久美子をまっすぐに見つめる麗奈は、「私、特別になりたいの。他の奴らと、同じになりたくない」という言葉と共に、当てていた人差し指を垂直に下ろし、久美子の鼻先をつーっと辿ると、そのまま彼女の唇をぷるん、と爪で弾いた。
そのまま右手を力なく下ろし、「だから私は、トランペットをやってる。特別になるために」と続ける麗奈に、久美子は「トランペットをやったら、特別になれるの?」と純粋な問いを投げかけた。
すると、
「なれる。
もっと練習してもっと上手くなれば、もっと特別になれる。
自分が特別だと思ってるだけのやつじゃない。本物の特別になる」(※)
と返す。
(※本物の特別というのは、例えばコンクールのオーディションでソリストに抜擢される事であったり、名実ともに素晴らしいトランペット吹きとして吹奏楽部のエースになる事であったり、あるいはそれらよりも遥かに先のことを見据えている可能性さえ含んでいる。
少なくとも、ただ自分の中だけで満足するに終わらない、自らのトランペットを通して、誰から見ても「特別である」と評価されたい、という願望を心の内に秘めている事は確かである)
そしてはためくワンピースを押さえ、フフッと笑いながらベンチに腰かけた麗奈は「やっぱり久美子は性格悪い(※)」と久美子に微笑みを向けた。
(※恐らくではあるが、この発言は久美子の「トランペットをやったら、特別になれるの?」という発言を受けてのものであると思われる)
なお、この8話は美しい作画も相まってインターネット上で神回との声が多数寄せられている。
躊躇いと励まし(TVアニメ版1期9話)
あがた祭りでの一夜の後、2人はお互いに「久美子」「麗奈」と下の名前で呼び合うほどの仲へと進展していった。
コンクールメンバーを決めるオーディションの当日、先輩たちと競い合わなければならないという事を悟り楽器庫で怖気付いていた久美子の前に、トランペットのケースを提げた麗奈が現れる。
声色の様子から久美子の様子がいつもと違うことを見抜いた麗奈は、久美子の前まで歩み寄って両手で彼女の頬をぺちんと挟むと、「私も頑張る。だから頑張って」と励ましの言葉とまっすぐな視線を向けた。
「麗奈…」とつぶやいて見つめ返す久美子に、麗奈は更に「私も頑張るから頑張って。約束」と言葉を重ねる。
ただオーディションで先輩達と競う合うのみならず、ソロパートの座さえも中世古香織と争って勝ち取ることを固く心に決めている麗奈の闘志を感じ取り、久美子もまた麗奈の頬を挟み返し「うん、頑張る」と答えた。
麗奈が語る真実(TVアニメ版1期10話)
オーディションの結果、麗奈はソロパートの座は彼女と顧問の滝昇がグルになって決まったと主張する先輩の吉川優子と言い合いになり、部室を飛び出していった。彼女が心配になった久美子もまた、その後を追いかけていく。
そうして部室をある程度離れた後、麗奈は不意に立ち止まる。
「麗奈! 麗奈!」と必死になって彼女を追いかけていた久美子は、そこに立ち尽くしてうつむく麗奈が「ウザい…」と小さく漏らすのを耳にした。
「んあああああっ!!ウザい!ウザい!
