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「あ! 月野さん!! 今日は水に気を付けた方がいいよ」

うさぎ「え?」(バシャア!)←上階から頭上に清掃使用後の水が落ちる

「あちゃあ……遅かったか……」

CV:太田真一郎

概要

テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』の第一期(無印)に登場するアニメオリジナルキャラクター

第27話「亜美ちゃんへの恋!?未来予知の少年」に登場。区立十番中学校2年5組の転校生。父親が転勤族であり、何度も転校を繰り返している様子。

同じクラスに通う全国模試一位常連の水野亜美を定期テストの順位で抜いて大騒ぎになった。偶然塾の模試で隣席になった亜美に一目惚れしている。

脚本上では美少年という設定になっていたが、登場回の作画監督だった安藤正浩の画風の(あと少女向けゆえに線の細いイケメンキャラばかり出していたため、そうした原作イケメンとの差別化も兼ねた上でキャラバリエーションを産み出そうとした)ためか、太い眉ともみあげを持つ丸顔の少年として登場する。このあたりは同じくアニオリキャラである雄一郎同様、昔の少年漫画(直近では『聖闘士星矢』)に登場するかのような東映動画の本来の御家芸ともいえる「線の太いイケメン」の系譜を継ぐキャラともいえる。また、その一方でスタッフの一部が共通する『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジにも共通する部分のある風貌といえる。

真面目で大人しいが、頑固で状況によっては大胆な行動に出るタイプ。亜美を「亜美さん」と呼んで憧れている。

亜美への気持ちを知った月野うさぎにからかわれ、「好きな人の写真ぐらい持ってるもんよ」と大口でハンバーガーを食べている亜美の写真を渡された。

実は最強妖魔七人衆の一人・妖魔ブンボーの生まれ変わりで予知能力者という秘密を抱えている。黄色の虹水晶の持ち主。

活躍

「もしも僕が妖魔になってしまったら……その時は迷わず僕を殺してください!!!」

予知能力で亜美をセーラーマーキュリーと知り、自分が妖魔に覚醒してマーキュリーを殺してしまう未来を回避しようとしていた。

27話冒頭で亜美を事故から救い(事故の影響でマーキュリーが不利になる可能性を消した)亜美の成績を抜いた(頭角を現す事で亜美による自身への注目や警戒を引き出すのが目的)のも予知能力を使ったからである。

一方、彼の予知能力は強力だが万能なわけではなく、予知した未来が実現するタイミングまでは読めない。

うさぎに「今日は水に気をつけた方がいい」と教えた直後に、うさぎがバケツの水を被ってしまうミスもやらかしている。

昔から不吉な予知に悩まされて能力をもてあまし、妖魔である自分を嫌って自己犠牲を厭わなかったが、セーラーマーキュリーの説得で未来を変えるために努力し、自分を大事にしていこうと決意する。

しかし、やってきたダークキングダム四天王のゾイサイトに虹水晶を奪われ、妖魔ブンボーに強制覚醒させられてしまう。ところが逆にブンボーを強い精神力で一時的に支配し、ゾイサイトを攻撃して虹水晶をセーラー戦士の手にもたらした。

すぐさまゾイサイトの黒水晶に人間・浦和良の意識は妖魔の本能に塗りつぶされてしまうが、それまでに稼いだ時間でセーラー戦士たちを全員到着させ、望んでいた通りにセーラームーンに浄化されて元通りの人間に戻れた。

こうして自分の意思で未来を変えた事を亜美に認められ、亜美の生まれて初めての異性の友人になった。しかし、すぐに父親の転勤で遠くに引っ越すこととなり、亜美に写真を託される(うさぎが手渡した面白顔の写真とは違い、笑顔の亜美の写真)。

第41話『もう恋から逃げない! 亜美と衛対決』では、残っていた予知能力でダークキングダムに洗脳されたエンディミオン地場衛)のたくらみを知り、十番街へと逃げ出して亜美に再会する。亜美と電話で連絡を取り合っており、「浦和くん」から「良くん」に呼び名が変わっていた。

第45話「セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦」では、木野まことの「この戦いが終わったら思いっきり恋をしようと思う」に反応した亜美が良を思い出す仕草をしたり、セーラー戦士の想い人に変化するDDガールズの幻に良の姿を見たマーキュリーが驚いて「あたしにもこんな幻を見ることができるのね」と感慨を抱きながらも皮肉るシーンがある。

ダークキングダムとの戦いでマーキュリーを含めたセーラー戦士は全滅してしまい、セーラー戦士の転生後に彼がどうなったかは不明。

アニメオリジナルキャラクターではあるが、第三期(『S』)の直後を舞台とした原作者・武内直子監修のSFCゲーム『美少女戦士セーラームーンAnotherStory』では、亜美との遠距離恋愛が継続している描写がある。

『S』の第6話「恋のおたすけはムーンにおまかせ」でも、十番街で恋人同士の愛情コンテストが開催されると聞いた亜美が、無印第45話と同じ流れで羨ましがる場面がある。

余談と反響

人間の少女を愛してダークキングダムを裏切ったネフライトと地続きになる存在であり、妖魔ブンボーの中に意識を残していた描写は洗脳されたエンディミオンの中にも元の意識が残っているという伏線にもなった。

