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炎の絆

ほのおのきずな

『幽遊白書』の映画第2作『冥界死闘篇 炎の絆』の副題および通称。権利関係の都合でアニメ終了後は公式に無視されていたが、とあるキャラクターの存在によりファンの間で映画の存在はずっと語り継がれ、TVアニメ25周年というリバイバル商法により遂に公式で日の目を浴びる事になった稀有な作品。
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概要編集

1994年4月9日公開で、前作とは変わって東宝が配給。監督は飯島正勝が担当。劇場版第1作と比べ話もシリアスで「闇宇宙」とかいう原作ではまず出てこないワードが飛び出すなどスケールがでかい。

時系列は暗黒武術会終了後、魔界の扉編より少し前かと思われる。


本作では霊界とは別に存在する冥界がカギとなっており、ラスボスである耶雲は…というか冥界玉は作中最強なのではないかとするファンもいる。

世界観編集

本作には冥界という異世界が登場する。

原作では人間界を管理する霊界(いわば天国と地獄)があり、それとは別に魔界が存在するが、冥界は魔界を管理する霊界である。

冥界はかつて人間界を手中に収めようとして、隣接する霊界に戦争を吹っ掛けた。しかし数千年の昔に霊界は冥界軍を退け、冥界そのものを滅ぼしてしまった。そして冥界人たちは闇宇宙という別の宇宙に追放されたのである。


冥界の核となるのが冥界玉という宝玉で、冥界の王である耶雲はこの力を奪うことでその圧倒的なパワーを手にしていた。冥界玉そのものを手にすれば、世界そのものを改変する事も出来るという。明らかに幽白ワールドのアイテムじゃないよねこれ

あらすじ編集

霊界で続く異常な豪雨は、ついに三途の川の氾濫を巻き起こした。ぼたんコエンマから「冥界玉」を受け取り人間界に急ぐが、皿屋敷中の屋上で気を失ってしまう。幽助桑原はぼたんの呟くうわ言を聞いて重根神社へと向かい、額に十字傷を持つ妖怪たちに襲われていた少女・ひなげしを助けた。

幽助たちはぼたんを幻海の元へ運び介抱するが、そこに駆け付けた蔵馬から衝撃の事実が伝えられる。

「霊界は、無くなっていたよ」

数千年前に霊界に侵攻した冥界が復活し、霊界を水で覆い封じ込めてしまったのだ。霊界を元通りにするには、人間界に存在する5つの霊鬼門を開けるしかない。そしてその場所を知る唯一の存在がひなげしであった。

一行は霊気門を解放しようとするも、霊気門の力すらも手中に収めんとする冥界王・耶雲とその部下三獄神の魔の手が迫る。

本作オリジナルの登場人物編集

人間界編集

ひなげし

お誕生日おめでとう御座いますv

CV:横山智佐

ぼたんの幼馴染。もとは霊界の住人だったが、コエンマの秘書だった頃に失態を犯して人間界の重根神社の巫女として下積みを積んでいた。

広告用イラストからはそうは見えないが、炎の絆本編では一貫してロリ系である。これは広告イラストの担当(アニメ本編のメインキャラのキャラデザ)がロリキャラを描くのが苦手なため。

冥界編集

耶雲(やくも)

【劇場版】耶雲御大【オリキャラ】

CV:鈴置洋孝

冥界王で本作のラスボス。幽助と対戦する。

頼光(らいごう)

CV:福田信昭

冥界三獄神最強の男。邪眼を持つスキンヘッドの大男。飛影と対戦する。

魔舎裏(まじゃり)

声:三ツ矢雄二

冥界三獄神の一人。中性的な美形。相手の技をコピーできる。桑原と対戦する。

傀麒(かいき)

CV:小関一

冥界三獄神の一人。邪映鎌の使い手。幻術で相手を苦しめる卑劣漢。蔵馬と対戦する。

瑞輪兄弟

耶雲の手下。片腕が刃になっている兄弟の冥界鬼。夜のビル街で飛影と戦うも敗死。

冥界鬼

耶雲に操られる妖怪。額に十字傷があるのが特徴。ひなげしを襲っていた。

魔界編集

黒鵺(くろぬえ)