うっとおしい!何なのあれ!!ろくに吹けもしないのに何言ってんの!?」
直後に目をカッと見開き、大きな声で叫んだ麗奈は、その勢いのまま腹の底に溜めていた感情を一気に爆発させた。
久美子にしてみれば、平静を装っていても傷ついていたと思いついてきたのが、蓋を開けてみれば、
①唐突にぶちまけられた“感情”
②予想外の“喚声”
…ということなのである。(「特に理由のない暴力がライナーを襲う!」の記事より引用)
彼女の声のあまりの大きさにあっけらかんとしていた久美子は、「そう思わない!?」と大真面目に同意を求める麗奈を見て、思わず笑いをこぼす。
しかし、「ごめん、てっきり落ち込んでると思った…」と久美子がいつもの調子で謝ろうとするのを制するように、不意に伸びた麗奈の腕が久美子の背中へと回り込んだ。
ただ黙って久美子に身をゆだねる麗奈は、「久美子、私、間違ってると思う?」と前を向いたまま問いかける。
自分のすぐ隣で呟きながら顔をうずめる麗奈を見やった久美子は、ううん、思わない。と静かに返し、そのまましばらくの間じっと動かないでいた。
その後、校庭を見下ろす高台のベンチに2人で腰かけながら、麗奈は自分の父親がプロのトランペット奏者であること、その父親と滝昇の父親が知り合いで、自身も滝昇のことを知っていたことを打ち明ける。
そして、立華高校の推薦を蹴ったこと(TVアニメ版1期5話で佐々木梓が発言したもの)も、母親から滝昇が北宇治高校に赴任してくる旨を聞き出したから、と語った。
なにそれ、怖っ。と冗談めかした返答をする久美子に、麗奈は
「仕方ないでしょ?私さ、滝先生のこと好きなの」
と言う。
さすがの久美子も目を丸くして「は?」と返すが、麗奈は意に介さず、
「好きって言ってもライク(=好き)じゃないよ。ラブ(=愛してる)の方ね」
と更に付け足した。(※)
(※なお、原作版の久美子はこの件に関して「その方がまずいのではないか」と考えている)
そして、オーディションのソロパートに自身が選ばれたことについて、
「滝先生は私の気持ちなんて知らないから、オーディションで贔屓とか絶対ない。こんな時期に顧問のこと悪く言うなんて、ホント信じられない」
と話し、それを見た久美子は半ばにやけながら「うん、そう思う」と返す。
なにその顔、とにやけ顔の久美子に麗奈が問いかけると、久美子は「いや、麗奈って可愛いなーと思って」と、麗奈の乙女的な側面を素直に挙げた。
それを聞いた麗奈は、ばつが悪くなったのか、「性格悪っ」と顔を赤らめながらベンチに横たわった。
「ソロ、譲る気は?」と、不意に投げかけられた久美子の問いに、麗奈は寝返りながら
「ない。ねじ伏せる。そのくらい出来なきゃ、特別にはなれない」と即答する。
才能に裏打ちされた自分自身への絶対的な自信、そしてまぶしいほど真っ直ぐな自らの信念に、久美子はいかにも彼女らしい一面を見て「麗奈だね…」と呟いた。
麗奈の弱音、そして…(TVアニメ版1期11話)
顧問の滝昇の計らいにより、自由曲のソロパートはホール練習での再オーディションをもって正式に決めることとなった。
宇治文化センターでの練習前、オーディションの最終調整を行う麗奈を呼びに行った久美子は、ホールのロビーにトランペットを持ってぽつんと座りこむ彼女の姿を見かける。
隣に座り、大丈夫?と声をかける久美子に「うん」と短く返した麗奈は、一度だけ目を閉じてゆっくりと立ち上がると、「久美子、」と彼女の名前を呼んだ。
「久美子は、もし私が負けたら、嫌?」
自分と同じくソロパートを熱望しているパートリーダーの中世古香織の過去と、先輩の吉川優子から何故香織にソロパートを吹いて欲しいかという本心を告げられたこと、そして3年生の先輩を差し置いて1年生の自分がソロパートに選ばれたことから部内のきりきりした空気を生んでしまったことへの自責の念を考え、麗奈は香織にソロパートを譲るのがもっともな解決への道筋なのではないかと口にする。
振り返り、うつむいた表情で”らしくない”弱音を見せる麗奈に、久美子は「…嫌だ」とぽつりと呟き、直後にかぶりを振りながら「嫌だ!」と力強く立ち上がる。
「麗奈は特別になるんでしょ?
麗奈は、他の人とは違う!麗奈は誰とも違う! 人に流されちゃダメだよ!そんなのバカげてるでしょ!?」
あがた祭りの日の夜、麗奈は「私、特別になりたいの」と自らの本心を打ち明け、自身が抱くまっすぐな夢や憧れを久美子に語った。
それが「先輩を立てる」「部内の雰囲気を直す」ために折れそうになるのを見た久美子は、揺らぐ麗奈を支えるために彼女の迷いを打ち消そうとする。
それでもなお「でも、今私が勝ったら悪者になる」と麗奈が弱気な発言をすると、
「いいよ!その時は私も悪者になるから!
