概要
ハブ空港とは、様々な空港同士の乗り継ぎを主体とする空港である。
航空便の持つ性格上、国際空港になることが多い。
ハブが車輪の中心にあり、そこから四方八方にスポークが伸びている様子から名付けられた。
ハブアンドスポーク方式とは
例えば、ある地域にA,B,C,D,Eの5つの空港があるとする。それぞれの空港をすべて直行便で繋ごうとすると、
A-B,C,D,E
B-C,D,E
C-D,E
D-E
の10路線を開設しなければならない。
一方、B,C,D,Eの4空港からA空港に一斉に到着して、A空港で乗り換えをし、A空港からB,C,D,E空港に一斉に出発することで、どの空港にも利用することが容易となる。この時、A空港をハブ空港と言う。なお、このような運行手法を、ハブアンドスポークと呼ぶ。
ハブ空港では
- 一斉に離着陸可能な空港設備
- 乗り継ぎがしやすいダイヤ
が必須であり、
そのために空港そのものも乗り継ぎに大きく特化している場合が多い。
ハブアンドスポーク方式をバスで例えると
ハブ空港がバスターミナルで、ハブ空港同士を結ぶ路線が高速バス、ハブ空港から各地の空港へ結ぶ路線が路線バスである。
この場合、最寄りのバス停から一旦バスターミナルまで路線バスに乗り、高速バスに乗り換え、さらに到着先のバスターミナルからさらに路線バスに乗り換える方式である。
ハブ空港の特徴
そんなこともあって、ハブ空港には乗り継ぎを容易にすべく、
が求められる。さらに、航空会社側の都合として、
- 重要な整備拠点
- 安価な着陸料や空港使用料(航空運賃の低廉化に有効)
- 24時間運用可能(特に貨物機)
であると好ましい。
着陸料は、大都市にある空港ほど高くなる傾向にあり、多くの航空会社が発着枠を取り合う。そのため、東京やニューヨークなどの巨大な世界都市では、巨大な空港でもハブ空港ではないケースが見られる。
このため、ハブ空港は札幌より小さな都市なのに羽田空港と成田空港を合わせたよりも巨大、というケースが見られる。
なお、その上で、地理的に
- 乗り継ぎでの距離の増大が少ない場所
- 欠航が少ない気候
でさえあれば、必ずしも大都市に位置する必要性はない。
例えば、アンカレッジ国際空港は、貨物における世界的なハブ空港として知られているが、所属するアラスカ州アンカレッジの人口はたった30万人と、日本で言うと秋田市くらいの人口しかない。
なお、日本の空港では成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港が国際拠点空港として位置づけられているが、それぞれの都市圏の需要を満たすにとどまり、ハブ空港としてはあまり機能していない(むしろ国際拠点空港ではない羽田空港が旅客における、新千歳空港が貨物におけるハブ空港の機能を果たしている面がある)。
ハブアンドスポークのメリット
利用者側から見たメリット
- 小さな都市の空港でも、乗り換えれば容易に世界中へ行ける
- 直行便より本数が多い
航空会社から見たメリット
空港側のメリット
- 巨大な空港の運営自体が1つの産業として成り立つ
というものがある。このため、シンガポールは、国策としてハブ空港を推進している。
ハブアンドスポークのデメリット
利用者側のデメリット
- 乗り継ぎに長い時間がかかる(国際線では2時間くらい)
- 1本でも到着が遅れると、連鎖的に出発が遅れる
などから、航空機メーカーのボーイングは、ハブ空港を持たないポイントトゥポイントを推し進めている。
空港側のデメリット
- 空港の建設費が莫大(香港国際空港の建設費は約2兆円)
- 騒音被害が24時間ずっと起こる