黒鵺

CV:大塚芳忠

イケメンかつ蔵馬の元相棒(黄泉とは違い、親友のようなポジション)であったことからずば抜けた人気がある。その人気は当記事が新規作成される8年前から個別項目が出来ていたほど。

というか炎の絆が時を越えてBlu-rayに収録されたのは黒鵺のおかげと言っても過言ではない。古の時代からネット上には蔵馬と黒鵺の二次創作が当たり前のように転がっており、炎の絆を見たことない人からすれば「黒鵺ってどんなやつなんだ!?」と興味を持つきっかけになる理由付けにもなった。下手をすれば誰の記憶にも残らない単発映画のタイトルが黒鵺というキャラと共に一人歩きしていたのである。

が、実は本物の黒鵺は1分ほど(しかも蔵馬の回想シーン)でしか出てこない。火のないところに煙を立てるとはまさにこのこと。

オリジナルキャラクター無しでは成り立たない映画編集

本作は読者人気の高いぼたんを悲劇のヒロインとして物語を進行させている。

そして後半は「ヒロインを助けるために主人公含む味方一同が敵と戦う」というお約束の流れへと突入するわけだが、作者直々に「ぼたんは恋愛要素のないキャラクター」と明言されているため、ヒロインとしては非常に扱いが難しい存在であった。※


螢子雪菜と違い、周りに男の影がないのがぼたんの読者人気が高い理由の一つ(螢子はロマンスが、雪菜は兄妹愛や桑原の片想いが関わっている)で原作は惚気を扱ったギャグは多いものの意外にもロマンス担当は少なく、そこが作品人気の秘訣でもあった。


なので、メイン4人の誰かはもちろんの事、たとえ映画オリジナルだとしても彼氏ポジションのキャラを出すわけにはいかない

そこで誕生したのがひなげしである。女同士の友情という形ではあるが、原作のメイン4人とぼたんの関係では決して扱えないお約束展開の動機付けとして重要なキャラクターとなった。

そして同時に、メイン4人が敵に立ち向かう明確な理由を各々のキャラに与えることが必要となった。

幽助には螢子、桑原と飛影には雪菜という特別な存在がいるので彼女たちをストーリーに絡ませれば特に問題はないが、蔵馬にはその様な対象となる人物が存在しない(※強いて言えば母親である南野志保利だが、今作に関わる理由がない)。

そこで誕生したのが黒鵺である。語られることの少ない妖狐時代の生き別れた相棒という非常においしいポジションを任されたのだ。そして蔵馬は黒鵺と過去の決着を付けるために戦いに参加することになる。


映画広告に螢子がいないイラストがあるが、本作でぼたんがメインヒロインであることを強調する目的と、螢子は原作でも(ロマンス担当によくある)お留守番ヒロインなのでしばしばこの描き方をされることがあるためであろう。本作前半の螢子は扱いが丁寧過ぎるぐらいであり、ぼたんと幽助をそれぞれ単体で心配する役という美味しい役割を任された(メインに置かれない主役カップルという描写で新たな嗜好に目覚めた主役カップルファンがいた噂もある)。

ラストのぼたんが幽助に微笑みかけているのに視聴者に微笑みかけていると錯覚してしまうシーンはアニメ一話のぼたんの初登場シーンにも似た演出があり、ひなげしのイメージソングも同様の効果を持っている(「ねぇ、隠さないで」は「ぼたんに冥界玉を隠す危険な立場から解放されて欲しい」という友情を、「あなたを抱き締める私でいたい」は「ぼたんを助けたい」という友情を意味しているらしく、前者は「ぼたんを助けたい本心(勇気)を隠してはいけない」という意味も含んでいるらしい)。

本作では主人公の幽助はぼたんを仲間の一人として意識しており、ぼたんは相変わらず仲間たちへの気遣いを絶やさない性格であった。

映画公開前は「幽助がぼたんに浮気してしまうのでは?」「ひなげしが原作男性陣にモテまくるオリキャラなのでは?」「蔵馬と黒鵺のパートが長いBL映画なのでは?」などと噂されてしまい、別の意味の炎の絆になりかけた(本当にあの世を見てどうする)。