香織先輩より、麗奈の方が良いって!ソロは麗奈が吹くべきだって言う!言ってやる!」(※)
(※本来、久美子は周りに流されやすい性格であり、この発言もまた久美子”らしくない”ものである)
と、部員の誰もが香織を推しても自分だけは麗奈の味方につくことをはっきりと告げた。
この事に麗奈が「ホントに?」と聞くと、久美子も流石にやや怖気付いたのか、「…多分」と保険をかける。
この久美子の”らしい”発言に、麗奈も少し緊張が和らいだのか、穏やかに笑いながら「やっぱり久美子は、性格悪い」と返す。(※)
(※もはやこれは麗奈なりの社交辞令となっている)
そして麗奈は久美子に近づき、トランペットに添えていた左手を久美子の頬にそっとあてがいながら「そばにいてくれる?」と目の前の彼女を見つめる。
久美子はそれに相槌を打つ。「裏切らない?」と続く言葉にも、「もしも裏切ったら、殺していい」と自らの全てをゆだねるほどの覚悟をもって静かに応える。
「本気で殺すよ?」と、久美子が本気でそう言っているのかどうかを麗奈が確認すると、
「麗奈ならしかねないもん。それが分かった上で言ってる。
だってこれは、愛の告白だから」
と、自分の頬に添えられた手に自らの手を重ねながら、久美子はいつか自分が麗奈から言われた言葉をそのまま返した。
(「愛の告白」という言葉には、単純にその言葉が持つ意味以上に、今まで互いに惹かれあった上での距離感の終着点や、麗奈に全てをゆだねる久美子のより一層強い想いを含めていると考えられる)
その言葉を贈られた麗奈は一瞬瞳をうるませると、やがて全てを受け止めた微笑みを久美子に向け、ゆっくりと背を向けて立ち去っていった。
去り際、久美子に呼び止められた麗奈は、
「大丈夫。最初から負けるつもりなんて、全くないから!」
という、いつもの調子と何ら変わりのない、自信に満ち溢れた顔で答えた。
そんな麗奈の”らしい”姿に、久美子もまた微笑みながら彼女の背中を見送った。
そして再オーディションの本番で中世古香織とは別格のソロを吹ききった麗奈は、香織と顧問の滝昇、そして部員の皆から晴れてソロパートを託される事となった。
TVアニメ版2期(原作2巻以降)
原作小説の2巻と3巻を基にしているTVアニメ版の第2期では、久美子と麗奈の関係は互いに”親友”という位置づけで概ね安定している。
麗奈の方は、時には久美子が滝昇の過去について黙っていた件について、2人きりで大吉山の展望台に登って問いただしたり(原作3巻、287~293ページ、TVアニメ版2期11話)、定期演奏会に向けての練習時に久美子の演奏にダメだしをしたりする事(原作公式ガイドブック、73ページ)もあるが、花火大会に誘ったり(原作2巻、35ページ、TVアニメ版2期1話)、久美子の髪をいじって遊んだり(原作3巻、73ページ)、風邪をひいて寝込んだ久美子を心配して見舞ったりするなど(TVアニメ版2期8話)、久美子に対して親しみを全面的にあらわにしている。
また、久美子との親交を通じて同級生の川島緑輝と加藤葉月らとも交流を持つようになり、麗奈も麗奈なりに周囲の人間との距離を縮めようと努力をしている。(『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、10ページ)
一方、久美子の方はすっかり親友となった麗奈との交流に幸福感を味わいつつも、麗奈の音楽的な実力に対してある種の畏敬の念を抱き続けており(原作公式ガイドブック、87~88ページ)、また麗奈との友情が永遠ではなく、いつか終わるのではないかという事について不安も抱いている。(原作2巻、119ページ)
滝昇との関係
吹奏楽部の顧問で、麗奈にとってライクではなくラブな人。呼び名は「滝先生」。
父親同士が知り合いで、麗奈と彼も顔見知りの間柄。そのことが原因となり、吹奏楽コンクールに向けたオーディションでは一騒動起きている。
