ラース(鋼の錬金術師)
らーす
荒川弘原作の漫画『鋼の錬金術師』、およびそれを題材とする同名のアニメ作品に登場するキャラクター。作中に登場する人造人間“ホムンクルス”と呼ばれる存在のうちの一個体であり、名前も他の個体同様に「七つの大罪」の一つ“憤怒(wrath)”を由来とする。
なお本項では、原作と世界観が大幅に異なる2003年にTV放送されたアニメ版(旧鋼)に登場したアニメオリジナルキャラクターについて解説する。
(原作およびFAにおけるラースは「キング・ブラッドレイ」の記事を参照)
概要
CV:水樹奈々
2003年度版のオリジナルキャラクターで、「憤怒」の名を持つホムンクルス。
ベースはイズミ・カーティス、シグ・カーティス夫妻の流産した子供。イズミの人体錬成によって生まれた後は真理の扉の向こうに送られ、その中で成長していた。右足の裏にウロボロスの紋章を持つ。
別の物質と融合することで、その能力を自在に扱うことのできる能力を持つ。
真理の扉(作中では「真理の門」と表記)の中でエドが持っていかれた手足を発見して融合し、それにより人の形を手に入れ扉から脱出する。
また、基本的にホムンクルスは錬金術を使えないが、エドの手足と融合した結果、ラースのみ錬金術を扱える。戦闘の際には、融合の能力と錬金術を併用して高い戦闘能力を誇る。
作中での活躍
カーティス夫妻のもとをエルリック兄弟が訪れ、イズミがかつて犯した禁忌について語る上で、かつて実子を錬成しようとした場所へと二人を案内する。そこで面々は、偶然にも真理の門から脱出したばかりのラースと遭遇する。
真理脱出後は記憶がなく、ラースは初めて出会う人間たちに親近感を覚えて歩み寄ろうとするが、彼の持つ右手と左足を見たエドは戦慄し彼に組み付き尋問しようとし、怖れたラースはとくに誰から教わったわけでもなく錬金術を駆使して逃亡。なんとか捕縛しようと躍起になるエドに対してイズミが割って入り、自分のものだからといって彼の手足を引き剥がすつもりかと問い詰めて鎮静化させる。
その後はしばらくイズミたちの家に保護され、彼女やエドたちと共に生活する。
当初は純真無垢な普通の子供のような性格であったが、同じホムンクルスであるエンヴィーから紅い石を与えられると共に自身の存在や出生の事実を知らされ変貌。そのままホムンクルスとして覚醒し、これまで実母のように慕っていたイズミやエドたちにも牙を向き、他のホムンクルスと同じくダンテに従うこととなる。
生まれて間もない死んだ赤子を代価として誕生したため、弱点となる遺骨すら無い。しかし、かつて母親に捨てられたトラウマから、赤ん坊の泣き声を聞くと錯乱する。
ホムンクルスに覚醒後は子供らしさを残しつつも、荒々しい性格になった。
イズミをその生い立ちから怨んでいるが、与えられなかった母性を求めており、スロウス(本作ではエルリック兄弟の母トリシャの姿)の液状化した体内に匿われたことをきっかけに、彼女を「ママ」と慕うようになる(ただし、ホムンクルスとしての年齢は彼のほうがスロウスよりも上)。
終盤で、スロウスの封印に手を貸したラストと戦い、勝利するがその際の彼女のあまりに弱々しい姿に自分の存在意義に疑問を持ち始める。そしてスロウスは自分のミスが原因でエドに封印されてしまい、さらに深い孤独感に陥る。その後、スロウスを賢者の石で蘇らせようとしてダンテの怒りを買ったため、エドの手足を奪われ、錬金術を使えなくされた。
「紅い石」を与えられたとはいえ、手足を奪われた後も再生することはなかった。
最終回の後日譚では、ウィンリィがエドのために造った機械鎧を付けてもらい、何処かへと旅立った。
劇場版『シャンバラを征く者』では、先の戦いでダンテによりただ悪食を続ける化物に変貌したグラトニーと戦い、アルの錬成によって扉を開くための材料になり、アルを扉の向こうの世界(我々が暮らす現実世界)へと送る手助けをした。彼自身は門が開いた先にいたイズミ(本作では既に故人)に抱きしめられながら消えていった。