いつまでも、忘れないでね編集

真っ赤なパッケージに甘酢っぽい内容、バブル崩壊同時期のドラマの影響から、見た後で心がアセロラ味で満たされる映画である。

主題歌の「SAYONARAは言わない」を「SAY・おならは言わない=弱音を吐くな」と読ませる意図があるかは定かではない(歌詞でまで「NEVER SAY GOODBYE」と強調する始末)。

24年の時を越えて編集

かつては配給元との権利の問題によりDVD版が存在しなかった

しかし2018年に発売されたTVアニメ25周年を記念したBlu-rayBOXにリマスター版が収録されることが決まり、次世代メディア問題に終止符を打った。また、Blu-ray化を皮切りにAmazondアニメストアなどの各動画配信サイトでも視聴可能。

Blu-rayBOX発売までの間、新たに正規の方法で視聴するにはレンタルビデオ店でVHSを借りるぐらいしか方法がなかった。しかし2000年中頃からDVDが主流となりVHSを取り扱わない店も増えてきたため、いつかは視聴することさえ困難になるのでは? と危うい橋を渡っている状態だった。

ちなみにBlu-ray化を記念して同年の7月29日に上映イベントが開催された際、新作じゃないにもかかわらず約2400名の応募があり、如何に待ち望んでいた人が多いかを裏付けるものとなった。

27年振りの新たな供給編集

人気絶頂の頃はカードダスや、耶雲のみだがSFCにも露出の機会があった。

しかしアニメ終了以降は映画オリジナルキャラクターの宿命および権利関係の問題により公式からは語られることのない存在であったが、映画公開から24年後の2018年に権利問題が解消されたため、晴れて公式が「冥界死闘編」の存在を認めることが可能になった。


そして同年にソシャゲ幽遊白書100%本気バトル」が配信開始されたことにより、一部のファンから「ずっと続けば、いつかは冥界死闘編キャラも実装可能なのでは?」という期待を持たれていた。

月日は流れ、3年後の2021年5月にアニメ本編のストーリー配信が完結、翌年の6月に『劇場版「幽遊白書」』のストーリーが一部追加され、同時にコアシュラが配布キャラとして実装された事により、冥界死闘編キャラの実装はほぼ確定事項ではないか?(逆に言えば、冥界死闘編を無視して短編映画の存在に触れるはずがない)と噂されていた。


2021年7月19日、公式Twitterにて2日後に実装される新キャラのシルエットが公開された。

それはどう見ても「冥界死闘編炎の絆」のオリジナルキャラクター達であった…!

(ご丁寧に「冥界死闘編炎の絆製作委員会」という著作権表記もある)

そして21日、黒鵺がプレイアブルキャラとして、ひなげしと頼光がサポートキャラ(イラストのみ)として実装された。実装おめでとう!!


特に黒鵺は長年の間、一部のファンからの絶大な支持される一方で公式から存在を抹消されていたため、一部のファンも「公式からの供給は端から期待していない」状態であった。

ところがどっこい、不意打ちのシルエット公開からの新規イラストにSDキャラ、さらには大塚芳忠の新録ボイスといった、27年間の沈黙が嘘だったかのような怒涛の供給の連続に、一部のファンはリアル「待って無理しんどい」状態になったことは言うまでもない。

なお冥界死闘編のオリジナルキャラは期間限定キャラクターであり、復刻の可能性も不明なため、欲しい方は今すぐマジバトを始めよう!(開催期間:7月21日~8月23日)


もちろん、ひなげしや頼光も新規イラストである。特にひなげしは宣伝用の版権イラストと本編のキャラデザインで受ける印象がかけ離れているのだが、それを中和させたような非常に塩梅のいいイラストとなっている。また余談だが、上記二人に比べたらキャラ人気皆無な頼光は、それを逆手にとったような、期間限定だからギリ許されるぶっ壊れ性能だったりする。


ブロリーほどの出世はないにしろ、映画本編以外で冥界死闘編のキャラクター達を再び見れる日がついに訪れたのだ。幽遊白書の歴史が新たな一歩を踏み出した瞬間である。

関連項目編集

幽遊白書 アニメ映画 スタジオぴえろ

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