また昔からの顔見知りであるが、彼のプライベートな部分はほとんど知らない様子で、時に久美子の方が先に彼の私的な情報を得るということもある。
吹奏楽コンクール関西大会(支部大会)に向けた夏合宿では、新しく木管楽器のコーチとして呼ばれた外部指導員の新山聡美と滝との爽やかな関係性を目の当たりにして衝撃を受け、死んだ魚のような目をしながら茫然とすることもあった。(原作2巻、166ページ、TVアニメ版2期2話)
しかし、久美子の励ましもあって合宿2日目夜のレクリエーションの際に滝から直接話を聞いた麗奈は、2人がつき合ってないという事実を確かめて元の調子を取り戻していた。(原作2巻、207ページ)
2学期が始まり、全国大会に向けた練習を行うようになったある日の帰り際、麗奈は偶然滝の机上に置かれていた彼の若かりし頃の写真を目にし、その中に一緒になって写るひとりの見知らぬ女性の姿を見た。(TVアニメ版2期9話)
後に麗奈は滝の旧友である橋本真博からその女性が滝の妻であったこと、そして彼女は5年前に亡くなっていることを聞き出し、告げられた真実を前にして大きく動揺した(なお、原作小説では滝の口から直接真実を告げられている。※原作3巻、290ページ)。自分だけが真実を知らなかったことに対して、麗奈は母親や親友の久美子を強くとがめるが、同時に妻が居たことを知って動揺した自分自身の弱さについても認めた。(原作3巻、291~292ページ、TVアニメ版2期11話)
自らの想いを久美子に打ち明けたことにより踏ん切りをつけようとした麗奈であったが、それでも滝の亡き妻の存在を頭から引き離すことはできなかった。同じパートの先輩である吉川優子や中世古香織からも心配されたことを受けて、麗奈は練習の帰り際、滝に対して彼の妻がどのような人だったのかを問い、その答えの中から滝が亡き妻に向けている想いの強さを感じ取った。
その後日の早朝、麗奈は久美子を連れて滝の妻が眠る墓の前に立ち、「あなたの想いを受け継いだ滝先生の夢を叶えてあげたい」と黙して想いを告げると、突き抜けるようなトランペットの響きと共に決意を新たにした。
吹奏楽コンクール全国大会の本番を終え、結果発表に先立って行われた指揮者賞の授与の際、麗奈は突発的に立ち上がり、壇上の滝に向かって「先生、好きです!!」と大声で告白する。(原作3巻、355ページ)
麗奈は視線をステージに固定したまま茫然と立ち尽くしたのち、傍らにいた久美子に促されて席に着いたものの、「どうしよう… 滝先生に告白しちゃった……」と顔を赤らめて久美子に恥じらいを見せた。
そんな麗奈に、隣に座る久美子は「大丈夫。誰も告白と思っていないから」と語りかけたところ、彼女の言葉通り、麗奈の突発的な愛の叫びを単なる滝への声援と受け取っていた優子や香織からそれぞれ「高坂、いまのマジファインプレー!」「高坂さん、ありがとう」と声を掛けられている。(原作3巻、356~357ページ、TVアニメ版2期12話)
全国大会の表彰式を終えたのち、トランペットパートのメンバーの集まりの中に滝が訪れる。
麗奈の愛の叫びを自身への声援と受け取っていた滝は、麗奈に自身の今までの指導を振り返りつつ礼を述べた。
そんな滝に対して、麗奈は部員たちが滝を尊敬していること、そして自分自身も滝を慕って北宇治高校にやって来たということを語った上で、改めて「先生! 私、本当に滝先生の事が好きなんです!!」と告白した。その麗奈の想いをその場で耳にした香織や笠野沙菜、優子らのパートメンバーは、麗奈が滝に対して本当にラブの感情を抱いている事を知り、それぞれ驚きを露わにしている。
しかし、滝は麗奈の告白の言葉を受けて「そう言っていただけると、教師冥利に尽きます。ありがとうございます、高坂さん」と語ると、微笑みながら立ち去り、麗奈もまた自身の言葉が告白として受け取られなかった事に肩を落として落胆している。