上述のように一度は自らの意志でゾイサイト(幹部)の命令を跳ね退けて攻撃しているため「ダーク・キングダムを裏切った唯一の妖魔」(セーラー戦士に味方した唯一のザコ敵)と呼ばれることも。

怪物だった前世を克服して現世の人間としての自分を守ったという点では、前世の使命に決着をつけて終わらせ、現世の生活を優先する事をテーマとしてきた旧作アニメ版セーラームーンの作風をある意味で象徴する人物ともいえる。

しかし放送当時、男性人気が集中していた水野亜美の友人(より穿った見方をすれば彼氏候補)として登場したため、多くの痛い亜美ファンの嫉妬と反発を買った。特徴的な作画による丸っこい顔立ちも悪いように取られてしまい「あんなに平凡そうな奴がどうして俺たちの亜美ちゃんを」という憎悪を買ってしまった部分もあるらしい。

男性ファンの反発がどれほど影響したかは不明だが、第二期『R』以降では存在をなかったことにされてしまう。

尤も、予知能力で敵味方のパワーバランスを簡単に崩せるために出すことができなかった、という事情もあったようだが(元から旧作アニメ版ではうさぎと出会ってから火野レイの予知能力の精度が下がるなど、登場人物の特殊能力の出番を減らしている)。

ただしアンチも多いが大人びていて不正を嫌う亜美との性格上の相性は良く、命懸けでダークキングダムから亜美を守ろうとする男気を見せたことで根強いファンも多い。

行動だけを見てみれば、鬱フラグを些細な行動の積み重ねで見事に覆してみせているので、セーラームーンワールドにおける立派な鬱フラグクラッシャーの一人と言える。

スタッフサイド

なお浦和くんの登場回の脚本担当はサブ脚本の隅沢克之氏。

セーラームーン参加以前には小山高生と連名で『たったひとりの最終決戦』を手がけ、のちには『新機動戦記ガンダムW』『超速スピナー』『コレクター・ユイ』『幻想魔伝 最遊記』『ブラックジャック21』など多くのアニメ作品のシリーズ構成を手掛けた人で、特に『NARUTO』の初代シリーズ構成、さらに『犬夜叉』後半部および『半妖の夜叉姫』(『夜叉姫』では設定も手掛けた)のシリーズ構成としても知られる人である。

もっとも隅沢氏の手掛けた作品(特にアニオリ脚本)は良くも悪くも賛否両論のものも多い。ただし、このあたりは様々な事象(大人の事情)や条件が絡み合った不可抗力もあり決して隅沢氏ひとりの責任とは言い難いケースも多く、セーラームーンの「浦和回」もそのうちのひとつと見なされる事がある。その意味で浦和くんの立場は隅沢氏の立場にも似ていると言われる時もある。

上記の騒動が関係したかは不明確だが『セーラームーン』と同じメイン脚本キャラデザによって作り出された『愛天使伝説ウェディングピーチ』では、ほぼ初手からヒロインたち全員に対して対応する交際相手が設定された上で彼らの恋愛ドラマこそを物語の骨子のひとつにしていたり(あと、隅沢ものち『半妖の夜叉姫』企画時に「夜叉姫には運命の相手がいる」と『ピーチ』当時の富田・只野と同様の事を明言している)あるいは幾原邦彦が『エヴァンゲリオン』製作時の庵野秀明に「ポスト水野亜美」として男性人気が集中した綾波レイを最終回で妊娠させて痛いガチ恋ファンを懲らしめたいと頼み込んだ逸話があったり、監督たちを筆頭に主要スタッフが共通する『おジャ魔女どれみ』においても初期のヒロインたちには初手からが設定された上で瀬川おんぷ魔法少女をアイドル視する男性ファンの心理を逆手に取って自身に都合よく翻弄する小悪魔的なキャラクター性を与えられていたりする。

関連タグ

水野亜美 鬱フラグクラッシャー 良亜美 ブンボー 最強妖魔七人衆

予知 予知能力

レッドバトラー/バケーネ…浦和と同じく最強妖魔七人衆の一人であり、ルナに恋するデブ猫。本来なら妖魔七人衆の中でも最強とされる妖魔であるが、妖魔に覚醒してもなおルナへの愛情が強く残っていたため、戦闘シーンを見せることなく浄化された。

似た人

怪盗AコードネームはセーラーVの登場人物。こちらはセーラー戦士に自分を倒して欲しいと願い、本当に倒されちゃった人

キリヤ/入澤キリヤ:ふたりはプリキュアの登場人物。黄色のプリズムストーンの持ち主で、主人公コンビに敵対するが、最終的には運命に逆らう決断を行い、自身の持つプリズムストーンをほのかに託す

早乙女純:ドキドキ!プリキュアの登場人物。ジコチューにされ主人公たちに敵対したが一度は自らの精神力でそれを阻んだ

バーダック:ドラゴンボールの主人公、孫悟空の父親。ある経緯で予知能力を手にし、同時に自分たちサイヤ人を滅ぼす巨悪の存在を知り、滅亡の運命にただ一人抗った人物。上述のように、いわゆる脚本家繋がりのキャラであり、ある意味ではオマージュ元の可能性がある。

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