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概要編集

ハブ空港とは、様々な空港同士の航空便の乗り継ぎを主体とする空港である。

航空便の持つ性格上、国際空港になることが多い。

ハブが車輪の中心にあり、そこから四方八方にスポークが伸びている様子から名付けられた。


ハブアンドスポーク方式とは編集

例えば、ある地域にA,B,C,D,Eの5つの空港があるとする。それぞれの空港をすべて直行便で繋ごうとすると、

A-B,C,D,E

B-C,D,E

C-D,E

D-E

の10路線を開設しなければならない。この手法をポイント・トゥ・ポイントという。

一方、B,C,D,Eの4空港からA空港に一斉に到着して、A空港で乗り換えをし、A空港からB,C,D,E空港に一斉に出発することで、どの空港にも利用することが容易となる。この時、A空港をハブ空港と言う。なお、このような運行手法を、ハブアンドスポークと呼ぶ。


ハブアンドスポーク方式をバスで例えると編集

ハブ空港がバスターミナルで、ハブ空港同士を結ぶ路線が高速バス、ハブ空港から各地の空港へ結ぶ路線が路線バスである。

この場合、最寄りのバス停から一旦バスターミナルまで路線バスに乗り、高速バスに乗り換え、さらに到着先のバスターミナルからさらに路線バスに乗り換える方式である。


数学的な理論編集

一般に、ハブ空港を1空港,路線網全体の就航先をn箇所とすると、

ポイント・トゥ・ポイントではf(n)=n(n-1)/2路線

ハブアンドスポークではg(n)=(n-1)路線なので、

ハブアンドスポークのほうがg(n)/f(n)=2/n倍の路線数で就航可能となる。

逆に、1路線あたりの乗客数・貨物量もf(n)/g(n)=n/2倍になるため、

より大型の航空機で大量に輸送するという手法が使える。

nが増えるとg/fは単調に減少し、n→∞ならg/f→0となるので、

路線数が増えれば増えるほど本手法は有利になり、大型機が活躍できる。


一方、各空港に対する本数は

ポイントトゥポイント:すべて(n-1)路線

ハブ空港:(n-1)路線

スポーク空港:1路線

なので、路線を増やせば増やすほど路線数とハブ空港の負担が大きくなるが、

どちらの負荷も線形なので爆発的には増大しない

すなわち、ハブアンドスポークは、路線数をネットワークとして飛躍的に増大させる、数学的にも正しい手法である。


ハブ空港に必須なもの編集

以上の定義から、ハブ空港を成り立たせる上では、

  • 一斉に到着→乗り継ぎ→出発可能な空港設備
  • 乗り継ぎがしやすい、一斉に着陸し、乗り換えを完了し次第一斉に離陸するダイヤ
  • 乗り継ぎがしやすいターミナル

必須であり、

そのために空港そのものも乗り継ぎに大きく特化している場合が多い。

ハブ空港が一斉に発着する時間帯は、乗り継ぎ先や到着便の出発地にとって便利な時間帯として設定されるため、必ずしも地元民が利用しやすい時間帯とは限らない。

例えば、ドバイ国際空港では深夜が発着のピークであるが、これは出発地の東アジア,東南アジア,ヨーロッパ,アフリカでの発着時間に合わせたものである。


ハブ空港にあると嬉しいもの編集

 そんなこともあって、ハブ空港には乗り継ぎを容易にすべく、

  • 並行した複数の滑走路(例:アトランタ国際空港では5本)
  • 特定の航空会社(または航空連合)専用のターミナル
  • 特定の航空会社を極端に重視したダイヤ
  • 短距離から長距離まで幅広い開設路線

が求められる。さらに、航空会社側の都合として、

  • 重要な整備拠点
  • 安価な着陸料や空港使用料(航空運賃の低廉化に有効)
  • 24時間運用可能(特に貨物機)

であると好ましい。

着陸料は、大都市にある空港ほど高くなる傾向にあり、多くの航空会社が発着枠を取り合う。そのため、京阪神ロサンゼルスなどの巨大な世界都市では、巨大な空港で、世界各地に就航しているのにハブ空港ではないケースが見られる。


このため、ハブ空港は札幌より小さな都市なのに羽田空港成田空港を合わせたよりも巨大、というケースが見られる。


一方で、必ずしも大都市に位置する必要性はないし、市街地から遠くても成り立つ。地理的に

  • 乗り継ぎでの距離の増大が少ない、大圏航路(最短ルート)上場所
  • 欠航が少ない気候

でさえあれば、十分にその機能を発揮することが可能。

例えば、アンカレッジ国際空港は、貨物における世界的なハブ空港であり、取扱量世界4位であるが、所属するアラスカ州,アンカレッジの人口はそれぞれたった73,30万人と、日本で言うとそれぞれ高知県,高知市くらいの人口しかない。


なお、日本の空港では成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港が国際拠点空港として位置づけられているが、それぞれの都市圏の需要を満たすにとどまり、ハブ空港としてはあまり機能していない(むしろ国際拠点空港ではない羽田空港が旅客における、新千歳空港が貨物におけるハブ空港の機能を果たしている面がある)。


ハブアンドスポークのメリット編集

利用者側から見たメリット編集

  • 小さな都市の空港でも、乗り換えれば容易に世界中へ行ける
  • 直行便より本数が多い

航空会社から見たメリット編集

  • 必要な便数を削減できる
  • 整備拠点を集中できる
  • ハブ間路線ではB777などの大型機材を用い、ハブ-スポーク間路線をB737などの小型機を用いることで、きめ細やかな需要に対応できる

空港側のメリット編集

  • 巨大な空港の運営自体が1つの産業として成り立つ

というものがある。このため、中東のドバイなどの各国やシンガポールは、国策としてハブ空港を推進している。


ハブアンドスポークのデメリット編集

利用者側のデメリット編集

  • 最短距離で移動できない
  • 乗り継ぎに長い時間がかかる(国際線では2時間くらい)
  • 1本でも到着が遅れると、連鎖的に出発が遅れる

などから、航空機メーカーのボーイングは、ハブ空港を持たないポイントトゥポイントを推し進めている。

空港側のデメリット編集

  • 空港の建設費が莫大(香港国際空港の建設費は約2兆円)
  • 騒音被害が都市規模に比して甚大

代表的なハブ空港編集

東アジア編集

東南アジア編集

中東編集

ヨーロッパ編集

アメリカ合衆国編集

その他南北アメリカ編集

拠点航空会社:エア・カナダ

オセアニア編集



スラング編集

ハブられる空港のこと。立地条件がシビアで、離着陸に危険な伴う。というのもあるが、単に存在意義がよくわからないということも多い。


関連項目編集

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