概要
1994年4月9日公開で、前作とは変わって東宝が配給。監督は飯島正勝が担当。劇場版第1作と比べ話もシリアスで「闇宇宙」とかいう原作ではまず出てこないワードが飛び出すなどスケールがでかい。
時系列は暗黒武術会終了後、魔界の扉編より少し前かと思われる。
本作では霊界とは別に存在する冥界がカギとなっており、ラスボスである耶雲は…というか冥界玉は作中最強なのではないかとするファンもいる。
世界観
原作では人間界を管理する霊界(いわば天国と地獄)があり、それとは別に魔界が存在するが、冥界は魔界を管理する霊界である。
冥界はかつて人間界を手中に収めようとして、隣接する霊界に戦争を吹っ掛けた。しかし数千年の昔に霊界は冥界軍を退け、冥界そのものを滅ぼしてしまった。そして冥界人たちは闇宇宙という別の宇宙に追放されたのである。
冥界の核となるのが冥界玉という宝玉で、冥界の王である耶雲はこの力を奪うことでその圧倒的なパワーを手にしていた。冥界玉そのものを手にすれば、世界そのものを改変する事も出来るという。明らかに幽白ワールドのアイテムじゃないよねこれ。
あらすじ
霊界で続く異常な豪雨は、ついに三途の川の氾濫を巻き起こした。ぼたんはコエンマから「冥界玉」を受け取り人間界に急ぐが、皿屋敷中の屋上で気を失ってしまう。幽助と桑原はぼたんの呟くうわ言を聞いて重根神社へと向かい、額に十字傷を持つ妖怪たちに襲われていた少女・ひなげしを助けた。
幽助たちはぼたんを幻海の元へ運び介抱するが、そこに駆け付けた蔵馬から衝撃の事実が伝えられる。
「霊界は、無くなっていたよ」
数千年前に霊界に侵攻した冥界が復活し、霊界を水で覆い封じ込めてしまったのだ。霊界を元通りにするには、人間界に存在する5つの霊鬼門を開けるしかない。そしてその場所を知る唯一の存在がひなげしであった。
一行は霊気門を解放しようとするも、霊気門の力すらも手中に収めんとする冥界王・耶雲とその部下三獄神の魔の手が迫る。
本作オリジナルの登場人物
人間界
CV:横山智佐
ぼたんの幼馴染。もとは霊界の住人だったが、コエンマの秘書だった頃に失態を犯して人間界の重根神社の巫女として下積みを積んでいた。
広告用イラストからはそうは見えないが、炎の絆本編では一貫してロリ系である。これは広告イラストの担当(アニメ本編のメインキャラのキャラデザ)がロリキャラを描くのが苦手なため。
冥界
耶雲(やくも)
CV:鈴置洋孝
冥界王で本作のラスボス。幽助と対戦する。
頼光(らいごう)
CV:福田信昭
冥界三獄神最強の男。邪眼を持つスキンヘッドの大男。飛影と対戦する。
魔舎裏(まじゃり)
声:三ツ矢雄二
冥界三獄神の一人。中性的な美形。相手の技をコピーできる。桑原と対戦する。
傀麒(かいき)
CV:小関一
冥界三獄神の一人。邪映鎌の使い手。幻術で相手を苦しめる卑劣漢。蔵馬と対戦する。
瑞輪兄弟
耶雲の手下。片腕が刃になっている兄弟の冥界鬼。夜のビル街で飛影と戦うも敗死。
冥界鬼
耶雲に操られる妖怪。額に十字傷があるのが特徴。ひなげしを襲っていた。
魔界
黒鵺(くろぬえ)
CV:大塚芳忠
イケメンかつ蔵馬の元相棒(黄泉とは違い、親友のようなポジション)であったことからずば抜けた人気がある。その人気は当記事が新規作成される8年前から個別項目が出来ていたほど。
というか炎の絆が時を越えてBlu-rayに収録されたのは黒鵺のおかげと言っても過言ではない。古の時代からネット上には蔵馬と黒鵺の二次創作が当たり前のように転がっており、炎の絆を見たことない人からすれば「黒鵺ってどんなやつなんだ!?」と興味を持つきっかけになった。下手をすれば誰の記憶にも残らない単発映画のタイトルが黒鵺というキャラと共に一人歩きしていたのである。
が、実は本物の黒鵺は1分ほど(しかも蔵馬の回想シーン)でしか出てこない。火のないところに煙を立てるとはまさにこのこと。
余談
オリジナルキャラクター無しでは成り立たない映画
本作は読者人気の高いぼたんを悲劇のヒロインとして物語を進行させている。
そして後半は「ヒロインを助けるために主人公含む味方一同が敵と戦う」というお約束の流れへと突入するわけだが、作者直々に「ぼたんは恋愛要素のないキャラクター」と明言されているため、ヒロインとしては非常に扱いが難しい存在であった。
螢子や雪菜と違い、周りに男の影がないのがぼたんの読者人気が高い理由の一つなので、メイン4人の誰かはもちろんの事例え映画オリジナルだとしても彼氏的なキャラを作るわけにはいかない。
そこで誕生したのがひなげしである。女同士の友情という形ではあるが、メイン4人では扱えないお約束展開の動機付けとして重要なキャラクターとなった。
そして同時にメイン4人が敵に立ち向かう明確な理由を各々のキャラに与えることが必要となった。
幽助には螢子、桑原と飛影には雪菜という特別な存在がいるので彼女たちをストーリーに絡ませれば特に問題はないが、蔵馬にはその様な対象となる人物が存在しない(※強いて言えば母親である南野志保利だが、今作に関わる理由がない)。
そこで黒鵺の登場である。語られることの少ない妖狐時代の生き別れた相棒という非常においしいポジションを任されたのだ。そして蔵馬は黒鵺と過去の決着を付けるために戦いに参加することになる。
25年の時を越えて
かつては配給元との権利の問題によりDVD版が存在しなかった。
しかし2018年に発売されたTVアニメ25周年を記念したBlu-rayBOXにリマスター版が収録されることが決まり、次世代メディア問題に終止符を打った。また、Blu-ray化を皮切りにAmazonやdアニメストアなどの各動画配信サイトでも視聴可能。
Blu-rayBOX発売までの間、新たに正規の方法で視聴するにはレンタルビデオ店でVHSを借りるぐらいしか方法がなかった。しかし2000年中頃からDVDが主流となりVHSを取り扱わない店も増えてきたため、いつかは視聴することさえ困難になるのでは?と危うい橋を渡っている状態だった。
ちなみにBlu-ray化を記念して同年の7月29日に上映イベントが開催された際、新作じゃないにも関わらず約2400名の応募があり、如何に待ち望んでいた人が多いかを裏付けるものとなった。
新たな供給の可能性
人気絶頂の頃はカードダスやSFCにも露出の機会があったが、アニメ終了以降は映画オリジナルキャラクターの宿命および権利関係の問題により、基本的には忘れ去られる存在であった。しかし権利問題が解消した現在、彼らが再び別媒体で出られる可能性が出てきている。
それはスマホゲーム「幽遊白書100%本気(マジ)バトル」である。このゲームは幽遊白書のあらゆるネタを拾っていることで有名で、同じくBlu-rayBOXの目玉だったTWOSHOTSも限定イベントとして取り扱った。
ブロリーほどの出世はないにしろ、映画本編以外でひなげしや耶雲、黒鵺を再び見れる日が来る…かもしれない。