落ち込む麗奈に優子は「高坂……」と語りかけながら彼女の肩に手をかけ、香織も麗奈に対して「頑張ろっ」と励ましている。(TVアニメ版2期12話)
ちなみに、原作3巻にも類似の場面が出てくるが(366~368ページ)、原作では上記のやりとりは久美子とあすかがいる場所で行われ、滝の返答に対して麗奈は無邪気に喜んでいる。ただし、麗奈の言葉が滝に告白として受け取られていない事は久美子とあすかに見透かされている。
2年生に進級後も麗奈の滝に対するラブの感情に揺るぎはなく、優子が部長として新入生部員に部の目標について話をしている際に優子の手と滝からチョークを受け渡される手が触れた時には眉間に皺を寄せ(第二楽章前編、73ページ)、また、鎧塚みぞれから音大のオープンキャンパスについて久美子とともに誘われ、その音大が滝の母校である事を知ると、「アタシも行きます」と即答している(第二楽章後編、174ページ)。
吉川優子との関係
概要および1年生時(原作1巻~3巻、TVアニメ版1期~2期)
トランペットを担当するひとつ上の先輩。2年生。
麗奈は「優子先輩」と呼び、対する優子は「高坂」(他の部員たちを交えた場では「高坂さん」)と呼んでいる。
コンクール自由曲のソロパートに関する騒動ではひと悶着あった間柄であり、問題が決着した後に麗奈は自分の言動と振舞いを謝罪したものの(TVアニメ版1期12話)、その後も両者のあいだには微妙な空気が漂っていた。
吹奏楽コンクール関西大会に向けた練習が始まって数日が経ったある日、そんな微妙な空気を感じ取った鎧塚みぞれから「ふたりは仲が悪いの?」と問われた麗奈と優子は、それぞれ「そうなんですか? 先輩」「さあ? どうなんだろうね、後輩」と答えた上で、場の空気を取り持つために互いに空笑いを浮かべている。(原作2巻、85ページ、TVアニメ版2期1話)
もっとも、優子は麗奈の持つ高い実力に関しては認めており、関西大会に向けた合宿時には久美子に対し、全国大会への出場のために麗奈のソロを支持するという旨の発言をしている。(原作2巻、216ページ、TVアニメ版2期3話)
吹奏楽コンクール全国大会での結果が銅賞に終わると、トランペットパートの面々が集まっているなかで麗奈はパートリーダーの香織に向かって「すみませんでした、先輩」と謝罪をするが、優子はその際、香織になだめられた麗奈に向かって「高坂、来年、金賞取るよ」と発破をかけている。(TVアニメ版2期12話)
上記より、関西大会(支部大会)の頃までは麗奈と優子のあいだには微妙な空気が漂っていたものの、全国大会の本番を控えるにつれ、両者の関係は徐々に改善されていった様子を伺うことができる。
また、2月に行われた定期演奏会の当日、部長となった優子が本番前の挨拶のなかで「去年はいろいろあったけど、でも、それがあったからこそいまこうしてみんなとこんなふうに音楽ができてんのかなって思います」と口にした際に、優子と麗奈は互いに目を見合わせている。(原作公式ガイドブック、110ページ)
2年生時(第二楽章前後編)
吉川・中川体制の新年度において、麗奈と優子は良好な先輩・後輩としての関係を築いているほか、麗奈は優子のことを「よくも悪くも突っ走っちゃう人やけど、まあ、そういう強引なところが先輩のええとこなんやと思う」として、そのような特質があるからこそ部長に向いていると語っている(第二楽章前編、29ページ)。また、傘木希美が優子とあすかとを比較した際には「優子先輩は有能やと思いますけど」と不満げに反論して希美を驚かせるなど(第二楽章前編、283ページ)、会話のなかで何かと優子の名前を出すことが多くなっている。
ただし、麗奈は優子に盲従している訳ではなく、自身の意見を言うべきところではしっかりと意見を述べている。しかし、その様子は久美子たち周囲の目には揉めごとのように映るほどの激しいものである。(なお、麗奈自身は揉めごとであることを否定しており、優子と対立することがあっても、1年前の場合とは異なり、優子の立場や考え方に理解を示している。※第二楽章後編、168~169ページ、178ページ)
優子もまた、新入部員に向けたパート紹介においてトランペットの紹介を麗奈に一任したほか(第二楽章前編、45~46ページ)、自身の次の新体制においては、麗奈は人間関係に悩ませずに音楽面に専念させたいとの考えを示している。(第二楽章後編、377ページ)
そしてコンクールシーズンが終わりを迎える頃になると、麗奈は「アタシ、優子先輩が部長でよかった」と、噛み締めるようにしながら内心を打ち明けるようになる。(第二楽章後編、349ページ)
その他の主要キャラクターとの関係
中世古香織
トランペットを担当するふたつ上の先輩で、同パートのリーダー。3年生。
麗奈は「香織先輩」と呼び、対する香織は「高坂さん」(原作小説では「麗奈ちゃん」)と呼んでいる。
麗奈は香織のことを「先輩のなかでは一番上手い」と評している。(TVアニメ版1期6話)
コンクール自由曲のソロパートに関する騒動で一悶着あったものの、優しく他者に気を使う香織の性格や麗奈の香織への謝罪(※原作小説では再オーディションの直後、TVアニメ版では再オーディションから数日後の出来事)もあり、解決以降は香織とのあいだに険悪な空気は流れていない。
ソロパートをめぐる騒動後は、むしろ香織とは良好な先輩と後輩との関係が築かれているようで、北宇治高校の文化祭では麗奈の方から香織のクラスの出し物を見に行こうと提案している。(なお、TVアニメ版2期6話では麗奈と久美子は香織と偶然出会った形に変更されている)
また、吹奏楽コンクール全国大会での結果が銅賞に終わった際、「ここまで、よう頑張ったね」と香織に頭を優しく撫でられた麗奈は、「すみません、先輩」と涙ながらに謝罪している。それに対して「謝ることなんてなんもないのに。ここまで来れたんは麗奈ちゃんのおかげやわ」と笑いと涙を交えながら香織も麗奈に感謝の意を表した。(原作3巻、360~361ページ)
TVアニメ版でも類似の場面が登場するが、こちらでは麗奈の謝罪の言葉に対して香織から「高坂さんが謝ることじゃない。これが私たちの実力だったんだよ」と語りかけられている。(TVアニメ版2期12話)
加藤葉月と川島緑輝
低音パートでそれぞれチューバとコントラバスを担当する同級生。1年生。
原作1巻およびTVアニメ版1期ではあまり絡みはないが、原作2巻以降とTVアニメ版2期では、久美子を交えた上で4人でプールに行ったり食事をしている描写が見られる。
呼び方は当初、麗奈が「加藤さん」「川島さん」、葉月と緑輝のふたりが「高坂さん」と、互いに名字に「さん」付けで呼んでいたが、後に麗奈と緑輝のふたりは「緑ちゃん」「麗奈ちゃん」と呼び合うようになっている。
また、音楽に対する熱意に関しては緑輝と共通するものがあるため、原作2巻以降、緑輝とは久美子に次いで親しくなっており、吹奏楽コンクール全国大会の当日、さすがの麗奈も緊張する一方で緑はその素振りを見せないことから「その点、緑ちゃんってすごいな。ほんまに」と、緑輝の持つ精神面の強さに感心している。(原作3巻、351ページ)
一方、葉月に関してはやや距離があるらしく、のちに葉月が「麗奈」と呼ぶようになっても、麗奈の方は相変わらず「加藤さん」と呼んでいる。
もっとも、麗奈は葉月の努力は認めている模様で、駅ビルコンサートの本番前には緑輝たちと一緒に葉月を励ましているほか(TVアニメ版2期7話)、定期演奏会に向けた練習では葉月を厳しく指導する一方で、その上達ぶりをしっかりと褒めている。(原作公式ガイドブック、72ページ、105ページ)
田中あすか
ユーフォニアムを担当するふたつ上の先輩。3年生。
所属するパートが違うせいもあり、本編では彼女との直接的な絡みはないが、麗奈はあすかのことを奏者としての卓越した技術は認めつつも、「結構性格がキツくて利己主義」と評している。(原作3巻、95~96ページ)
また、北宇治高校の文化祭においてあすかが絡んできた際には、香織に対する態度とは打って変わって素っ気ない態度で終始接している(ただし、TVアニメ版2期6話では麗奈は自身のクラスの出し物のシフトの都合上、あすかのクラスに赴いていないため、麗奈はあすかと接触していない)。
また、原作3巻における全国大会での描写から、あすかの方も麗奈に対して距離を置いているように伺える。
塚本秀一
トロンボーンを担当する男子部員の同級生。1年生。
麗奈と同じく大吉山北中学校出身の出身で、中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた。
麗奈は秀一の久美子に対する好意を見透かしており、久美子に対して素直に好意を打ち明けられない秀一のことを「意気地がない」と評している。秀一もまた、気の強さと行動力を併せ持った麗奈に対して苦手意識を抱いている。(短編集1巻、195ページ、199ページ)
北宇治高校の文化祭において、麗奈は秀一と久美子がふたりで麗奈のクラスの出し物であるお化け屋敷を訪れるように手回しをしており(短編集1巻「北宇治高校文化祭」)、そのため後に秀一が久美子と交際するようになって以降、秀一はますます麗奈に対して頭が上がらくなっている。(原作公式ガイドブック、70ページ)
また、秀一の彼女である久美子にとって、麗奈という存在がとても大切なものであることも承知しており(第二楽章前編、276~277ページ)、麗奈と久美子のふたりが気兼ねなく過ごせるような配慮を見せることもある。(第二楽章前編、316ページ)
鎧塚みぞれ
オーボエを担当するひとつ上の先輩。2年生。
吉川・中川体制のコンクールシーズンにおいて、麗奈はみぞれの持つオーボエの真の実力がいまだに発揮されていないことを見抜いており、その原因がみぞれの希美に対する執着にあるとして懸念を抱いていた(第二楽章後編、67~69ページ)。併せて、そのような事態の打開を試みるため、麗奈はみぞれと希美の噛み合わなさを問いただした上で「私はみぞれ先輩の本気の音を聞きたい」と、面と向かって自らの想いを告げきっている。(第二楽章後編、177~180ページ、映画『リズと青い鳥』)
小日向夢
吉川・中川体制の新年度に入部した、トランペットパートのひとつ下の後輩。新1年生。
麗奈は「小日向さん」と呼び、対する夢は「高坂先輩」と呼んでいる。
麗奈と同じ北中学校の出身であり、中学時代から吹奏楽部のパートメンバー同士として接している。(第二楽章前編、81ページ)
トランペットの実力に関しては麗奈も一目置くほどに達者であるものの、その一方で麗奈とは対照的に楽器で目立つことを忌避しようとする傾向が見られるため、その点について麗奈は気を揉んでいる。(第二楽章後編、25~26ページ
)
関連イラスト
冬制服
夏制服
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
白ワンピース(あがた祭り)
浴衣(宇治川花火大会)
水着姿
お化け姿(北宇治高校文化祭)
関連タグ
佐々木梓 - 中学時代の吹奏楽部の同期。
塚本秀一 - 中学時代の吹奏楽部の同期であり、高校でも同じ吹奏楽部に所属。
黄前久美子 - 中学時代の吹奏楽部の同期であり、高校でも同じ吹奏楽部に所属するが……。
中世古香織 - 所属するトランペットパートのリーダー。3年生。
吉川優子 - 同じトランペットパートの先輩。2年生。麗奈とは折り合いが悪い。
滝昇 - 吹奏楽部の顧問。互いの父親同士が面識があったことから麗奈のことは顧問就任前から面識があった。
れいくみ くみれい - 黄前久美子とのカップリング(コンビ)タグ。